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第15話 僕とリンのこと
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「それで仁。結局、神性力をコントロールできるようになったのか?」
入口で合流し森に向かって歩きながら、リンが質問をした。
「いや、まったく出来ていないよ」
「そうか。まぁ、ルイに叩かれていれば、いつか神性力を操ることもできよう」
「それまであれを繰り返すのはしんどいな…」
「でも必要なことだよ、仁。なんせボクみたいに神性力を持っている人間は、一目で君が加護持ちだとわかる。それはとても危険だからね」
確かに危ない。もし神性力を持っているやつが敵だったら、僕はそれだけ手札をさらしている状態になる。
「何かバレないようにする方法はないの?」
「うーん。もしかしたらだけど、神性石を使えばいけるかも」
「神性石?」
「そう。神性力を貯める石のことだよ。神性石は周りの神性力を取り込む性質がある。それを身に着ければ、君の漏らす神性力を勝手に吸収してくれるはずさ。そうすれば他の加護持ちにバレないと思うよ」
そんな石があるのか。あれかな、リンから聞いた神々の遺物というやつの一種だろうか。
「それってこの間リンから聞いた神々の残した遺物ってやつかな?」
僕の質問にルイが答える。
「正確には違うけど、その認識でいいよ。神性石は神話の時代に生まれたものなんだ。昔はね、神々がこの地上にいて直接争っていたのさ。そのときはこの世界そのものが神々の神性力で溢れていたんだ。その神性力で鉱物などが変容し、神性を貯めこむようになった。つまり、神性石は神々が間接的に残した遺物なんだ」
そんなものがあるのか。
「ちなみに昔は神々が直接争っていたと言っていたけど、今は違うの?」
「そうだよ。神話の時代に神々が暴れた結果、この世界そのものが崩壊しそうになったんだ。それで神々が学んだ。自分たちがここいてはダメだと。そして神は神の領域を作り、そちらに移ったんだ。今、国とか神殿を持っているのはその時代から存在した神で、今は加護を与えたりして間接的に影響を与えているんだ」
なるほど。つまりこの世界には直接的に神は存在したらしい。さぞ危険な世界だっただろう。だが今はいないと。少し安心した。
あれ?だとするとリンはいったい何なんだろうか。僕はリンをちらっと見ながらルイに質問する。
「でももしかしたら神の領域に移っていない神もいるんじゃないの?」
「ああ、いるかもね。そういうのは世界全体に直接影響を与えることが出来ない、弱い神だけだよ。弱い神なら神の領域に移る必要がないからね」
つまりリンは弱い神だから存在しているということだろう。確かに彼女は強いとは言えない。ゾンビ相手に苦戦していたからだ。あくまで神目線だが。
「そんなこと聞くってことは何か心当たりでもあるの?」
ルイは純粋な疑問をぶつけてくる。僕はそれに答えていいのだろうか。悩んでいる僕より先にリンが口を開く。
「仁、それには儂が答えよう。儂のことだからな。ルイ、儂は神じゃ!そなたの言った弱い神じゃよ」
リンは当てつけのように自分の正体をバラした。それを聞いたルイは目を輝かせた。
「へー!珍しいね。でもボクは君に違和感を感じていたから、その違和感の正体がわかってほっとしたよ」
「だからっていきなり儂に向けて鎌を構えるのはやりすぎじゃ。反省せい」
「えー!別にいいでしょ。何もしなかったんだから」
「まったく、しょうがないやつめ。それでその神性石はどこへいけばあるんじゃ?」
「ルバーナの町に行けばあるよ。そこの死神様の教会を探せば、それなりにいいものがあると思う」
「つまり僕たちはその町に行かないといけないんだね?」
「そうだよ。でもその前に君のことも教えてよ、仁」
「わかったよ。実はーー」
僕はこの世界に来た経緯、そしてこの村に来た経緯を話した。するとルイは目を大きく見開いた。
