アルファポリスの投稿インセンティブのスコアを上げるには

未完成の物語

未完成の物語

アルファポリスの現代文学ジャンルで、書籍化している作家がいないことに気づいたのは、咲良（さくら）が小説家を目指し始めたころのことだった。彼女はいつか自分も本を出版したいという夢を抱いて、アルファポリスで作品を投稿し始めた。しかし、投稿者の多くが異世界ファンタジーやラブコメディといったジャンルに集中しているのに対し、現代文学は目立たず、書籍化どころかランキング上位に入る作品すら少なかった。

咲良はそれに疑問を抱き、現代文学に挑む作家たちの努力が報われないのはなぜなのか、頭を悩ませていた。

「どうして誰も現代文学を評価してくれないんだろう？」

彼女は書籍化されていく異世界ファンタジーや恋愛小説を見て、やるせない気持ちになった。自分が書きたいと思っているテーマは、現実の社会問題や人間関係を描いたシリアスなものだった。しかし、アルファポリスではそういった作品に注目が集まることはほとんどない。読者は手軽に楽しめるエンターテイメントを求め、現実の重さを描いた物語には興味がないのかもしれない、と彼女は考え始めていた。

その日、咲良は作品のフィードバックを確認しようとアルファポリスのサイトを開いたが、自分の小説に対するコメントはゼロだった。心が折れそうになり、パソコンの前でため息をつく。現代文学を選んだ自分が間違っていたのか、それとも才能がないだけなのか——彼女の頭の中は、自責の念でいっぱいだった。

「現代文学って、やっぱり人気がないのかな……」

アルファポリスで交流していた他の作家たちのコメントも、同じようなものだった。異世界ものが主流のサイトでは、現実的なテーマは受け入れられにくい。それに比べて、異世界ファンタジーやラブコメディは読者層も広く、手軽に楽しめるのが魅力だった。

ある日、咲良はそんな悩みを抱えたまま、ふと近所のカフェに入った。彼女は本棚に並ぶ書籍に目をやり、その中に一冊の現代文学の小説を見つけた。著者は、咲良がアルファポリスで交流していた作家だった。驚きのあまり、本を手に取り、パラパラとページをめくる。

「この人、アルファポリスで書いていた人だ……でも、出版されている！」

その作家は、アルファポリスで注目を浴びることはなかったが、別の出版プラットフォームで作品を発表し、そこから書籍化に至ったのだ。

「そうか、必ずしもアルファポリスで成功する必要はないんだ」

咲良はその瞬間、目の前に新しい道が開けたような気がした。自分の作品がアルファポリスで評価されないからといって、それが終わりではない。別の場所で、自分の作品を必要としている読者がいるかもしれないのだ。

彼女はその日から、アルファポリス以外のプラットフォームでも作品を投稿することに決めた。ブログやSNS、小説投稿サイトなど、ありとあらゆる手段で自分の作品を広めていった。もちろん、すぐに結果が出るわけではなかったが、少しずつ読者の反応が返ってくるようになった。

「やっぱり、現代文学には現代文学の良さがあるんだ」

咲良は、現代文学が一見地味に見えるかもしれないが、その中に深い感情や人間の複雑さが描かれていることを再確認した。異世界ファンタジーやラブコメディにはないリアルさ、現実の痛みと向き合う強さ——それこそが、彼女が追い求める文学の魅力だった。

そしてある日、咲良の作品に出版社からオファーが届いた。小さな出版社だったが、彼女の作品のテーマに共感してくれる編集者がいたのだ。アルファポリスでの評価に囚われず、自分の信じる道を貫いた結果だった。

「現代文学は、きっと誰かの心に届くはず」

咲良はそう信じ、これからも自分の物語を書き続けていく決意を固めた。彼女が歩んだ道は、決して簡単ではなかったが、それでも一歩ずつ前進することで、新しい未来が開けるのだと実感していた。

そして彼女は、これからもモニターに向かってキーボードを叩き続ける。現実の重さを描きながら、誰かの心に寄り添う物語を紡ぎ出すために。