嫉妬

春秋花壇

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物語の構成

クリスチャンの大会が近づくにつれ、私は心の中でどこか落ち着かない気持ちを抱えていた。マークと私は、関係が改善してきたとはいえ、私の中に残る不安は消えたわけではなかった。大会に参加することは、私たちにとっても試練であり、同時に大きな転機になる可能性があった。マークとの関係が修復されつつある今、私たちの絆を試される場になることを私は感じていた。

大会が近づくにつれて、私は何度もその準備を振り返った。心の中で、何度も「これで大丈夫なのか?」という疑問が湧き上がってきた。私の中には、元妻に対する嫌悪感や、過去の嫉妬心がまだ完全に消えていないことを自覚していたからだ。

大会の日がやってきた。会場には、私たちと同じように家庭や信仰の問題を抱える多くのクリスチャンが集まっていた。その中には、私たちのように過去に葛藤を抱えてきた夫婦も多く、その一人一人が自分の思いを胸に秘めているのだろうと思った。会場に足を踏み入れた瞬間、私の心はどこか重く、緊張した空気が漂っていた。マークは私の手を優しく握りしめてくれた。その温もりが、少しずつ私の緊張を解きほぐしてくれる。

大会の中で、いくつかのセッションが行われ、その中で私たち夫婦にも何度か話が及んだ。信仰に基づく夫婦関係の修復についての話題は、私にとっては非常に重く、心に深く響いた。特に、クリスチャンとしてどのように心を変え、相手を受け入れ、共に歩んでいくかというメッセージは、私たちの関係に必要な教訓そのものであった。

その中でも、あるセッションが私には特に印象的だった。講師が語った「信頼の力」というテーマは、私にとって目から鱗が落ちるような瞬間だった。信頼があればこそ、過去の傷を癒し、関係を築いていけるという言葉が、私の心に深く響いた。講師が言う通り、信頼は一度失うと取り戻すのは難しいが、それを築くことができるのはお互いの誠実さと忍耐に基づくものだということを、私は実感していた。

そのセッションの後、私はマークに話しかけた。「信頼って、簡単に築けるものじゃないよね。私たちも、信じることがどれほど大事かって、今になって本当に感じる。」彼は私を見つめ、静かに頷いた。「でも、信じることで、もっと強い絆が生まれるんだと思うよ。」

その言葉に、私は少しずつ心が軽くなるのを感じた。大会の後半では、夫婦として一緒に過ごす時間が増え、私たちのコミュニケーションがより深まった。マークも、以前よりもずっと私に対して配慮を示し、私の気持ちに耳を傾けるようになった。そして、私は彼の愛を感じることができた。以前はただの言葉に過ぎなかった「愛している」という言葉も、今では私の心に深く響くようになった。

大会の終わりに近づくにつれて、私は少しずつ自分の心に変化を感じていた。過去の嫉妬心や不安が、完全に消えることはなかったが、それに向き合い、コントロールする方法を学び始めた。そして、マークとの信頼を少しずつ築き直していく中で、私は彼と共に歩む未来に対して希望を抱けるようになった。

大会の最後のセッションでは、夫婦として神に祈る時間が設けられた。私たちは手を取り合い、心から祈った。マークの手のひらの温もりを感じながら、私は心から感謝の気持ちを捧げた。私たちの関係が少しずつ修復されていく過程を見守り続けてくれた神に、改めて感謝した。

大会を終えて帰る道すがら、私はふと思った。もしかすると、私たちはこれからも何度も問題に直面するだろう。でも、それを乗り越えていくために必要なのは、信頼し合い、愛し合い、支え合うことだということを、今、私は確信していた。

マークも、私の心の変化を感じ取ったようで、途中で私を見つめて微笑んだ。「これからも一緒に歩んでいこうね。」その言葉に、私は心から頷いた。信頼と愛を基にして、私たちの新たな歩みが始まったのだった。






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