言の葉でつづるあなたへの想ひ

秋の田の かりほの庵の とまをあらみ 我がころも手は 露にぬれつつ

この歌は、天智天皇が詠んだとされる百人一首の1首目です。

現代語訳は、以下のとおりです。

秋の田のかたわらにある仮小屋の屋根を葺く苫の網の目が粗いので、私の衣の袖は夜露に濡れ続けているよ。

この歌は、秋の夜に田の番をする農民の様子を描いた歌です。

秋の田んぼのほとりにある仮小屋は、屋根を茅で葺いています。茅は、草の一種で、編み目が粗いため、夜露が漏れ落ちやすくなります。

歌の主人公は、そんな仮小屋に泊まり、田の番をしている農民です。夜も更け、冷たい夜露が屋根からしたたり落ちてきます。屋根を葺く茅の目が粗くて隙間があるから、夜露は主人公の袖に落ちて、着物はだんだん濡れそぼってきます。

この歌は、秋の夜の静かな雰囲気と、農民の暮らしの厳しさを、簡潔に表現した歌です。また、夜露に濡れる衣の袖という描写が、主人公の寂しさや孤独感を表現しているようにも思えます。

この歌は、百人一首の中でも最も有名な歌の一つです。その理由は、以下の2つが考えられます。

1首目であること
秋の田園風景を美しく描いた歌であること
1首目であることは、百人一首の始まりということもあり、そのインパクトは大きいです。また、秋の田園風景を美しく描いた歌であることも、多くの人々に共感されやすい理由でしょう。

この歌は、百人一首の魅力を代表する歌の一つです。ぜひ、その意味や背景を理解して、その魅力を味わってみてください。