「へー!異世界人!迷い人かぁ。珍しいね。百年前とかにいたという話は聞いたことはあるけど、まさか君がそれだとはね!ボクはうれしいよ。なんせボクは珍しいものが大好きだから!」
ルイは興奮して、僕を観察するように話した。だが聞き捨てならないことがある。
「百年前にも同じ境遇の人がいたの?」
「そうだよ。といっても君と同じ方法で来たのかはわからないけどね。死神様の神殿にその記録があったんだって。神隠しにあったと噂されてみたいだよ」
神隠し。この世界には神がいるから、本当のことかもしれない。というか僕もリンに連れてこられたから神隠しと言える。
「ルイ、その人って元の世界に帰ったのかな?そんな記録残ってない?」
「残ってなかったと思うよ」
「そう…」
少しがっかりした。もしかしたら元の世界に帰れるヒントがあるかもしれないと思ったからだ。それを見たルイが質問した。
「仁は元の世界に帰りたいの?」
「そうだね。こっちの世界だと苦労が多そうだし、危険だし、やりたいこともないし」
「そうなんだ。じゃあ、やりたいことが出来たら残るの?」
「うーん…。多分そうだね。そのときに決めるよ」
僕は曖昧に頷いた。
「それにしても君の話を聞いて思ったんだけど、もしかしてリンって疫病神なんじゃないの?」
ルイがとんでもないことを言い出す。
「なんでそう思うの?」
「だって考えてみてよ。仁はリンと会って乗り物に轢かれそうになったでしょ。ゾンビの件だって、彼女が村に来たから襲われたんじゃないの?リンは実は災いを招く疫病神だったりして」
ルイがニヤニヤしながらリンを見る。リンは険しい表情でルイに反論する。
「儂は疫病神ではない。確かにタイミングが重なったが、儂らがこの村に来る前から森には異常があった。それにもし災いが降りかかったとしても、儂は神ゆえ引き寄せることはあるかもしれん。だが災いそのものではない。言いがかりはやめろ、ルイ」
彼女は毅然と言い放った。もしリンが災いを引き寄せるのであれば、車の件もリンのせいなのかな?いやこれでは言いがかりだ。彼女は確かに助けてくれた。それ良しとしよう。
僕らはしばらく森を見回り、異常がないため引き返した。森の獣もルイやリンの索敵のおかげで見つけ、獲物を持ち帰った。
入口で合流し森に向かって歩きながら、リンが質問をした。
「いや、まったく出来ていないよ」
「そうか。まぁ、ルイに叩かれていれば、いつか神性力を操ることもできよう」
「それまであれを繰り返すのはしんどいな…」
「でも必要なことだよ、仁。なんせボクみたいに神性力を持っている人間は、一目で君が加護持ちだとわかる。それはとても危険だからね」
確かに危ない。もし神性力を持っているやつが敵だったら、僕はそれだけ手札をさらしている状態になる。
「何かバレないようにする方法はないの?」
「うーん。もしかしたらだけど、神性石を使えばいけるかも」
「神性石?」
「そう。神性力を貯める石のことだよ。神性石は周りの神性力を取り込む性質がある。それを身に着ければ、君の漏らす神性力を勝手に吸収してくれるはずさ。そうすれば他の加護持ちにバレないと思うよ」
そんな石があるのか。あれかな、リンから聞いた神々の遺物というやつの一種だろうか。
「それってこの間リンから聞いた神々の残した遺物ってやつかな?」
僕の質問にルイが答える。
「正確には違うけど、その認識でいいよ。神性石は神話の時代に生まれたものなんだ。昔はね、神々がこの地上にいて直接争っていたのさ。そのときはこの世界そのものが神々の神性力で溢れていたんだ。その神性力で鉱物などが変容し、神性を貯めこむようになった。つまり、神性石は神々が間接的に残した遺物なんだ」
そんなものがあるのか。
「ちなみに昔は神々が直接争っていたと言っていたけど、今は違うの?」
「そうだよ。神話の時代に神々が暴れた結果、この世界そのものが崩壊しそうになったんだ。それで神々が学んだ。自分たちがここいてはダメだと。そして神は神の領域を作り、そちらに移ったんだ。今、国とか神殿を持っているのはその時代から存在した神で、今は加護を与えたりして間接的に影響を与えているんだ」
