上 下
46 / 62
綾波明日菜の正体

もしもお兄ちゃんが……騙されているのなら……。

しおりを挟む

 お兄ちゃんがおかしい……暫く会わないうちに……何かおかしくなっている……。

 スマホを持って慌てて部屋に戻るお兄ちゃんの背中を見て私は不安に襲われる。

「お兄ちゃん……まさか……」
 神って……お兄ちゃんまさか……変な宗教にでも……。
 いやいや、まさかお兄ちゃんがそんな……物に興味を示すとは思えない。

 と、すると……やっぱり…………女?
 雪乃さん一筋だったお兄ちゃんがまさかとは思うけど……でも高校デビューって言葉もあるし……。
 そもそもお兄ちゃんは小学生の頃、そこそこモテてたのよね……本人それに全く気付いていなかったけど……。

 いわゆる……天才肌って奴? お兄ちゃんは昔から何もしなくてもそこそこ出来ちゃうから、多分努力の仕方を知らない。
 現に県内トップの進学校に入学してるし……。
 ちょっとやる気を出せば入れるなんてレベルの学校じゃないんだけど……それがわかってないのよねえ……。

「ひょっとして……変な女に引っ掛かったんでは?」
 女の子慣れしてないから、うちのお兄ちゃんは多分チョロい……。
 例えば綺麗な顔だけで惚れちゃう様な?
 まあアメリカじゃ珍しくないけど、金髪美女とかにコロッと騙される日本人の様な? そんなイメージがある。

「……久しぶりに帰って来た妹をほったらかしにして会いに行く女……」
 しかも騙されているかも知れない……多分買い物かなんかに連れていかれて……たかられる? いやいや、普通の家よりも小遣いは多いかも知れないけど、高校生の財力じゃあたかられると言ってもたかが知れてる。

「じゃあ……荷物持ちとか……」
 なんにせよ……心配だ……もしお兄ちゃんが騙されているならば、妹としては見て見ぬ振りは出来ない。

「確か……明日イケフクロウの前に……とか言ってたよね?」
 ここは妹として全裸にならなければ……あれ? 下着を脱がなきゃだっけ?

 …………あ、一肌脱がなきゃか……oh! ニホンゴムズカシクテワカリマセーーン

 なんて一人で遊んでる場合じゃない……とりあえず……明日お兄ちゃんの後をつけよう。
 そしてもしも騙されているのなら……私が……。
 

 私はお兄ちゃん様子を伺う為に自室に戻って隣の部屋にいるお兄ちゃんの声を聞く為に……壁にそっと耳を付ける。

「ふふふ、あ……ぽんが……や……ぽ……が……俺と……ふふ」

 微かに聞こえるお兄ちゃん声……何か笑って誰かの名前を呼んでいるって……気持ちわる!

「ヤバイよ、やばすぎるよ……お兄ちゃん……これなら何かの宗教の方が良かったかも……」

 お兄ちゃんの好きなラノベならば、ここは妹が自ら恋愛という物を教えてあげたりするのだろうけど……さっきの態度だと脈なしだよねえ……。
 まあ、私もそんなつもりはないんだけど……なんだろう……なんでこんな事を……なんか……誰かに言わされている様な……。
 
 とにかく……明日はお兄ちゃんにバレない様に変装をして後をつけよう……そしてもしも……騙されているってなったら……その時は……。

 私は……部屋に置いてあるトランクを開け……鈍く黒光りししている物を取り出す。

「──M1911……コルトガバメント……ふふ、ふふふ」
 もしも……お兄ちゃんが……騙されているならば……これで……相手を……ふふふ、ふふふふ……。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...