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二章 イアサントとアデラールとオーブ
9.お仕事最終日
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僕らの妊娠期間は約四ヶ月くらいで種族により前後はしてるけど人族が一番長いかな?猫族は二ヶ月半くらい。リンゲル王国の者は大体そのくらいだね。違うのはエルフだ。属性によるけど最も長い癒し系の人で半年以上の人もいるらしい。エルフは魔法は使えないけど精霊を使役するんだよ。魔力量とは違う理の中で生きているんだ。そこら辺の生態は良くわかんない。開示しない人たちだからね。
「ルチアーノ大丈夫?苦しくない?」
「うんしょっと」
僕は大きなお腹を抱えながら執務椅子に座った。
「うん大丈夫だよ。心配し過ぎ!」
「だってさあ……」
なんて言ってると下からやってきたマルクが、
「ルチアーノ様……早速ですみませんがこれ……」
「うん。見るよ」
モジモジしながら、
「あの……明日から来ないんですよね?僕寂しいです。ルチアーノ様がいると執務室がふんわりした空気になってすごく快適なんですよ」
ああ?とジュスラン。
「俺たちだけじゃ不満か?」
「あっ!いえそういう事ではなくて……あはは……失礼します!」
と、書類を机に置いてそそくさと下に降りた。
「ジュスラン……嫌味言わないの!」
「だってさあ……俺たちも辛いんだよ。また夜しか会えなくなると思うとさ」
あははとステファヌも笑って、
「まあ仕方ないな。確かにお前がいるとみんな穏やかになるからな」
「そう?僕は以前の様子はあんまり分かんないから……」
下からヒソヒソとジュスラン様は不機嫌撒き散らす日があったりしてなあとか、きっと夜伽が外れだった日じゃねえの?とか、ステファヌ様は感情が死んでる日があって聞いてんだかどうか分からんとか?何してるんだかねこの二人。仕事はいつも笑顔で部下にはストレス与えない!コレ大事。
僕は食堂やってる頃お手伝いに来てくれる友達とか忙しい時だけ雇う人なんかにいつも思ってたからね。それは今でも同じ。上の者の機嫌の良し悪しは下の人に響くんだよ。
「二人は僕がいなくてもちゃんとやってよ?笑顔でね!」
「ゔっうん……」
僕は既に三ヶ月半の妊娠期間がすぎて後はいつ産まれても対処出来るように自室にいる事になった。産まれてもすぐに復帰は出来ないし、まあ体力と魔力が回復するまでだから二ヶ月くらいここには来ない。仕事も大分覚えて楽しくなって来たんだけど。それと国外にお披露目の戴冠式も近いから元に戻さないとマズい。ブーブー文句いいながらも働いて夜になり三人でベッドに横になっていた。
「本当にお腹ポンポンに大きくなったね。お!動いたか?」
「え?俺も!うん動いてるね」
僕のお腹を擦って楽しそうにしている。彼らは本当にあの日以来我慢してくれた。したいだろうにね。夜伽も呼ばず溜まったら側仕えに抜いてもらってるだけだそうだ。それに自分の子でもないのに大切にしてくれるし……複雑な気持ちがあるはずなのに。
「ありがとう……ジュスラン、ステファヌ」
「ん?どうした?」
「あのね……」
と、僕は今の気持ちを話した。
「そんな事……イアサントは俺らの始祖だしなあ。まあ俺たちと血の繋がりもあるし……それに翌月気合い入れて殴ったからもういい」
そう……次の月の供給であの白い空間に着いたら無言でイアサントの前に行きいきなりグーで殴ったんだよ二人して。アデラールは隣で驚愕して立ちすくんでね。イアサントもなんで殴られたかも分からんって顔してさ。
そこから怒涛の文句の垂れ流し……イアサントはあまりの剣幕にごめんって不思議そうに謝ってた。アデラールもごめんって……ふふっ僕はなんて幸せなんだろう。
「何笑ってるの?」
「ん?僕はこんなに愛されてなんて幸せなんだろうと思ってさ」
「あはは、当たり前だよ。俺の初恋の人でそれが番なんだぞ?俺がどれだけ幸せか分かんねぇだろ?」
ジュスランはチュッチュッと幸せそうに僕にキスをする。ステファヌも、
「俺は……ごめん。初恋ではないけど……」
「お?誰だお前が好きな奴って。聞いたことないぞ?」
「ん?んふふっ子供の頃の話だけどサミュエルが好きだったんだ」
え?僕タイプ全然違うけど?
