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四章 領主として俺
11.新たな街の現状
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拡張のお願いに行ったひと月後、街は二倍の広さになった。全体にグルっと広く拡大させたんだ。だから今までの街が中心部になるような感じ。
「やっはりお店が空いてるね」
「そうだなあ」
俺たちは新しい街を騎獣で上空から眺めていた。フィトは騎獣出せないから騎士の前に乗せてもらってな。セリオの呟きにフィトは、
「本当にロドリグ様の言う通り埋まりますかね。半分は空いてますよ」
「まあなあ。信じるしかないよ。もう作ったし」
新しい店舗や宿屋の引っ越しを眺めてみんなむ~ん。広げた分小さな広場も作ったりもして出来は素敵だけどまだ屋台もなくてな。ただ人が山や城下町にと空き店舗の道を通り抜けているだけだ。
「ダリオたちギルドに聞いてみてくれ。今後の予定をさ」
「分かった。俺が手配する」
「おう。頼むなディエゴ」
それから十日過ぎた。
「エリオス。ギルドからの報告だ」
「おうどうだ?」
俺の執務室で報告会。ディエゴが手配して補佐たちから聞いた。
「では商業ギルドから今後の予定についての報告です」
「話せ」
モイセスはレストランや物販の店舗が今後二ヶ月の間に空き店舗の半分が埋まる予定ですと話し、
「最近野菜の買い取りでドナシアンの者が出入りしています。その者たちの雇い主がこちらに店を持ちたいと申請書が届いております。こちらです」
俺はその申請書を受け取った。あ~あのマッチョのユーリの領地の商人か。ペラっとめくるとユーリのお墨付きの書状付き。ふーん。
「他の国もあるな」
「はい。街が大きくなり観光客以外の出入りも増えているそうです」
「そうか」
エリオス様が吟味して許可をお願いします。それが通れば八割は埋まりますと。
「残りは二割か」
次に工房ギルドから。
「街外れには家具、染め物、武具などの工房予定の建物が集中しております。そこはもうすぐ引っ越しだそうです。城下町には工房の増設の土地はもうありませんから」
「そうか。ならいい」
次は冒険者ギルド。
「ここは一つだけ大きな建物を作っておりまして、北の大きなギルドとして城下町と二分し経営していくそうです。薬草、魔獣の買い取り、新たな冒険者の登録など多岐に渡る業務をするそうです」
あれ?うち冒険者の需要はあまりないはずなんだが?
「そんなに冒険者いて金になる仕事あるの?」
モイセスは違う紙を取り出して読み上げる。
「それがお金になる魔獣の巣というか一時居留地といいますか。南の湖に尾羽の長い大きなインコ見たいな鳥の魔獣が来る事が分かりまして」
「ほうほう」
「年に二回、春と秋にやってくるらしいです。とても珍しい美しい鳥でペットとしても人気で捕まえに来ています」
そのため冒険者はこの二季に新人が増えるそうだ。魔法の使い方の訓練にもってこいのペット魔獣らしい。
「へー新人の地となってるのか。鳥はすぐに捕まるのか?」
「それが……簡単ではないらしくて。傷つけたら売り物になりませんし。たまに話せる個体もいるようですね」
「え?フェンリルみたいに喋れるの?」
「そのようですね。色が違うのが混じっているようで上のクラスの冒険者が捕まえに来てます」
ロドリグ様何も言ってなかったけどな。ま~た隠し事か!
