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一章 森の中の国

10 力が解放

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 ロベール様は途中人払いをして、僕をベッドに寝かせた。

「暗い方がいい?」
「はい……」

 ならカーテン閉めると窓の方に向かう。いくつもあるカーテンを全部閉めると薄暗くはなった。

「ずっと夢見ていたリシャールを俺は手に入れた。出来れば初めても欲しかったけど、そこまでわがままは言わないよ」

 そりゃあ無理だな。僕は成人後こんな性格だからと早めの婚活はしてたんだ。実らなかったけど。

「今更ですけど、僕が成人した頃に求婚して下さればここまでゴネませんでしたよ。何もわからなければゴネようもありませんし」
「権力で振り向かせるのは違うんだよなあ」

 お前には幸せになって欲しかった。相手が誰であろうと、幸せに笑っててくれれば満足と……そのまま黙って僕に乗り上げた。

「ごめん嘘、お前が欲しかった。リシャールが誰かといるのを見るのは辛かったし、なんで俺の隣にいないのだろうって」
「待って……自分で脱ぎますから」

 脱がせるのも楽しみだよと、僕のシャツのボタンを外す。そしてシャツを広げると、幸せそうに頬を染めた。

「真っ白だね。それに滑らかな肌だ。北の人はスベスベ肌なんだな」
「ンッ……ッ」

 胸からお腹までを手が、指が撫でる。ゾクッとした。

「ここも色が薄くピンクで……かわいい乳首だね」
「アッ…ふっ……ん」

 指で摘んで優しく捏ねる。ロベール様の手は柔らかくて…んアッ……気持ちよくて体が勝手にピクビクするッ腕で口を押さえたけど声が止まんない。

「なんてかわいく鳴くの?俺おかしくなりそう」

 自分も脱いで僕と重なる。あれ?なんかしっくりくる。ここが定位置のような錯覚を、僕は感じた。なんで?

