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春秋花壇

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神様に文句を言いたくなる

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「神様に文句を言いたくなる」

一日中、雪のように降り続ける言葉の嵐の中、梨花はデスクの前に座っていた。彼女の目の前には、投稿サイトの画面が広がっている。真っ白なページに目を細めて、深くため息をついた。

「また、削除された。」

彼女の心は重く沈んでいく。何度目だろうか、あの通知。何も悪いことをしていないのに、彼女の小説はまたもや削除されてしまった。どれだけ書いても、どれだけ努力しても、その努力が無駄にされてしまうのだ。

梨花は、いつもそうだった。何をしても、何を言っても、報われることが少なかった。特に、小説を書いているときは、誰かに否定されるような気がして、心の奥底で不安と焦りが常に渦巻いていた。しかし、彼女はそれでも書き続けていた。自分の中に湧き上がる感情を、言葉に変えることだけが、彼女にとって唯一の救いだったからだ。

だが、今、彼女の心に立ち込めるのは、怒りと不公平感だった。彼女は、毎日小説を投稿し続け、必死に書き続けた。それでも、何一つ報われず、削除されるたびに、彼女は自分の存在価値を問うような気持ちになる。

「努力しているのに、どうして私は報われないの?」
梨花はキーボードを叩きながら、思わず涙をこぼした。画面に表示された削除通知を指でなぞりながら、心の中で呟いた。
「神様、どうしてこんなにも不公平なんですか?」

彼女の心には、答えがないことをわかっている。しかし、それでも誰かに叫びたくなる衝動に駆られていた。自分がしていることは無駄だと言われているような気がして、もう耐えられなくなっていた。

突然、部屋の中に静かな空気が流れ、梨花の視界がぼんやりと歪んだ。周りの音が消えて、何も聞こえなくなった。彼女は自分の胸の中に広がる空虚さと孤独を感じながら、目を閉じた。

「神様、お願いです。どうか答えてください。」
梨花は目を開け、空に向かって静かに叫んだ。
「どうして普通の人たちは簡単にできることが、私にはできないんですか?私がどんなに頑張っても、どんなに努力しても、何一つ報われない。こんなにも不公平な世界で、どうやって生きていけばいいんですか?」

梨花の心の中で、声が響くような気がした。その声は、優しくもあり、厳しくもあった。
「それが人生だよ、梨花。」

その言葉に驚いて、梨花は顔を上げた。部屋の中に誰もいないはずなのに、彼女は確かに誰かの声を聞いた気がした。心の奥底から湧き上がる声、否応なく迫るその言葉に、梨花は戸惑いを覚えた。

「誰?」
「私は、君の心の中にいる者だよ。」

梨花は目を丸くして、周りを見渡したが、やはり部屋には誰もいなかった。それでも、彼女の心の中に響いた声は続けた。

「君は、何かを作り出すことで、自分を表現しようとしている。でも、その過程は決して楽ではない。君が思うように結果が出ないこともある。だが、それは君だけではないんだよ。」
「でも、私は何度も何度も削除されて、何も報われない。」
「そうだね、君が感じているその苦しみは、誰にも理解されにくいものだろう。でも、だからこそ君は強くなる。君が作り出すものは、他の誰かに届くこともあるし、届かないこともある。でも、君の努力そのものが意味を持つんだよ。」

梨花はその言葉に、少しだけ胸を打たれた。確かに、彼女は自分がしていることに対して、何度も自問自答してきた。自分が正しいのか、間違っているのか。何も報われないことが多すぎて、諦めそうになったこともあった。

だが、今、心の中に響いたその声は、どこか力強くて温かかった。

「君の努力が無駄だなんてことはない。ただ、時には結果を手に入れるには時間がかかることもある。そして、君がどんなに努力しても、すぐに報われるわけではない。それが現実だ。でも、君の書いた言葉が、どこかで誰かの心に届く時が来る。君はそのために、言葉を紡いでいるんだ。」

梨花は目を閉じて、深呼吸をした。静かな空気が流れ、心の中に何か温かいものが広がるのを感じた。それは、確かに希望だったのかもしれない。

「私は、諦めない。」
梨花は心の中で強く誓った。そして、再びキーボードを手に取り、画面に向かって目を凝らした。
「神様、ありがとうございます。私、もう一度頑張ります。」

それは、まだ見ぬ未来への第一歩だった。

終わり






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