言の葉でつづるあなたへの想ひ

ありま山ゐなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする

ありま山ゐなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする（後拾遺集 恋 709）
　　　　大弐三位（だいにのさんみ 999?～? 藤原宣孝･紫式部の娘 藤原賢子）


有馬山 猪名の笹原 風吹けば 出でそよ人を 忘れやはする
大弐三位

2000文字小説

第一章：運命の出会い

平安時代、一条天皇の治世。都には華やかな文化が栄え、貴族たちは歌や恋愛に耽っていました。

そんな中、藤原賢子は、左大臣藤原宣孝の娘として生まれました。母は、名歌人として知られる紫式部です。

賢子は、幼い頃から聡明で美しく、歌にも秀でていました。14歳の頃、彼女は一条天皇の后である上東門院彰子の女官となりました。

彰子のサロンには、多くの歌人や貴族が集まっていました。そこで賢子は、源義孝と出会い、恋に落ちます。

義孝は、清和天皇の曾孫であり、容姿端麗な貴公子として知られていました。二人は互いに惹かれ合い、密かに逢瀬を重ねていました。

しかし、二つの家柄の違いから、彼らの恋は許されませんでした。周囲の反対にもかかわらず、二人は愛を貫こうとします。

第二章：試練と決断

ある日、義孝は左遷され、地方の官職に就きます。賢子は、義孝との別れを悲しみながらも、女官としての務めを果たすために宮中に残りました。

しかし、義孝との恋が噂となり、賢子は彰子の怒りを買ってしまいます。彰子は、賢子を宮中から追い出すことを決意します。

絶望した賢子は、出家を決意します。しかし、母である紫式部は、娘の幸せを願って、出家を思いとどまらせます。

紫式部は、賢子に再婚を勧めます。そして、高位官僚である藤原頼宗との縁談が持ち上がります。

頼宗は、学識豊かで誠実な人物として知られていました。賢子は、頼宗の人柄に惹かれ、結婚を決意します。

第三章：新たな人生

賢子は、頼宗との結婚生活を幸せに過ごします。二人は、多くの子供に恵まれ、夫婦仲良く暮らしました。

頼宗は、賢子の歌の才能を認め、彼女の創作活動を支えました。賢子は、多くの歌を詠み、歌人として高い評価を得ます。

しかし、賢子は義孝への想いを忘れられずにいました。義孝への恋は、彼女の歌にも色濃く表れています。

第四章：永遠の想い

ある日、賢子は義孝との再会を果たします。二人は、長い年月を経て再会を果たし、互いの変わらぬ愛を確認し合います。

しかし、二人は再び別れざるを得ませんでした。義孝は、地方の官職に就いており、都に戻ることは許されませんでした。

賢子は、義孝への想いを胸に、歌人として活動を続けます。そして、多くの名作を残しました。

賢子は、50代後半でこの世を去りました。彼女の死後も、その歌は人々に愛され続け、日本文学史上重要な人物の一人として称賛されています。

この小説は、大弐三位の生涯を題材にしたフィクションです。史実とは異なる部分もありますが、彼女の歌に込められた想いを表現しようとしました。