「かわいい……あの頃のままのリシャール。俺の愛したリシャールのままだ」
「そんな……あんっ訳ないでしょう」
「いいや。俺にキスしてくれたリシャールだよ」

 僕の頬を撫で指で髪を梳く。柔らかい髪で綺麗だよって、髪にキスしてくれる。

「まだなんにもしてないのに蕩けてる」
「なんでかこうしてるだけで…気持ちだけでいい」
「そう?でもキスしたらもっと気持ちいいよ?」

 ふっ唇が、舌が…体に触れる手が…んんっ

「感じ易いね」
「ハァハァ……違うの…あなただから…」
「嬉しいことを」

 ロベール様は楽しむように僕を愛撫している。体中に舌を這わせ、乳首を含み舌で捏ね…うグッ

「ココすごく漏れてる。欲しくて堪らないだろ」
「先を触らない…で…出ちゃ…」
「うん。すごく硬いもん。俺もお前もずっとしてなかったからな」

 先をグニッと強く摘むの止めて!あうっ

「やあぁッふうぅ…やめてぇ」
「一度出しな」

 パンパンになった先を……少し出てるんだ。軽くイッちゃってるのぉ

「ロベール…さ…ま……欲しいの」
「ずっとしてないだろ?解さないと無理だ。ココでイキな」

 擦られたらあっという間で、ウーッ彼の手にドクンと射精した。ああ……あ…気持ちい…い……あうっ彼が首に吸いついて。

「愛してる……俺のリシャール」
「ハァハァ……」

 愛してるとは返せなかった。彼に体はこんなに反応するのに、気持ちを言葉に出来なかった。

「ふふっココ解そうな」

 彼は枕の下から小瓶を出して手に取った。香油だ。僕は先が予想出来て期待にドキドキ。

「この香油は新婚さん用でな。初めての人でもすぐに気持ちよくなるんだ」

 僕はぼんやり小瓶を見つめていた。するとまんべんなくお尻に塗りつけツプッと指が中にッあんっ

「やっぱ硬いな。でもすぐに悦くなるよ」

 中に塗りつけるように……あれ?熱いような……なんか変な感じがする。僕媚薬とかなにか入っている香油は使ったことないから……うグッ疼くような……あっ…うんぅ…うっ

「やはり経験者は早いな。俺の指を吸い込んでいく」
「やっ恥ずかしいッ」
「恥ずかしくないさ。これから一生お前を俺しか見ないし触らないんだから」
「うっ……うん」

 しばらく解してくれて指が抜けると、彼は僕の割れ目に自分のを擦り付ける。熱くて硬い。つい気になって自分の開いた股間を……ウソッ

「ロベール様ちょっと待った!」
「なんだよ」
「その……ソレ入らなくないですか?」
「入るさ。俺の指が入るんだから」

 驚くほど大きいんだけど?見たことないサイズだけど……

「まあ、少し大きいかもね」

 ウソだろ!ちょっとじゃない!切れちゃうだろ!痛いかもしれないサイズじゃんソレ。

「ゆっくり入れるから」
「そ、そういうことではなく……アウッ」

 僕の脚を押さえて体重を掛ける。ンアーッ声我慢出来ない!お腹にすこい圧迫が……ッそんで痛い!

「痛いよぉ」
「エッ……マジで?この香油使ってるのに痛い?」
「うん……」

 そっか……お前アソコの小さいやつばっかと付き合ってたんだなと笑った。なら初めてみたいなもんだと思えて興奮するよって。いやいやそういうことではなく。

「少し慣れようか」
「うん」

 入れたままたくさんキスをしてくれる。僕このキス好き。すごく気持ちよくて……もっと…僕は彼に抱きついた。

「もっとして」
「うん」

 気持ちよくて喘いでいると腰をゆっくり動かす。慣れたのかそれほど痛みはなく、気持ちいい方が強い。

「慣れたから……ハァハァ……いいです」
「ああ、俺もしてなかったから持たなそうなんだ」

 グチュグチュと湿った音とパンパンと打ち付ける音が……ああ…いい……気持ちい……どうしよ気持ちいいんだ。

「いいだろ?」
「うん……でもなんか……はうっソコ!」
「お前はここがいいのか」

 うあっ…あっ…んんっ……ロベール…ダメェッ

「締め付けるなよ。出ちゃうだろ」
「おかしいッ今イッたのにもうなの!」
「俺のいいだろ?」

 よ過ぎだ!なんだよこれすぐイクでしょ!我慢が……ッうーっ

「も…イク……ッ」
「俺もだ。一緒にイこう」

 強く抱き締められると僕は我慢出来ずに絶頂した。ああ……中でイクの…いい……

「もげそ……ッなんて締めつけッキツイからかッ」

 彼もイッたのか穴から溢れてるのを感じる。セックスってこんなによかったんだね。いつも股間を擦ってもらわないとイケなかったのに、後ろだけでイッた……全身がビクビクするんだ。気持ちよくてふわふわ……なんて気持ちいいんだろう。強い快感が去ると気持ちよかった分脱力した。本気でイクと疲れるね。あはは……ハァハァ……

「満足出来たという顔だな。よかった」
「うん……よかった」

 香油のせいもあるが、丁寧な前戯もいいだろ?お前以前はそんなにセックス好きじゃなかったろと言われた。あー……そうかも。相手の気持ちばかり気にしてたからなあ。

「セックスはお互いが気持ちよくないとな。ノルンは射精すればそこそこ気持ちいいもんだが、アンはノルンで変わると俺は思ってるんだ」

 アンも射精するけど、するための前戯や気持ちいいところをノルンに意識してもらわないと、挿入だけでは中々イケない。前をいじってもらわないと射精すら難しい。なのに、初めての相手で中でとか、なんの奇跡だと思う。

「んふふっそれは俺がお前を愛してるから。気持ちよくなって欲しいと、俺が心から思っているからだ」
「ありがとうございます」

 そう考えると僕は歴代の彼氏に愛されてなかったってことだよね?僕も今思えば……こちらもごめんと言う気持ちが……

「リシャール愛してる。俺もずっと禁欲してたから満足したよ」
「え?それ本当だったんですか?宮中にはそういった相手をする者がいるでしょう?」

 バーカと額に指でビシッと弾かれた。痛い!

