徒然草

春秋花壇

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徒然草 第二十九段

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徒然草 第二十九段

原文

静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき。人静まりて後、長き夜のすさびに、何となき具足とりしたゝめ、残し置かじと思ふ反古など破り棄つる中に、亡き人の手習ひ、絵かきすさびたる、見出でたるこそ、たゞ、その折の心地すれ。

現代語訳

静かに思い返してみると、万事、過ぎ去ってしまったことの恋しさだけが、どうしようもないものだ。人が寝静まった夜、長い夜の退屈しのぎに、何気ない道具類を取り出して整理し、もう残しておかないだろうと思う古紙などを破り捨てている中に、亡き人が書いた文字や、絵を描いて遊んだものを見つけたが、それがただ、その時の気持ちが蘇るようだ。

解説

この段落は、過ぎ去った時間の恋しさと、亡き人を思い出す気持ちを描いたものです。

語り手は、静かに思い返してみると、万事、過ぎ去ってしまったことがただただ恋しく思われると述べています。それは、過去に戻ることができないという無力感や、時間の流れの速さに対する虚しさを感じているからでしょう。

そして、語り手は人静まりて後、長い夜の退屈しのぎに、何気ない道具類を取り出して整理し、もう残しておかないだろうと思う古紙などを破り捨てていると述べています。その作業の中で、亡き人が書いた文字や、絵を描いて遊んだものを見つけた語り手は、その時の気持ちが蘇るように感じます。

過去は変えられませんが、記憶の中に残っているものは、今でも語り手にとって大切な宝物であり、心の支えとなっているのです。

この段落は、過ぎ去った時間への深い郷愁と、亡き人を偲ぶ気持ちが繊細に表現されており、読者の心に深い余韻を残すものとなっています。

参考資料

徒然草: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%92%E7%84%B6%E8%8D%89
徒然草現代語訳: https://tsurezuregusa.com/
その他

この段落は、静かに思いを巡らす語り手の内面描写を通して、過ぎ去った時間への恋しさと、亡き人を偲ぶ気持ちが伝わってきます。

また、具体的な情景描写を用いることで、読者は語り手の心情をより深く共感することができます。

徒然草は、このように様々な表現技法を用いて、読者に深い感動を与える作品と言えるでしょう。

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