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八話
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(ギルバルト視点)
アリアが身に着けていた服を、破らないようにゆっくり脱がせていく。
力加減が難しく、慣れない人間の指で寝衣のひもを解くのは中々に骨が折れる作業だが、彼女のお気に入りかもしれない布をびりびりにして悲しませでもしたら、と思うと、自然と手つきは丁寧なものになる。
寝込みを襲う、というのは人間の倫理観に照らし合わせれば良くないことなのだろう。
けれど、アリアの身体に自分のものを挿れるのはきっと負担を強いるだろうから、時間をかけて慣らすというのは今の時点から必要になることだ。
建前はそれくらいで、自分が好いた女の肌に触れておきたい、という初めての欲求に振り回されていた。
本能に押されているが、これでもギルバルトは我慢をしている方である。
――もし、アリアが起きていたのなら、今の時点で初めてを貰っていた自信があった。
初めて興味を持てた相手。
初めて好意を持った女。
ギルバルトの関心を引く、きっとこの世で唯一の愛しい人。
自覚さえしてしまえば、あとは崖を転がり落ちるように気持ちが深みに嵌っていっている。
救いようがなかったが、不思議と悪い気はしないのだから性質が悪い。
アリアの身体を包んでいた寝衣は、きちんとベッドの脇に避けて、女の大事な部分を隠す布一枚以外は顕わになった肌が目に眩しい。
ギルバルトはアリアの裸体に、思わずごくりと喉を鳴らした。
人が彼女を聖女などと持て囃したことは腹立たしいと思う反面、アリアの美しさは確かに聖女と呼ぶにふさわしいとも思う。
執拗に彼女を狙っていた雄も、何もアリアの魔力が多いから、という理由だけで狙っていたわけじゃない。
単に、彼女が雌として美しい容姿も持っているからだ。
長くのばされた青みがかった月のような銀の髪。
今は閉ざされて見えない瞳は夜空の色。
夜の女神のようでいて、中身はどちらかといえば太陽のように溌溂として、そのギャップにも翻弄される。
美しいだけの女ならば、決して惹かれることはなかった。
見た目だけの女ならば、その辺にごろごろしている。
雌の裸を見て何が楽しいのか、などと思ったこともあったが……今ならその気持ちがわからないこともない。
雄の身体とは違う、丸みを帯びたなだらかな曲線。
アリアの肌は白く、全体的に細くて、思いきり抱き締めてしまえば壊してしまいそうだ。
そんなにやわな女ではないと、戦った上で知っていても、今となってはどうしてあんな風に全力で殴り合えたのかが不思議な程。
いつもギルバルトのうろこを撫でて「綺麗ね」と笑っていた女の手を取って、唇を押し付ける。
人間の身体に化けてよかったと思うのは、今この瞬間のようにアリアと直接肌を合わせることが出来るからだろうと強く思う。
攻撃から身を守る強靭な鱗はないが、アリアの体温が分かりやすい。
柔らかな肌の感触も。
小さな口は、アリアに口づけるのに丁度いい。
竜体では、ひと舐めで全身舐められてしまうし、アリアを悦ばせるための細やかな愛撫は施してやることが出来ない。
ほっそりとした首筋に顔を寄せて、唇で直接肌の感触を味わう。
ちゅ、ちゅ、とキスを落としながら、あまり大きくはない乳房の感触も味わって、今は薄い腹にも口づけを落とす。
いつか、彼女がギルバルトの子をここに宿す日が待ち遠しい。
そのさらに下、雄と雌が交尾をして繋がる為の割れ目は、今は慎ましさを保ってぴたりと閉じられている。
「――は、」
想像して、興奮に息が荒くなる。
ぱくりと指で割り開いた花弁は、綺麗な薄桃色。
花芯と尿道の下にある穴が膣孔だろうが、どう見ても小さい。
ここに、早く、自分のものを突き入れてしまいたいが……それは、アリアが目覚めてから。
「アリア、可愛いアリア、私のものだ」
初めて味わう情欲に身を焦がされてしまいそうだ。
……宥めなければ。
いきり立った人間の雄の象徴。
下穿きを押し上げて窮屈そうにしているそれを介抱してやれば、勃起した肉竿がぶるりと砲身をあらわにする。
アリアの下腹部にぴったりと合わせてみれば、臍の辺りにまで届いてしまいそうな肉竿は、彼女の小さな体を貫くには、大変な苦痛を味合わせるだろうということは、厭でもわかってしまう。
アリアの足を軽く持ち上げ、雄の象徴を挟み込むように両手で押さえる。
彼女の柔らかな肉に挟まれ、ぬちゅぬちゅと粘り気のある音をさせながら抽挿を繰り返す、疑似的な性交。
「アリア、ああ、アリア……ッ」