「俺はお前に全部あげるつもりでこの日まで過ごしてたんだ。他の者に俺を触らせる気はなかったの」
「あの……それはどういう意味?」

 鈍いねお前はと笑った。まあ抜くかとぬるんと抜けると、流れ出る感じがした。

「俺のが穴から出てる……俺の匂いをお前に付けられたんだな」
「はあ。さっきから言葉のチョイスがおかしいですよ?」

 お前はと言葉が途切れ呆れられた。お前が振られる原因が分かったよって。はあ?

「お前は相手の気持ちを見てるようで見てなかったんだよ。大人しいとか関係ない」
「はあ?それは失礼です。僕なりにみんな愛してました!」

 あははと大笑い。僕の頭のどこかがブチッと、どこか切れたような音がした。この物言いはムカつく。

「好きって言われたから付き合ってたんだろ?嫁に行きたくて」
「まあ、きっかけはそうですけど……でも違います!」

 まあ聞けよって枕を整えて僕を丁寧に寝かせる。そして自分も横になり布団を掛けてくれる。

「ほら頭ここ」
「うん」

 こうされたことは?射精の後相手は優しくしてくれた?と聞かれた。えっと……初めは確かにしてくれて……ない。終わったらひとりで水飲んだり、お酒飲んで勝手に寝てたな。

「お前は?それにどう思った?」
「え?……そんなもんかと」

 バーカと頬にチュッとされた。デートは?楽しかった?お前を優先してくれた?と問われる。

「あんまり……相手についていくことが多かったです。どこどこに行きたいって言われれば、自分が興味なくても嬉しそうにしてました」
「ほらみろ」

 ほらみろ?ロベール様は、それは相手にお前の愛情が伝わってなかったんだよって言われた。ええ?

「伝わってないというか、お互い見た目だけで惹かれたからだろうな」
「はあ……恋愛の最初なんてそんなものでは?」
「そうだが、そこからお互いなにも発展しなかったんだろ?」
「そうなの……かな」

 俺がいじめられてた時、お前は本気でガンブケに立ち向かってくれた。叩かれて痛くて泣きながら、それでもロベール様大丈夫?ぶたれてない?と笑ってな。本気で俺を庇ってくれた。

「そんな強い気持ちを、愛情を相手に持ってたか?」

 えっとぉ?

 家族とは違う気持ちであったのは確かだろうが、どこか心を閉ざしてたんじゃないのか?だから何も言わず従った。心から好きになれてなかったんだろ?と。そうなの?ええー歴代の人好きだったけどなあ。たぶん。

「お前のココは、でっかいカギが掛かってたんだよ」
「はあ」

 僕の胸を拳で軽くトンと叩いた。相手は本気でぶつかってこないお前に、本当に俺を好きなのだろうかと無意識に疑って、引き下がるお前をつまんないと感じる。お前も自分なりには好きだからなんで?となり、それを繰り返してたんだろって。

「分かりません。恋に恋してたのかもしれませんが、それも一つの形では?」
「そんな態度取られたら俺もつまんないになるよ」
「そうですか……」

 はあ。僕この年までなにしてたんだろう。ロベール様が言う通りなら……僕がダメだから続かなかったことになる。やはり大人になりきれてなかったのだろう。まあ、相性もあんまりだったのかもしれないけど。

「でもお前は俺に反応してた。キスしてとか痛いとか、アソコが大きくて待てとか、自分の気持ちを口にした」

 僕コトの最中になにかねだったことあったっけ?今みたいな強い快感もなかったし……コレ欲しい?うん……とかその程度だったかも。

「キスしてなんか言ったことないです。何か言われてイラッとしたこともないし……あれ?」

 何か気がつきそう。なんだこれ、胸に棘が刺さってるみたいになにか……喉に引っかかるような。なにか思い出しそうな、言葉が浮かばない。でも、ロベール様には感じるこの気持ちは……心の引っ掛かりが抜けそうな。心を開くとは?人を愛するとは何なのだろう。目の前のこの人を好ましく思い、傍にいて欲しいと思う……

