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一章 お、おれ?

10 いつも通りの……か?

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 復縁の翌週の土曜、以前と同じずっとくっつくスタイル復活。和樹はモバイルで仕事したりしてたけどね。課長は仕事が多くてどうしても終わらない日があるんだってさ。休日出勤は少しでも嫌だそうだ。近いんだから二時間くらい行けばいいとも思うけどね。

「嫌なんだよ。休みは休み。智といたいんだ」
「ふーん。ありがと」
「いや、僕がそうしたいだけ」

 俺はその間ヒマだから和樹おすすめの本を読んでいた。いやあ、時代ものの本が好きとは思わなかった。歴史オタクとはね。大学も文系だったそうだ。俺はてっきり理系かと……

「理系なら営業には来ないよ」

 理系は商品開発に行くことがほとんどで知ってるだろ?と聞くからうんと答えた。

「その本な。僕はその頃の時代背景、史実に残っている武将ではなく、庶民の生活に興味があるんだ。文化的にね」
「ふーん」

 カタカタとキーを叩きながら返事をする。

「食べ物だったり、娯楽や建物、男女の関係とかね。それと、今作られるドラマや映画より昔の……そう、親世代が楽しんだ頃の時代劇が好き」
「ふ~ん。なにか違うの?」

 膝にいる俺の顔を覗き込みチュッとして俺の唇を舐めた。最後のはよけいだ。照れるだろ。

「まっかだね。エロいクセにこういうのは照れるんだな」
「だって!」
「んふっかわいい」
「もう!」

 さっきの話だけどさと続けた。なんだよこのメリハリ!なんとかならないのか!キスはなかったように話しだした。

「なんだろうな、単純な起承転結なんだけど、所作とか舞台装置とかがきちんとしてるんだよ。よく調べててね」
「へえ、そうなんだ」
「うん。今の時代劇はその時代ではないものがけっこう混じってるし、所作がおかしかったり。どうなの?とは思って観てる」

 でも、現代のは心情をよく表現している。だからどちらがいいとかではないね。それに手つかずの自然なんか探すほうが大変だろうしって。

「まあねぇ、今やどこにでも人の手は入ってるもんね」
「うん、よく作ってると思うよ。CGが多いのも仕方ないね」

 俺は和樹が勧めなけりゃ時代小説なんか読みやしない。俺はもっぱらライトノベルかマンガだ。あ、推理モノは好きで時々読むかな。ホラーとかもね。
 
 通勤時間が暇なんだよなあ。俺の部屋は会社まで電車で一時間はかかって一本で来れるだけが利点だ。前の彼の部屋が近いからって引っ越してそのまんま。近くて行き来が楽だったんだ。休みは不得意だけど料理したり車で出かけたりしたなあ。そんな楽しい時期も最初はあったんだよ。あの頃はな……

「なに考えてる?」
「ふえ?本読んでるよ?」
「いや、違うこと考えてただろ」

 あはは、本当にカンがいいな。何で気がつくんだろう?そんなに嫌なのか。俺は過去は過去と思ってるから。そうだな、和樹の前彼の話は聞きたいけどな。嫉妬はするだろうけど。

「ごめん。つらつらと昔を思い出してた」

 頭をポンポンしながら、

「僕は嫉妬深い。会社で誰かを智が触ってるのを見るのも嫌だね」
「マジ?」
「マジ」

 そんなこと言ったことも匂わせたこともないだろ?本を胸に置いてマジマジと見上げた。

「なんだよ」
「和樹、それ前の人には嫌がられなかった?」
「嫌がられたよ。小せえってな」
「だよね……」

 初めは喜んでたけど次第に面倒臭えって言われてね。彼女でも同じで嫌がられたそう。

「そりゃあ女性でも嫌でしょ?」
「らしいね。僕なら嬉しいだけなんだけどなあ」
「あはは……それ束縛になるもん」
「分かってるよ。だからお前には言わなかったんだ。僕カンがいいだろ?」
「うん。不気味なほど」
「うるせえよ。それで恋が終わるのも分かるんだ。だから別れても引きずらない。心の準備が出来てしまうんだ」

