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一章 多分見放された

5.調べたが……

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 城に着いた俺は、父上にあいさつなど無視して、図書館にダーッシュ!棚をうろつき子爵の文献を探した。うん……ちょびっとしかねえぞ。

 古い時代の本に、領地の隣にの隣国の街があり、そことの交易で栄えていたらしい。そして……月日は流れ、隣国が滅びた。流行病であっという間に人口の三分の二が死滅。国として成り立たなくなり、街は消滅。民は両隣の国に移転。そして……隣国は跡形もなくなり、あの俺が落ちていた草原になった………うそん。

 それ以降は細々と畑を耕し、旅人の中継地として宿場町になり、子なし子爵は死亡。国は跡の貴族を選定せず放置で野に還ったのか。ふふん、終わった。当然納得いかんと他も探したが変わらず。何もねぇ!

「父上知ってたよな、多分。嫌がらせにもほどがあるだろうがよ!ったく」

 ブツブツと独り言で文句をたれていると、に、い、さ、まぁ~と弟が不意にやって来た。

「何してんの?」

 と、座る俺を覗き込んだ。

「あ?俺の土地のさ、目玉産業になるものがないかなって調べに来たんだ。だけど今のところ何もない」
「そう、それは残念だったね。あのさ、今度僕番と遊びに行ってもいい?何もないけど、いい所らしいじゃない」

 酷いなサントス……

「確かに何もねえよ」
「なら、二人で朝まで楽しめるね。うふっ」

 そうだな。人もいねえから外でも可能かもな。

「いやん。それはあれかな……でもお外でかあ……刺激があっていいかもね?」
「あはは……そうだな」

 自分で住民いないアピールとか、ああ嫌だ。好きなだけ番と交わって楽しめ。ふーんだ!

「そうそう、兄様は番見つかった?」

 いきなり俺の心をえぐるのやめろ。

「クッ……見つからない」
「ん~……ならさ、やっぱり一度誰かに触れてみて考えるのは?」

 みんな身体の相性が先かよ。俺は心の繋がり優先なの!そんで二人で幸せに生きるんだよ!

「え~、幸せには分かるけどさ。ベッドの中はよくないとつまんないよ?」
「俺はつまんなくないの!ほっとけ!」

 まあ、見つかったら報告してよね!美形大好き兄様のお眼鏡に叶う人はいるのかな?あはは!僕神様に祈ってあげるよ兄様!と爆笑。意地悪しに来たのかお前は!

「違いますぅ!お泊りの予約と報告だよ。父上がマジでエリオス兄様がなんとかなったら、王を引退する気みたいでね。城の気に入った人、食いまくってるの」
「ええ?」
「でね?食われた人たちがさ………」

 話しによると、食われた人の中には王の外見が好きだった人もいてさ。抱かれたいって貴族からのお召が増えた。父上はこれ幸いと貴族の屋敷まで出向いてヤリ放題。仕事は長兄のファウルに丸投げして遊んでるんだよって。

「あ~……そういえば俺の人生何だったんだろって俺が城出る前に言ってたな」
「ふ~ん。なら実行に移したんだね。あんな父上見たことなくてさ。ツヤツヤして若返ってるよ」

 ほほう……元気だな。まあ、若い頃はそれなりに遊んでたと聞いてるし、そんなもんなんだろう。

「そ~んな父上から生まれたのに、この兄はまあ、潔癖で困ったもんだね」
「いいだろ?」
「いいけどさ。ねえ、実はなんかあったのかな?」

 隣に座りニュッと顔が!本と俺の間に顔突っ込むな!