「うおっマジ?俺らが子供の頃からあいつはゴリゴリのマッチョで顔も今とそんなに変わらんぞ?」
「うん。大好きだったんだけど匂いがね……向こうは分からんが俺は苦手でさ。番は無理と大人になったら分かってさ……」
そう、この香りは十五の誕生日を過ぎると感じるようになる。……可哀想にね。
「でもそのあたりから好みも変わってさ。かわいい子とばっかりと寝るようになって……ルチアーノはドンピシャだよ」
んふふっと言いながらチュッチュッと。
「ふ~ん。人族は好みが変わったりするんだね」
「ああ。子供の頃は見た目だけで好きになったりもするが、匂いを感じられるようになると変わる者も多いな」
「うん、俺だけじゃないよ。学園の頃何とか様と結婚する!なんて叫んでラブラブでヤリまくってたのに大人になったら違うタイプと番になるやつも多いんだ。卒業頃にクサッとなるらしい……」
それ……ちょっと哀しいな。
「気持ちはついていくの?それ」
「うん。本能的にスパンと嫌いになるらしいね、そこまでラブラブでも。俺も匂いでスンと気持ちが落ちてさ……」
人族も動物っぽいね。毛が生えてないだけで僕たちと変わらないのかも?へぇ……新たな発見だね。実は人族も獣人の一つの種類なのかもね。そう思うと親近感も湧く。
「そろそろ寝るぞ!」
「うん」
ステファヌが明かりを消すと二人が僕に腕を回す……温かい幸せな……エッチか事しなくても幸せを感じるこの時間も大好き。んふふっ
「ルチアーノ大丈夫?苦しくない?」
「うんしょっと」
僕は大きなお腹を抱えながら執務椅子に座った。
「うん大丈夫だよ。心配し過ぎ!」
「だってさあ……」
なんて言ってると下からやってきたマルクが、
「ルチアーノ様……早速ですみませんがこれ……」
「うん。見るよ」
モジモジしながら、
「あの……明日から来ないんですよね?僕寂しいです。ルチアーノ様がいると執務室がふんわりした空気になってすごく快適なんですよ」
ああ?とジュスラン。
「俺たちだけじゃ不満か?」
「あっ!いえそういう事ではなくて……あはは……失礼します!」
と、書類を机に置いてそそくさと下に降りた。
「ジュスラン……嫌味言わないの!」
「だってさあ……俺たちも辛いんだよ。また夜しか会えなくなると思うとさ」
あははとステファヌも笑って、
「まあ仕方ないな。確かにお前がいるとみんな穏やかになるからな」
「そう?僕は以前の様子はあんまり分かんないから……」
下からヒソヒソとジュスラン様は不機嫌撒き散らす日があったりしてなあとか、きっと夜伽が外れだった日じゃねえの?とか、ステファヌ様は感情が死んでる日があって聞いてんだかどうか分からんとか?何してるんだかねこの二人。仕事はいつも笑顔で部下にはストレス与えない!コレ大事。
僕は食堂やってる頃お手伝いに来てくれる友達とか忙しい時だけ雇う人なんかにいつも思ってたからね。それは今でも同じ。上の者の機嫌の良し悪しは下の人に響くんだよ。
「二人は僕がいなくてもちゃんとやってよ?笑顔でね!」
「ゔっうん……」
僕は既に三ヶ月半の妊娠期間がすぎて後はいつ産まれても対処出来るように自室にいる事になった。産まれてもすぐに復帰は出来ないし、まあ体力と魔力が回復するまでだから二ヶ月くらいここには来ない。仕事も大分覚えて楽しくなって来たんだけど。それと国外にお披露目の戴冠式も近いから元に戻さないとマズい。ブーブー文句いいながらも働いて夜になり三人でベッドに横になっていた。