 そっか……俺はなんでそんなにカンがいいのか気になったから聞いた。

「なあ、なんで分かるの?」
「うーん……なんとなくかな。表情とか動きとか、声のテンションとか、場の空気かな。なにってのはなくて、ピンとくる」

 んん?このタイプはどっかで見たぞ。何だったかは忘れたけどさ。人の顔色を気にしすぎる……

「あの……失礼だけど、子供の頃その……なんかあったりした?」
「え?……ああないよ。そういった顔色うかがうのとは違うんだよ」

 この一言で理解するのか、すげぇ。
 和樹は鍵っ子ではあったけどねって。だから祖父母の家に親が帰るまで預けられたりはあったよって。

「そんなのは誰でもあるだろ」
「うん。まあ」

 てことは「知らないことを知る趣味」の好奇心が相手や物をよく観察する習慣になり結果、カンがいいに繋がるのかな。コワッ!隠し事できないじゃん!もうないけど。

「智」
「なに?それと、なんで俺の股間握るの?」
「触りたくなったから」
「あなた仕事してるんでしょ!」
「もう終わる」

 困った人だね。昨日のあれだけしてるのにさ。分かんないけどエロスイッチが入ったのかな。

「脚開いて。してあげる」
「あ、うん」

 下着から出そうとするともう勃ってて硬い。

「仕事しながらエロしか考えてないの?」
「ふふん。智が隣にいればいつでもしたい」

 カプッと咥えるとビクッとして舐めてると息が次第に荒くなる。

「智は上手いよね…ハァ……いい」
「ふぁりがふぉ……」

 カタカタと彼の指はキーを弾いている。俺は口に咥えてネロネロと舐めたり、グボグボと口で擦ったり。

「いいよ……」

 和樹のはマジでデカい。女性の口ではこれきついだろうなって大きさだ。俺でもいっぱいになるし。

「うっ…あっ……ハァハァ……ソコ」

 この声いいよね。俺相手の喘ぎ声好きなんだ。声出さないようにするタチもいるけど出して欲しい派。俺は手で掴んで擦りながら舐めていた。

「智でちゃうよ。もう少し楽しませてくれよ」
「仕事してよ。待ってるんだから」
「アっ分かってるよ。クッ…ウッ……そこもっと」

 俺の頭を撫でてハァハァとしながらキーを叩いてた。フッアッなんて声がしてたかと思うとガシって俺の頭を掴んで、ビュッビュッと。ヤリ過ぎてるのか薄い。

「ハァハァ……ほらティッシュ」
「うん」

 僕は飲むのが愛情でなんて思ってないからって。俺は吐き出して口を拭った。

「ありがとう。襲わずにすんだよ」
「うん」

 そうだった。和樹は部屋にいるとなにでエロスイッチが入るのか不明だけど、突然抱きたがるんだ。俺たちは忙しく平日は一緒に帰れることは少ない。彼は夕方からの会議もあるし、俺は外回りに出てるし。だから週末にまとめてしようとするからかも。

「俺鍛えようかな」
「なんで?」
「あなたが絶倫だから。俺月曜は特に辛いんだよ」
「ああごめんね。僕は元気でツヤツヤになる」
「うん、知ってる」

 疲れ知らずだよね。毎回少なくて三回。多ければ五回も六回もしてるしね!俺は何回イッてるやらでさ。更に帰る前に襲ってくるし!

「少し回数減らすのは?」
「無理」
「グッなんで?」
「僕は好きな人に触れていたいんだ。繋がれればなおいい。だから膝枕させてんの」

 俺もそれは好き、それは否定しない。抱かれてちんこ勃てながらキスするのも大好き。少し下着が擦れるだけでイクのも楽しみだ。でも入れて欲しいのとは違うんだと言ってみる。

「お前のその趣味のせいもあるかな。僕は勃起を我慢する気はない」
「はい……」

 俺のせいなの?入れないで触り合うのも楽しいじゃん。しゃぶっても二本掴んで擦り合うだけでもいいじゃんねえ?

「足んねえんだよ。出せばいいわけじゃないんだ。僕はね」
「さようで……」
「僕はセックス大好き。触り合うのも好きだけどね」
「はい」
「でも智とはそれだけじゃ足りない。僕もここまで相手に欲情するの初めてだよ。だからすべてお前が悪い」

 俺ですか、そうですか。
 俺がおっ勃ててキスをするのを我慢すれば、おかしなエロスイッチの回数は減るんですね。かしこまりました。キスは入れられてもいい時だけにする!と心に誓って本を読み始めた。そこから三十分経たずに仕事は終わった。

「さて、抱くかな」
「はあ?」
「一回抜いたくらいで僕の股間は満足しない」
「う、うそでしょ?昨日もあんなにして、夜もするんだよね?」
「当たり前だよ。来週まで我慢しなくちゃならないんだから」

 そう言うとソファに押し倒してキスがああ!

「智。僕のフィニッシュはお前の中だ。日中だから一回で我慢してやる」
「そう?そうなの?それであってるの?待っあっんんっ」

 このひと月の空白を取り返すように抱かれた。絶倫を怒らせてはいけない、際限なくしたがるし、この二日は出かけずヒマなら俺を膝に乗せていた。
 うん。彼と付き合うにはお外に遊びに行くのがとても大事、部屋にいたらダメなんだと悟った。俺の尻が持たないんだよ!





    
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