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幼なじみと隣の席の女の子

綾波の秘密

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 私は家に飛んで帰ると、リビングの扉を思いっきり開けそして叫んだ!

「おねえちゃんんんんん!」

「ふえ?」

「ふえじゃない!」

「ふお?」

「そういう意味じゃない!」

「どうかした明日菜ちゅわん」
 お姉ちゃんは私を見るとキス顔の様に唇を尖らせて名前を呼んだ。

「どうもこうも無い!」
 私はリビングでだらしなく寛いでいるお姉ちゃんの前に数学のノートを置く。

「……凄いねえ、やっぱり勉強出来る学校は、私全然わかんなかったわ」
 お姉ちゃんはそのノートを持つとしかめっ面でパラパラとページを捲った。
 やっぱりそうだ……昨日お姉ちゃんは私の学校に行ったんだ……私はそう確信した。

「最後の所……書いたのお姉ちゃんでしょ?!」

「うん! 折角だから写してあげた! 偉い? 褒めて褒めて!」
 どうだと言わんばかりに胸を張るお姉ちゃん……駄目だこの人に常識は通じない……。

「うんじゃない! どうして私の学校に行っちゃうの?! 具合が悪かったんじゃ無いの?」
 私がそう言うとお姉ちゃんは、にはは、といつもの様に笑う。

「なんか朝になったら治っちゃった、テヘ」
 片目を瞑って舌を出す人を小バカにしたような表情をする姉に私はイライラが増す。

「テヘ……じゃない! バレたらどうするの!」

「バレないバレない」
 制服姿、パンツ丸出しでそう言いながら足を横に振るお姉ちゃんに私は頭を抱えた。

「隣の日下部君にバレかけてたよ! なんか雰囲気違ったって!」

「ああ、明日菜ちゃんの王子様でしょ? 大丈夫大丈夫、あの子なら、なんか鈍感そうね、悪い女に騙されるタイプ?」

「全然大丈夫じゃない!」
 いつもこうだ……、お姉ちゃんは私と違ってお気楽過ぎる。

「もう、相変わらずの心配性だなあ……だから明日奈ちゃんは、友達居ないんでしょ?」

「うるさい! 今それは関係無い!」

「極端な人見知りだからなあ、明日奈ちゃんは……そうだ! 今度またお姉ちゃんが学校に行って、一杯友達作ってあげる!」

「……止めてね、本当にそれだけは止めて、私学校に行けなくなるから」
 この人なら本当にやりかねない……。考えただけで恐ろしい……、クラス全員が私に話しかけて来た日には……多分ショックで軽く死ねる。

「え~~だって、そんなんだからあんな普通の男に惚れちゃうんでしょ?」

「放っておいて、っていうか、まだ惚れてない! 気になってるって言っただけでしょ?」

「まだって言っちゃってるし、そもそも明日奈ちゃんの気になってるは好きって意味だからなあ」

「そ! ……そ、そんなの、まだわからないよ……向こうだって私なんて」
 そう……私には勿体ないくらいに優しくて……素敵な人、同じ趣味も共有出来て……私の……理想の人……。

「真っ赤な顔して可愛いねえ、その眼鏡外せばどんな男も堕ちるでしょ?」

「外せるわけないでしょ!」
 
「だって、仕事の時は外してるじゃない」

「外さないと出来ないから無理してやってるの! そもそもお姉ちゃんが勉強しないのが原因でしょ!?」

「勉強しても出席日数ってのがあるのだよ、明日奈ちゅわん」

「私も女子高生だから知ってるよ! だから出来るだけ協力してるんでしょ! お母さんの条件なんだから、私とお姉ちゃんがきちんと高校卒業するってのが……でも家計も大変だし……私はやりたくてやってるわけじゃないの!」

「だって、こんなに忙しくなるとは思わなかったんだもん」

「私だって受験大変だったんだからね!」

「私と同じ学校なら余裕だったのにねえ~~」

「テストとか被るでしょ? お姉ちゃんの学校二期制でうちが三期制だから上手く予定が合うんでしょ?」

「え~~、もっと変わってよ~~私は明日奈ちゃんと違ってデートする暇もないんだから」

「彼氏いない癖に!」

「うるさい! 女子高で仕事抱えてたら作る暇がないの! 私は明日菜ちゅわんと違って友達もいるし~~」

「うるさい! と、に、か、く! 二度とこんな事しないで! さもないと、もう協力しないよ!」

「はいはい、わかったわかった」

「はい、は一回!」

「は~~い」
 ううう、何にも聞いてない……この目の前にいるパンツ丸出しの女子は、私の双子の姉なのだ……綾は私のお姉ちゃん……私はお姉ちゃんがどうしても出られない時のバックアップとして、その時だけ綾に、お姉ちゃんになりきる。
 だから昨日はお姉ちゃんの代わりとして仕事に行っていたのに……姉ちゃんは……私の学校に行っていた……。

「はああ、良かった……バレなくて本当に良かった……」

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