詩

病気と障害とアディクションのデパート

病気と障害とアディクションのデパート

ここには棚が並んでる、
病気と障害、アディクションのデパート。
見渡す限り、
ラベルが貼られた箱たちが、
静かに、でも確実に、
私を待っている。

識字障害、
文字が踊る、意味が消える。
本を開くたび、
目の前が曇る。
それでも、他の誰かと同じように
読みたい、書きたいと思ってる。

統合失調症、
心が二つに割れる。
幻覚が踊り、
幻聴が響く。
「お前はそうじゃない」と、
声が囁くけど、
その声こそが私の一部だった。

摂食障害、
食べることが恐ろしい、
でも食べないともっと恐ろしい。
鏡の中の自分に、
愛されることはない。
「これでいいんだ」と言い聞かせるけど、
心の中で崩れていく。

薬物とアルコール依存、
心が空っぽで、
何かで埋めたくなる。
その瞬間、
何もかもが忘れられるような気がして、
それでも終わった後に残るのは、
虚無と後悔。

境界性パーソナリティー障害、
感情が暴れる、
愛と憎しみが交錯する。
「本当はどうしたいの？」
自分に問いかけても、
答えはどこにも見つからない。

解離性障害、
現実が揺れる。
誰の記憶なのか、
自分さえわからない。
「自分は誰？」
問いかけても、
鏡の中には誰もいない。

ADHD、
思考が飛ぶ、
すぐに忘れる、
でもそれがどうしても止められない。
集中しているはずなのに、
気づいたら違うことをしている。

不幸自慢しているみたいだと、
自分でも思う。
でも、このデパートには
一つの通路しかない。
通り過ぎるしかないのかもしれないけれど、
それでも時々、
振り返りたくなる。

病気と障害とアディクションのデパート、
ここには出口が見えない。
でも、少しずつ、
少しでも、
そのラベルを取れるように、
生きている自分を、
なんとか大切にしている。