「何もねえよ」

 不審に満ちた目で俺を見んな。

「うそだあ!僕ら兄弟は好きでしょう?」
「それはお前らだけだ。俺は身体より心を大切にしたいの!」

 嘘つくな!吐けぇ!僕と兄様の仲じゃないかあと、肩掴んでゆさゆさとしなから静かな図書館で叫んだ。

「うるせえ!みなの迷惑になるだろ!」
「むうぅ、なら話してよ」
「何もねえよ」

 隣に座り腕を掴んで話せぇ吐けぇと小声でグタグタ。

「もうさ、お前は仕事に戻れよ。お泊りは受け付けるから」
「それはありがとう。で?」
「で?じゃねえよ」

 もう!兄様こっち向いて?と言われ顔を上げるとチュッと唇が触れた……?はあ?

「んふふっどう?」
「どうって……」

 キスだろ?お前としてもなんも感じないが?

「舌入れてねっとりする?そしたらなんか感じるかもよ?」
「お前……母上が違うからってやめろよ」
「ん~僕は兄様好きなんだけどなあ」

 兄弟でヤルとかないからな!とつい叫んでしまった。はっ!図書館にいるヤツ全員こちらを向いている!俺顔が真っ青から真っ赤に変化。クソッ

「お前が変な事言うから!恥ずかしいだろ!」
「それはあ、兄様が叫ぶからでしょ?僕悪くな~い」

 小声でボソボソ。こいつはもう……こんなだがサントスは優秀なんだ。俺の一つ下で宰相になるべく見習い中で、長兄ファウルに付いて歩いている。本当に評判がいいんだよ。見た目もかわいくて、よく笑い、みなの癒やしになっているらしい。

「お前は番だけ大事にしろ。な?」
「それはもちろん。だけど僕は本気で兄様心配してるんだよ?キスはやりすぎかもだけど、人に触れると、ちょびっと幸せな気分にならない?」

 はあ。う~ん……そりゃあ俺も適齢期でやりたい盛りのはずなんだけど、そのなんだ。昔母様に会いたくて夜中に父上の部屋に行ってさ。その……

「その?」
「シテる姿見て……あの……ちょっと引いちゃって……子供には刺激が強くてさ……」

 はっ!俺何いってんの!恐る恐る顔を上げるとなんてかわいいの兄様と、うっとりしているサントス。やべぇ。

「それでしないんだね?トラウマになっちゃったんだ」
「いや、そこまでではないんだが、アレするなら大好きな人がいいなあって思ってさ」

 くぷぷっと口押さえて真っ赤になって涙目で……サントス!

「なんて純粋な事言うの!王族とは思えない!かっわい~い」
「いいよもう!俺はほっといて!」

 なら僕は本気で神に祈ってあげるよ。兄様に素敵な番が現れるようにね!と大笑いして去って行った。あ~あ、明日には城中知ってるんだろな。はあ、もう出来るだけ城に近寄るのやめよ。ならもう来なくていいように探すぞ!夕食後も魔石の灯りで黙々と本を調べた。

「おはようございます。エリオス様」
「ごめ……まだ寝たい……セリオ……ぐう」

 あ~かわいい兄様。とって食いたい……え?ガバッと起き上がると、サントスと帰省時の側仕えがごめんなさい!と焦っていた。

「サントス、人の部屋に忍び込むなよ」

 頭をガシガシ掻いてまた横になったら、横にゴソゴソ入ってくる。

「出ていけ」
「いや!兄様、昔みたいに抱っこして?」
「いや!」

 んふふっなら僕が抱っこすると腕が回り……あれ……あったかいな……ねむくなる……ぐう。それから少しして起こされるとサントスはおらずメイドが、

「サントス様が本気で寝てしまったエリオス様がつまんないって仕事に行かれました」
「そう……」

 起きて身体を手でベタベタ。うん、襲われてはいないようだ。

「ふふっご安心を。兄様かわいいと撫で回してましたが、何もされてはいません」
「そう……それはよかった」

 もうサントス怖いから帰ろ。起きて風呂入って食事だけさせてもらって、急いで騎士たちと領地に戻った。……なんも結果のでない一泊二日の城だった。






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