「まあいい。そうすると後二割か」
「そうですね。この調子なら遅くても一年以内には埋まりそうです」
ディエゴはロドリグ様の読みは正しかったですねと。
「ああ。観光地の運営に慣れている者は先も見れるんだろう。俺は今なんとかしか考えてなかったからな」
「それは俺たちもです。目の前の困り事を片付けていくだけでね」
モイセスは報告は終了です。失礼しますと隣の部屋に下がった。俺はお茶を一口含み、
「俺な。ここを最終的にどんな領地にしたいかまだ考えが纏まってないんだ。頭の中が固まらない」
「え?観光の領地でしょ?」
「それは大枠の物だ。全体図っていうのかな」
ああとみんな納得。国内の温泉領地は歓楽街を多数作り常に人がたくさん。湯治や家族旅行、エロ目的にな。あれが完成形なのかもしれないが……
「ああしたくはないと考えているのか?」
「うん。どうにもあのエロが満載のごちゃごちゃした感じが嫌い」
ふーんとみんな俺を見る。
「子供作っても?ロドリグ様といちゃいちゃしても?」
「フィト。それとこれは違う」
「そう?」
「そうなの!」
セリオも含めゆったりした時間の頃に他領の視察に俺たちは出ていてた。
取り入れられそうな物を探していたんだ。俺たちは城では感じにくい「民の肌感覚」の視察も含めていたんたけどね。
「難しいな。どこも酒やエロい店を好む者が金を落とすから」
「そうだね。ディエゴの言うとおりだ。何でも手に入れた金持ちは愛妾を持ちたがり、遊びで他も抱きたいようだね」
フィトとクスクスと笑った。
「領主や貴族でここまで歓楽街を嫌うのはあなたくらいだ。僕は色んな国も領地も回って色々見たり聞いたりしたけど、やっぱり下半身の楽しみはお金持ちの娯楽になっていたよ」
「ああ。分かっているんだ。少ないけど俺の所の店も大繁殖と聞いている」
ここに来ている観光客は国内だけではない。たくさんのお金を使って遊びに来てるからなあ。財布の紐も緩くなるし、自分の土地でないと気も大きくなるんだろう。暴れてるし。
「ですねえ。お気に入りの子が休みとはなんだと叫んでるのが店の外まで聞こえて」
「人族な。金払いはいいが少し乱暴でと店の子たちが言ってた」
人族。猫族に執着とかロドリグ様がここにいたいための嘘かと思ってたんだ。が、これが本当だった。ナンパも多くてなあ。
「初めてここに来て、人族だあキレイな人たち。なんて喜んでる人は特に狙われる」
「ええ。何度も来てる猫族は警戒してますからね」
「ねぇねぇ。ロドリグ様に相談してみれば?」
んふふっムダ。
「フィト甘いな。あの人が率先して食ってる」
「ゲッみ、身分的に……」
「関係ないんだよ。俺の家臣だ身元は大丈夫と信用させてるらしい」
「そ、それはまた……なんて言うか」
「な~酷いだろ」
おいおい話があさってだぞとディエゴに言われ、ゲフン。
「健全にだけではだめなんかな」
セリオもディエゴもむ~ん。
「だめではないが……目新しさがなくなって時と共に衰退……も、なくはない」
「うん」
だからよそは色んなイベントを開催して人を呼んでるんだよなあ。領主の誕生日とか、その地の英雄記念日、何かの始まり記念日とかなあ。
「うちは今出来たから出来ないね」
「フィト。俺の心を抉るな」
「この先かあ……」
漠然と領地が落ち着いて収入が安定してうふふっって考えていたけど、ロドリグ様と話すようになってこれを維持するのがとてつもなく大変と感じて来たんだ。
みんなの食い扶持もだけど、民もここにいて生活が楽しいと思って貰わなくてはよそに行ってしまうかもしれない。
「人は土地、領主の魅力が薄いと出ちゃいますからね」
「やめろフィト。不安で死ぬ」
「だってこの地は今稼げていますからねぇ。いつかお金をたんまり貯めた民は考えるかもね」
