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春秋花壇

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小さなかわいい女の子を施設から引き取るために偽装結婚をしてみた

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小さなかわいい女の子を施設から引き取るために偽装結婚をしてみた

第一章:運命の出会い

佐藤健太は、30歳独身の会社員。平凡な毎日を送っていた彼は、ある日、ボランティア活動に参加した。そこで出会ったのが、小さな女の子、ひなただった。

ひなたは、両親を亡くし、児童養護施設で暮らしていた。健太は、ひなたの澄んだ瞳と天真爛漫な笑顔に心を奪われた。

第二章:決意

お金は有り余るほどあるのに、残す人もいない。

健太は、自分が何のためにお金を稼いでいるのかわからなかった。

砂をかむような味気ない生活は、東京砂漠でのタワマンの生活を一層、虚無感で満たしていった。

健太は、ひなたを引き取って育てたいと思うようになった。しかし、健太は独身のため、ひなたを引き取ることは難しい。

そんなある日、健太は、顧問弁護士から、偽装結婚すればひなたを引き取れることを知る。健太は、ひなたのために偽装結婚を決意する。

第三章:偽装結婚

健太は、知り合いの女性、田中さくらに協力を依頼する。さくらは、健太の優しさに惹かれ、彼の願いを快く承諾する。

健太とさくらは、偽装結婚をして、ひなたを引き取る。ひなたは、新しい家族と幸せな生活を送り始める。

今まで住んでいたタワーマンションは人に貸して、郊外の閑静な一軒家を手に入れた。

ひなたとそこで、幸せな家族を作る。

一緒にお花を植えたり、果物を収穫したり、ご飯を食べたり。

チューリップの球根を二人でたくさん植えたあくる日、ひなたが一人で庭を掘り起こしている。

「どうしたの?ひなた」

「お花が咲かないから、どうしたのか調べてるの」

「時が必要なんだよ。芽が出て葉が出て花が咲いてジャンケンポン」

「ああ、幼稚園のお歌だ~♪」

ひなたは5歳のかわいい女の子。

まつ毛がとっても長く、大きな瞳が人を吸い寄せる。

「この子と一緒に成長していこう」

ひなたの個性を伸ばしながら、共に生きていきたい。

日向のかわいいお洋服を買うのがとっても楽しかった。

綿レースのいっぱいついたワンピースやエプロン。

まるで絵本から出てきた妖精みたい。

だけど、ひなたはストリートチルドレンのような男の子の服を欲しがった。

健太はちょっと残念だったけど、ひなたの好みも尊重した。

帽子を目深にかぶり、ポケットに手を入れて、口をとがらしている姿は面白いほど絵になった。

健太はデパートに行くと、お人形や縫いぐるみのコーナーに連れていくが、いつもひなたは鉄道模型を吸い寄せられるように見つめていた。

5歳でもしっかり、自分の好みを持っているひなたを健太は微笑ましく見つめていた。

第四章:偽りの愛情

健太とさくらは、偽装結婚を続けているうちに、互いに惹かれ始める。しかし、二人は自分の気持ちを抑え、偽りの愛情を演じ続ける。

「パパとママは、どうして大きなベッドで一緒に寝ないの?」

「パパはどうしてママにさわらないの?」

子供の目は厳しい―。

お友達の家に遊びに行ったり、幼稚園でお話ししたりして、違和感を感じ始めてる。

そして、ある日ついに二人の会話を聞かれてしまった。

幼稚園の先生に

「偽装結婚ってなーに?」

と、聞いてきたそうだ。

先生は事情が全く分からないから

「うそこの結婚」

と、教えたという。

第五章:真実の告白

「うそこはいやなの」

ひなたの大きな瞳がボロボロと大粒の涙をこぼしている。

ある日、ひなたが健太とさくらの秘密を知る。ひなたは、健太とさくらの偽装結婚に傷つき、施設に戻ると言い出す。

健太とさくらは、ひなたの気持ちを理解し、真実を告白することを決意する。

第六章:真の家族

健太とさくらの真実の告白を聞いたひなたは、二人が本当に自分を愛してくれていたことに気づく。

ひなたは、健太とさくらの家族になることを決意する。

「ひなた、これだけは覚えていてほしい。人間は悲しいほど不完全なんだ」

「ひなたも不完全?」

「ああ、そうだね」

健太は優しくひなたの頭をなでた。

「それでも君を愛してる」

「うん、毎日ご本読んでくれるものね。いっぱいひなたと遊んでくれるものね」

「君が大好きだから」

「ひなたもパパだーいすき」

「ママもだいーすき」

ひなたは、1年で聖書全巻を朗読できるようになった。

そして、6歳のお誕生日に習い事のはじめとして、ハウスキーパーから片付け方を教わり始めた。

日本舞踊も始めた。

かわいいお着物が大好きで、藤娘や道明寺を踊りたがる。

人間は6歳までの育ち方で「人生脚本」が出来上がってしまうという。

否定せず共感すること

命令せず依頼する

一緒に考える

これからも、さくらと共に素敵な親になっていきたい。

エピローグ

健太、さくら、ひなたの三人は、本当の家族として幸せに暮らした。健太は、ひなたとの出会いに感謝し、これからも彼女を大切に守っていくことを誓った。

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