なるほど。つまりこの世界には直接的に神は存在したらしい。さぞ危険な世界だっただろう。だが今はいないと。少し安心した。
あれ?だとするとリンはいったい何なんだろうか。僕はリンをちらっと見ながらルイに質問する。
「でももしかしたら神の領域に移っていない神もいるんじゃないの?」
「ああ、いるかもね。そういうのは世界全体に直接影響を与えることが出来ない、弱い神だけだよ。弱い神なら神の領域に移る必要がないからね」
つまりリンは弱い神だから存在しているということだろう。確かに彼女は強いとは言えない。ゾンビ相手に苦戦していたからだ。あくまで神目線だが。
「そんなこと聞くってことは何か心当たりでもあるの?」
ルイは純粋な疑問をぶつけてくる。僕はそれに答えていいのだろうか。悩んでいる僕より先にリンが口を開く。
「仁、それには儂が答えよう。儂のことだからな。ルイ、儂は神じゃ!そなたの言った弱い神じゃよ」
リンは当てつけのように自分の正体をバラした。それを聞いたルイは目を輝かせた。
「へー!珍しいね。でもボクは君に違和感を感じていたから、その違和感の正体がわかってほっとしたよ」
「だからっていきなり儂に向けて鎌を構えるのはやりすぎじゃ。反省せい」
「えー!別にいいでしょ。何もしなかったんだから」
「まったく、しょうがないやつめ。それでその神性石はどこへいけばあるんじゃ?」
「ルバーナの町に行けばあるよ。そこの死神様の教会を探せば、それなりにいいものがあると思う」
「つまり僕たちはその町に行かないといけないんだね?」
「そうだよ。でもその前に君のことも教えてよ、仁」
「わかったよ。実はーー」
僕はこの世界に来た経緯、そしてこの村に来た経緯を話した。するとルイは目を大きく見開いた。
「へー!異世界人!迷い人かぁ。珍しいね。百年前とかにいたという話は聞いたことはあるけど、まさか君がそれだとはね!ボクはうれしいよ。なんせボクは珍しいものが大好きだから!」
ルイは興奮して、僕を観察するように話した。だが聞き捨てならないことがある。
「百年前にも同じ境遇の人がいたの?」
「そうだよ。といっても君と同じ方法で来たのかはわからないけどね。死神様の神殿にその記録があったんだって。神隠しにあったと噂されてみたいだよ」
神隠し。この世界には神がいるから、本当のことかもしれない。というか僕もリンに連れてこられたから神隠しと言える。
「ルイ、その人って元の世界に帰ったのかな?そんな記録残ってない?」
「残ってなかったと思うよ」
「そう…」
少しがっかりした。もしかしたら元の世界に帰れるヒントがあるかもしれないと思ったからだ。それを見たルイが質問した。
「仁は元の世界に帰りたいの?」
「そうだね。こっちの世界だと苦労が多そうだし、危険だし、やりたいこともないし」
「そうなんだ。じゃあ、やりたいことが出来たら残るの?」
「うーん…。多分そうだね。そのときに決めるよ」
僕は曖昧に頷いた。
「それにしても君の話を聞いて思ったんだけど、もしかしてリンって疫病神なんじゃないの?」
ルイがとんでもないことを言い出す。
「なんでそう思うの?」
「だって考えてみてよ。仁はリンと会って乗り物に轢かれそうになったでしょ。ゾンビの件だって、彼女が村に来たから襲われたんじゃないの?リンは実は災いを招く疫病神だったりして」
ルイがニヤニヤしながらリンを見る。リンは険しい表情でルイに反論する。
「儂は疫病神ではない。確かにタイミングが重なったが、儂らがこの村に来る前から森には異常があった。それにもし災いが降りかかったとしても、儂は神ゆえ引き寄せることはあるかもしれん。だが災いそのものではない。言いがかりはやめろ、ルイ」
彼女は毅然と言い放った。もしリンが災いを引き寄せるのであれば、車の件もリンのせいなのかな?いやこれでは言いがかりだ。彼女は確かに助けてくれた。それ良しとしよう。
僕らはしばらく森を見回り、異常がないため引き返した。森の獣もルイやリンの索敵のおかげで見つけ、獲物を持ち帰った。
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