俺は想像してしまった。どんどん店が閉まっていく様を。
「フィト、僕のエリオスいじめないで」
彼はセリオにムッとして、
「その甘さがダメってロドリグ様に叱られたんでしょ!」
「うっ僕が悪かったです」
すぐにははと笑った。
「でもね。気持ちは分かる。僕もなんとかなりますって言いたい。けどそれでは今までと変らない」
ディエゴもそうだなって。
「お前の相談にもなあなあで応えるんじゃなくてしっかり考えて応えたい」
「ありがと。俺なりに考えてみる」
「まだ始まったばかりだ。考える時間はたくさんある。やりながら固めてな」
「そうだよ。僕は甘いけど頑張るから」
俺はみんなを見た。知らないうちにいい顔になった。俺をただ盛り上げていた頃とは違う顔だ。俺も変わらなくてはな。そんな事を思った。
「やっはりお店が空いてるね」
「そうだなあ」
俺たちは新しい街を騎獣で上空から眺めていた。フィトは騎獣出せないから騎士の前に乗せてもらってな。セリオの呟きにフィトは、
「本当にロドリグ様の言う通り埋まりますかね。半分は空いてますよ」
「まあなあ。信じるしかないよ。もう作ったし」
新しい店舗や宿屋の引っ越しを眺めてみんなむ~ん。広げた分小さな広場も作ったりもして出来は素敵だけどまだ屋台もなくてな。ただ人が山や城下町にと空き店舗の道を通り抜けているだけだ。
「ダリオたちギルドに聞いてみてくれ。今後の予定をさ」
「分かった。俺が手配する」
「おう。頼むなディエゴ」
それから十日過ぎた。
「エリオス。ギルドからの報告だ」
「おうどうだ?」
俺の執務室で報告会。ディエゴが手配して補佐たちから聞いた。
「では商業ギルドから今後の予定についての報告です」
「話せ」
モイセスはレストランや物販の店舗が今後二ヶ月の間に空き店舗の半分が埋まる予定ですと話し、
「最近野菜の買い取りでドナシアンの者が出入りしています。その者たちの雇い主がこちらに店を持ちたいと申請書が届いております。こちらです」
俺はその申請書を受け取った。あ~あのマッチョのユーリの領地の商人か。ペラっとめくるとユーリのお墨付きの書状付き。ふーん。
「他の国もあるな」
「はい。街が大きくなり観光客以外の出入りも増えているそうです」
「そうか」
エリオス様が吟味して許可をお願いします。それが通れば八割は埋まりますと。
「残りは二割か」
次に工房ギルドから。
「街外れには家具、染め物、武具などの工房予定の建物が集中しております。そこはもうすぐ引っ越しだそうです。城下町には工房の増設の土地はもうありませんから」
「そうか。ならいい」
次は冒険者ギルド。
「ここは一つだけ大きな建物を作っておりまして、北の大きなギルドとして城下町と二分し経営していくそうです。薬草、魔獣の買い取り、新たな冒険者の登録など多岐に渡る業務をするそうです」
あれ?うち冒険者の需要はあまりないはずなんだが?
「そんなに冒険者いて金になる仕事あるの?」
モイセスは違う紙を取り出して読み上げる。
「それがお金になる魔獣の巣というか一時居留地といいますか。南の湖に尾羽の長い大きなインコ見たいな鳥の魔獣が来る事が分かりまして」
「ほうほう」
「年に二回、春と秋にやってくるらしいです。とても珍しい美しい鳥でペットとしても人気で捕まえに来ています」
そのため冒険者はこの二季に新人が増えるそうだ。魔法の使い方の訓練にもってこいのペット魔獣らしい。
「へー新人の地となってるのか。鳥はすぐに捕まるのか?」
「それが……簡単ではないらしくて。傷つけたら売り物になりませんし。たまに話せる個体もいるようですね」
「え?フェンリルみたいに喋れるの?」
「そのようですね。色が違うのが混じっているようで上のクラスの冒険者が捕まえに来てます」
ロドリグ様何も言ってなかったけどな。ま~た隠し事か!