「うわっ……リシャールどうした!」
「はい?えっなにこれ」

 体がうっすら緑に光ってる?なにが起こった?ふたりでなんだとワタワタしてたら、ドアから兄上が血相を変えて飛び込んで来た。

「リシャール!」
「兄上なんで?」

 緑の竜の気配を感じたんだ。説明してる暇はないと焦っている。

「いいから中庭に出ろ!服なんか着なくていいから!急げ!」
「う、うん」

 僕は兄上に着いて走って中庭に出た。すると僕の体はみるみる変化して?大きくなるし、なんか変だよ!

「兄上これなに!僕どうしたの!」
「竜の力が目覚めたんだ!父上を呼んでくるからここから動くな!」

 兄様は走って出て行った。僕はあっという間に竜に変身。背中には草が生えてて、なんか全体にふかふかに見える竜。ウロコもある。竜としてはかなり小さ目で二階の窓が目の前くらいの大きさ。

「リシャール!」
「はい、ロベール様」
「よし。お前自身の意識はあるな」
「はい」

 全裸のロベール様が僕の足元にいた。するとロベール様も少し体が赤く光ったかと思うと、赤いウロコのいかにもな火竜に変身。うそ!王族は竜に変身出来るんだ!そっか、謎の秘術とは竜になることだったんだ!すげぇ。

「すげぇじゃないよ。お前もだろ」
「ああ、そうですね」

 僕より一回りは大きい火竜で頭は三階の窓より上。背中には翼もあるということは空を飛べるのか。振り返ったけど僕の背中には背骨に沿って大きなウロコ?があるだけで翼はない。残念。大きな竜が二匹が中庭に出現し、みんなゾロゾロと外に出て来た。

「ロベールなにしてる!なぜ変身を……うわっなんだこの緑の竜は!」

 よく見ると足元はメイドさんやアルフレッド様と奥様、ルーカス様と王もいた。そして父上と兄上が掃き出し窓から駆け込んで来た。

「リシャール!なんともないか!」
「ええ、特には」
「なぜロベール様も変身を?」
「リシャールだけだと可哀想かと思って」

 なんのいたわりだと全員ため息。

「リシャールとにかく元に戻れ。人の姿を思い浮かべろ、戻るから」
「はい」

 自分の姿を思い出すとスルスルと人に戻った。おおっロベール様も元に戻り、メイドさんが持って来てくれたバスローブをふたりで羽織った。

「アーダルベルト様、申し訳ございません」

 父上と兄上は王に跪いた。まさかリシャールがこれほど血を受け継いでいるとは露知らず、大変なことをと頭を下げた。

「まあ、仕方なかろう。だが、なんだろうふさふさの……あれは竜ではなく精霊だろうな。ウロコも柔らかそうだったし」

 驚いてはいるが、王様は珍しいものをみたなあと感心している。

「我らの一族の記録では、土地の再生や成長を促す精霊で、竜の姿をしているとありました」

 ならいいんじゃないか?竜と精霊か。どのような変化が出るかはわからぬが……なあモーリッツと王は微笑んだ。

「リシャール子は諦めろ」
「はい?父上なにを?」
「もしくは生まれた子は伯爵家に下賜してくれ」
「え……」

 兄上もそれがいいだろうって。どうしても作りたいのならば我が一族の子とし、俺が育てるからって。王族とは縁もゆかりもない子として、俺子として育ててやると。

「なんで……僕は子を作ってはいけないの……嘘でしょ」

 僕は目の前が真っ暗になった。人を愛するってことを心から理解しただけなのに。なのに、精霊の血が強くて……ロベール様とこれから幸せに………うそ、僕の描いていた未来はないの?なんで、みんなそんな目で僕を見るの?


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