緩やかな交わりでしかなかったが、興奮が勝ってその日はあっさり吐精してしまった。
アリアが身に着けていた服を、破らないようにゆっくり脱がせていく。
力加減が難しく、慣れない人間の指で寝衣のひもを解くのは中々に骨が折れる作業だが、彼女のお気に入りかもしれない布をびりびりにして悲しませでもしたら、と思うと、自然と手つきは丁寧なものになる。
寝込みを襲う、というのは人間の倫理観に照らし合わせれば良くないことなのだろう。
けれど、アリアの身体に自分のものを挿れるのはきっと負担を強いるだろうから、時間をかけて慣らすというのは今の時点から必要になることだ。
建前はそれくらいで、自分が好いた女の肌に触れておきたい、という初めての欲求に振り回されていた。
本能に押されているが、これでもギルバルトは我慢をしている方である。
――もし、アリアが起きていたのなら、今の時点で初めてを貰っていた自信があった。
初めて興味を持てた相手。
初めて好意を持った女。
ギルバルトの関心を引く、きっとこの世で唯一の愛しい人。
自覚さえしてしまえば、あとは崖を転がり落ちるように気持ちが深みに嵌っていっている。
救いようがなかったが、不思議と悪い気はしないのだから性質が悪い。
アリアの身体を包んでいた寝衣は、きちんとベッドの脇に避けて、女の大事な部分を隠す布一枚以外は顕わになった肌が目に眩しい。
ギルバルトはアリアの裸体に、思わずごくりと喉を鳴らした。
人が彼女を聖女などと持て囃したことは腹立たしいと思う反面、アリアの美しさは確かに聖女と呼ぶにふさわしいとも思う。
執拗に彼女を狙っていた雄も、何もアリアの魔力が多いから、という理由だけで狙っていたわけじゃない。
単に、彼女が雌として美しい容姿も持っているからだ。
長くのばされた青みがかった月のような銀の髪。
今は閉ざされて見えない瞳は夜空の色。
夜の女神のようでいて、中身はどちらかといえば太陽のように溌溂として、そのギャップにも翻弄される。
美しいだけの女ならば、決して惹かれることはなかった。
見た目だけの女ならば、その辺にごろごろしている。
雌の裸を見て何が楽しいのか、などと思ったこともあったが……今ならその気持ちがわからないこともない。
雄の身体とは違う、丸みを帯びたなだらかな曲線。
アリアの肌は白く、全体的に細くて、思いきり抱き締めてしまえば壊してしまいそうだ。
そんなにやわな女ではないと、戦った上で知っていても、今となってはどうしてあんな風に全力で殴り合えたのかが不思議な程。
いつもギルバルトのうろこを撫でて「綺麗ね」と笑っていた女の手を取って、唇を押し付ける。
人間の身体に化けてよかったと思うのは、今この瞬間のようにアリアと直接肌を合わせることが出来るからだろうと強く思う。
攻撃から身を守る強靭な鱗はないが、アリアの体温が分かりやすい。
柔らかな肌の感触も。
小さな口は、アリアに口づけるのに丁度いい。
竜体では、ひと舐めで全身舐められてしまうし、アリアを悦ばせるための細やかな愛撫は施してやることが出来ない。
ほっそりとした首筋に顔を寄せて、唇で直接肌の感触を味わう。
ちゅ、ちゅ、とキスを落としながら、あまり大きくはない乳房の感触も味わって、今は薄い腹にも口づけを落とす。
いつか、彼女がギルバルトの子をここに宿す日が待ち遠しい。
そのさらに下、雄と雌が交尾をして繋がる為の割れ目は、今は慎ましさを保ってぴたりと閉じられている。
「――は、」
想像して、興奮に息が荒くなる。
ぱくりと指で割り開いた花弁は、綺麗な薄桃色。
花芯と尿道の下にある穴が膣孔だろうが、どう見ても小さい。
ここに、早く、自分のものを突き入れてしまいたいが……それは、アリアが目覚めてから。
「アリア、可愛いアリア、私のものだ」
初めて味わう情欲に身を焦がされてしまいそうだ。
……宥めなければ。
いきり立った人間の雄の象徴。
下穿きを押し上げて窮屈そうにしているそれを介抱してやれば、勃起した肉竿がぶるりと砲身をあらわにする。
アリアの下腹部にぴったりと合わせてみれば、臍の辺りにまで届いてしまいそうな肉竿は、彼女の小さな体を貫くには、大変な苦痛を味合わせるだろうということは、厭でもわかってしまう。
アリアの足を軽く持ち上げ、雄の象徴を挟み込むように両手で押さえる。
彼女の柔らかな肉に挟まれ、ぬちゅぬちゅと粘り気のある音をさせながら抽挿を繰り返す、疑似的な性交。
「アリア、ああ、アリア……ッ」
緩やかな交わりでしかなかったが、興奮が勝ってその日はあっさり吐精してしまった。
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