「まあいい。そうすると後二割か」
「そうですね。この調子なら遅くても一年以内には埋まりそうです」
ディエゴはロドリグ様の読みは正しかったですねと。
「ああ。観光地の運営に慣れている者は先も見れるんだろう。俺は今なんとかしか考えてなかったからな」
「それは俺たちもです。目の前の困り事を片付けていくだけでね」
モイセスは報告は終了です。失礼しますと隣の部屋に下がった。俺はお茶を一口含み、
「俺な。ここを最終的にどんな領地にしたいかまだ考えが纏まってないんだ。頭の中が固まらない」
「え?観光の領地でしょ?」
「それは大枠の物だ。全体図っていうのかな」
ああとみんな納得。国内の温泉領地は歓楽街を多数作り常に人がたくさん。湯治や家族旅行、エロ目的にな。あれが完成形なのかもしれないが……
「ああしたくはないと考えているのか?」
「うん。どうにもあのエロが満載のごちゃごちゃした感じが嫌い」
ふーんとみんな俺を見る。
「子供作っても?ロドリグ様といちゃいちゃしても?」
「フィト。それとこれは違う」
「そう?」
「そうなの!」
セリオも含めゆったりした時間の頃に他領の視察に俺たちは出ていてた。
取り入れられそうな物を探していたんだ。俺たちは城では感じにくい「民の肌感覚」の視察も含めていたんたけどね。
「難しいな。どこも酒やエロい店を好む者が金を落とすから」
「そうだね。ディエゴの言うとおりだ。何でも手に入れた金持ちは愛妾を持ちたがり、遊びで他も抱きたいようだね」
フィトとクスクスと笑った。
「領主や貴族でここまで歓楽街を嫌うのはあなたくらいだ。僕は色んな国も領地も回って色々見たり聞いたりしたけど、やっぱり下半身の楽しみはお金持ちの娯楽になっていたよ」
「ああ。分かっているんだ。少ないけど俺の所の店も大繁殖と聞いている」
ここに来ている観光客は国内だけではない。たくさんのお金を使って遊びに来てるからなあ。財布の紐も緩くなるし、自分の土地でないと気も大きくなるんだろう。暴れてるし。
「ですねえ。お気に入りの子が休みとはなんだと叫んでるのが店の外まで聞こえて」
「人族な。金払いはいいが少し乱暴でと店の子たちが言ってた」
人族。猫族に執着とかロドリグ様がここにいたいための嘘かと思ってたんだ。が、これが本当だった。ナンパも多くてなあ。
「初めてここに来て、人族だあキレイな人たち。なんて喜んでる人は特に狙われる」
「ええ。何度も来てる猫族は警戒してますからね」
「ねぇねぇ。ロドリグ様に相談してみれば?」
んふふっムダ。
「フィト甘いな。あの人が率先して食ってる」
「ゲッみ、身分的に……」
「関係ないんだよ。俺の家臣だ身元は大丈夫と信用させてるらしい」
「そ、それはまた……なんて言うか」
「な~酷いだろ」
おいおい話があさってだぞとディエゴに言われ、ゲフン。
「健全にだけではだめなんかな」
セリオもディエゴもむ~ん。
「だめではないが……目新しさがなくなって時と共に衰退……も、なくはない」
「うん」
だからよそは色んなイベントを開催して人を呼んでるんだよなあ。領主の誕生日とか、その地の英雄記念日、何かの始まり記念日とかなあ。
「うちは今出来たから出来ないね」
「フィト。俺の心を抉るな」
「この先かあ……」
漠然と領地が落ち着いて収入が安定してうふふっって考えていたけど、ロドリグ様と話すようになってこれを維持するのがとてつもなく大変と感じて来たんだ。
みんなの食い扶持もだけど、民もここにいて生活が楽しいと思って貰わなくてはよそに行ってしまうかもしれない。
「人は土地、領主の魅力が薄いと出ちゃいますからね」
「やめろフィト。不安で死ぬ」
「だってこの地は今稼げていますからねぇ。いつかお金をたんまり貯めた民は考えるかもね」
俺は想像してしまった。どんどん店が閉まっていく様を。
「フィト、僕のエリオスいじめないで」
彼はセリオにムッとして、
「その甘さがダメってロドリグ様に叱られたんでしょ!」
「うっ僕が悪かったです」
すぐにははと笑った。
「でもね。気持ちは分かる。僕もなんとかなりますって言いたい。けどそれでは今までと変らない」
ディエゴもそうだなって。
「お前の相談にもなあなあで応えるんじゃなくてしっかり考えて応えたい」
「ありがと。俺なりに考えてみる」
「まだ始まったばかりだ。考える時間はたくさんある。やりながら固めてな」
「そうだよ。僕は甘いけど頑張るから」
俺はみんなを見た。知らないうちにいい顔になった。俺をただ盛り上げていた頃とは違う顔だ。俺も変わらなくてはな。そんな事を思った。
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