「本当にお腹ポンポンに大きくなったね。お!動いたか?」
「え?俺も!うん動いてるね」
僕のお腹を擦って楽しそうにしている。彼らは本当にあの日以来我慢してくれた。したいだろうにね。夜伽も呼ばず溜まったら側仕えに抜いてもらってるだけだそうだ。それに自分の子でもないのに大切にしてくれるし……複雑な気持ちがあるはずなのに。
「ありがとう……ジュスラン、ステファヌ」
「ん?どうした?」
「あのね……」
と、僕は今の気持ちを話した。
「そんな事……イアサントは俺らの始祖だしなあ。まあ俺たちと血の繋がりもあるし……それに翌月気合い入れて殴ったからもういい」
そう……次の月の供給であの白い空間に着いたら無言でイアサントの前に行きいきなりグーで殴ったんだよ二人して。アデラールは隣で驚愕して立ちすくんでね。イアサントもなんで殴られたかも分からんって顔してさ。
そこから怒涛の文句の垂れ流し……イアサントはあまりの剣幕にごめんって不思議そうに謝ってた。アデラールもごめんって……ふふっ僕はなんて幸せなんだろう。
「何笑ってるの?」
「ん?僕はこんなに愛されてなんて幸せなんだろうと思ってさ」
「あはは、当たり前だよ。俺の初恋の人でそれが番なんだぞ?俺がどれだけ幸せか分かんねぇだろ?」
ジュスランはチュッチュッと幸せそうに僕にキスをする。ステファヌも、
「俺は……ごめん。初恋ではないけど……」
「お?誰だお前が好きな奴って。聞いたことないぞ?」
「ん?んふふっ子供の頃の話だけどサミュエルが好きだったんだ」
え?僕タイプ全然違うけど?
「うおっマジ?俺らが子供の頃からあいつはゴリゴリのマッチョで顔も今とそんなに変わらんぞ?」
「うん。大好きだったんだけど匂いがね……向こうは分からんが俺は苦手でさ。番は無理と大人になったら分かってさ……」
そう、この香りは十五の誕生日を過ぎると感じるようになる。……可哀想にね。
「でもそのあたりから好みも変わってさ。かわいい子とばっかりと寝るようになって……ルチアーノはドンピシャだよ」
んふふっと言いながらチュッチュッと。
「ふ~ん。人族は好みが変わったりするんだね」
「ああ。子供の頃は見た目だけで好きになったりもするが、匂いを感じられるようになると変わる者も多いな」
「うん、俺だけじゃないよ。学園の頃何とか様と結婚する!なんて叫んでラブラブでヤリまくってたのに大人になったら違うタイプと番になるやつも多いんだ。卒業頃にクサッとなるらしい……」
それ……ちょっと哀しいな。
「気持ちはついていくの?それ」
「うん。本能的にスパンと嫌いになるらしいね、そこまでラブラブでも。俺も匂いでスンと気持ちが落ちてさ……」
人族も動物っぽいね。毛が生えてないだけで僕たちと変わらないのかも?へぇ……新たな発見だね。実は人族も獣人の一つの種類なのかもね。そう思うと親近感も湧く。
「そろそろ寝るぞ!」
「うん」
ステファヌが明かりを消すと二人が僕に腕を回す……温かい幸せな……エッチか事しなくても幸せを感じるこの時間も大好き。んふふっ
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