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まさか、ルルママもケイ君狙いか。
やめてほしいそんな可愛いムーブに勝てる気がしない。

「ケイさん、テディに、優しくしてあげてください。」

ルルママが潤んだ瞳で背の高いケイ君を見上げて言った。
ごめんルルママ、一瞬でも邪険にして。
でもそういう可愛いムーブを僕の横でケイ君に見せるの本当勘弁して。

「テディ、よかったね。頑張って!」

鼻の頭を赤くした子リスみたいなルルママに笑いかけられた。
ごめんルルママ、一瞬でも悪態吐いて。

僕がルルママへの感情をクルクルしてるうちにケイ君は特にリアクションを返さずに僕を連れてバーを出た。

「どこ?」

ケイ君の端的な質問に、行き先を決めろと言われてると察する。

「ぅあ?……あ、あぅ……」

相変わらず言語を失った僕は調べてマークしていた男同士OKな近隣ラブホを地図マップに表示して見せる。
ケイ君はサッとそれを見ると正しい方面に歩き始めた。
地図が読める男かっこいい。

小洒落た内装で若者に人気そうなそのホテルに着いてみれば、一室が運良く空いていたので二人でチェックイン。
そのまま部屋へ。

「風呂は?」

「あ、う、入る……」

一応家で用意はしてるけどケイ君を待ってる間飲み食いしたからまたナカを洗っておきたい。

「行けば。」

ケイ君は表情を変える事なく淡々と話す。
その顔が凄い好きな僕ではあるけど、ここに至っては感情が読めなくて不安になった。

「あの、ケイ君、本当に僕でいいの?僕、さっきケイ君が一緒にいた人みたいに可愛くも華奢でもないし……。」

ようやくまともに喋れるようになったとたん自分から誘っておいてそんな事を言ってしまう。未だに処女童貞なの、そゆとこだぞ。

僕の言葉に、ケイ君は首を傾げた。

「変わらないだろ。気にするな。」

凄い。ケイ君が二文も話してくれたのは嬉しいけど視覚どうなってんだ。

「あ、うん、じゃあ僕、準備してくる。」

食い下がって機嫌を損ねてもまずいので大人しく風呂場で準備した。
洗浄して、縁の括約筋を指で緩めて、ついでにちょっと中を締めるエクササイズ。

身の丈に合わない相手に惚れた僕がどうにかこの気持ちを実らせようと考えた末の作戦が、名器作りだった。
だって痩せて外見磨きを頑張った所で、ケイ君の周りにいる生まれながらに上位にいる層に適うわけがない。
同じ土俵では戦えない。

そこで、ああいう恋愛に恵まれた人なら考えないだろう、ナカの具合を鍛えることにしたのだ。
締まりとはつまり筋肉である。
筋肉は裏切らないと言うらしいから。
僕はそもそも大抵の筋肉と友情を築けていないから裏切られるも何もないけどさ。

けど、唯一骨盤底筋とは友達になれるように頑張った。
日々肛門に力を入れては緩め腸トレに励む日々。
ただでさえ膣と違って閉まらない腸を広げないように、アナニーだって一切我慢している。
入学式で見たケイ君に惚れ込んだ高校の時からだ。
いつか、いつかってずっと思ってた。

そうして高校、大学、社会人数年とずっと密かに追いかけ続けて今、ようやく名器になったと自信が持てたから誘ったのだ。

おっし!もう後には引けない!搾り取るぞ!

気合いを入れてバスタオルをぐっと伸ばし腰に巻きつけ、タオルにぽよんと乗った腹肉をパチンと叩く。
四股でも踏みたい気分だ。それくらい心臓がバクバクして昂揚している。
下の階に迷惑だからしないけど。

よし!よし!えいやとバスルームを開けてぼてぼてベッドに向かう。

「おおおおまたせよよよよろしく。」

まずは勃たせるためにフェラだな!
ベッドに座ったケイ君のまえにのすっと膝をつく。

「熊谷、俺も風呂。」

そう言って立ち上がったケイ君の言葉に呆けてしまった。
うん、好きな顔は下から見上げても好きな顔なんだな。

「けけけケイ君、僕の名前……」

高校からずっと陰から見てきたけど名乗ったことはおろか話したことすら無かったのに!

「同級生。」

「知ってたの!?」

どんなにこっそり付き纏ってもこちらを一瞥もしないしリアクションゼロだから僕なんて視界にすら入ってないんだと思ってた……。

「ごめん、勝手に。」

「ななな何も!?」

僕なんてケイ君の年齢住所趣味に職業がっつり陰で調査している。
同級生の顔と名前を知ってるくらいで何を謝ることがあるもんか。

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