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一章 双子の王と王弟 

18.祝賀会が始まった(ジュスランside)

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 会場に招待客が入り始めたようだ。様子を見に出ていた側仕えからの報告が来たようだ。

 今回の参列者は国内全ての上級、中級、下級貴族や直轄地の責任者等だ。大使館の者などは次回の参加になる。そしてこういう祝賀会は必ず夫婦で来る為、かなりの人数になり、慣例で入場は入口で名前、役職が読み上げられてから下級貴族から入場にする。ステファヌが、

「ジュスラン!入り始めたぞ」
「ああ。ルチアーノを呼びに行ってくれ。レアンドル」
「かしこまりました」

 そう指示し終わると軽く食べ物を腹に入れ、弱い果樹酒を飲んでステファヌと談笑。ルチアーノもだが、俺たちもこの後ほとんど飯が腹に入る事はない。長い時間拘束されて、酒を飲むのも口つけるフリで過ごす。真面目に飲んだら最初方で泥酔だからな。

 だって挨拶が長げえし多すぎるんだよ……ルチアーノは出ずっぱりだし、最初の数時間は挨拶だけに費やされる。俺の時もそうだったしな。俺には結構な拷問だよ。

 笑顔を顔面に貼り付けて、同じ言葉を繰り返すだけだ。だが油断するとおかしな事を言ってくる者も居るから気は抜けない。華やかな事は嫌いではないが、やはり面倒くさい。国外も来る次回は……そんな話をしながらルチアーノを待った。

「ルチアーノ……耐えられるかな」
「ふふっ大丈夫だ。あれは見た目通りの男じゃない……と思うけど……ねぇ……?」
「どっちなんだよ!」

 分からんけどやれるさ!たぶん!

「あ"~っ!きっと大丈夫だよ!俺たちの愛するルチアーノだからな!」
「そうあって欲しいね」

 そんな話をな話をしていると、ルチアーノが控室に到着した。俺たちはいつも通り両隣で囲んで撫で回してもう……こんな時でもルチアーノかわいい……

「やめて!もう……せっかくギーに整えてもらったのに!」
「ごめん……」

 頭撫でたら怒られた。ルチアーノはレオンスから祝賀会の大体の流れを説明されているようで、思ったほどの緊張感は無いように見えた。……すげぇかっこいい。目力が違うし覚悟を決めたんだろう……ついまた抱きついて。

「ジュスラン!」
「ごめんなさい……お前があんまりかっこよくてさぁ……」

 怒った顔がふんわり微笑んで、

「んふふっありがと。僕ね……二人の隣に立った時にね、見劣りするのだけはイヤだぅたんだ。だから必死にこの日まで、自分が出来る最大限頑張ったの。足りなかったらごめんね?」

 かわいく微笑むルチアーノ。赤髪の王……初めての獣人からの王なんだ。かわいく笑っているけど、心の葛藤は相当なもののはず。何故自分なんだと、理不尽だとたくさん感じたはずなんだ。なのに笑って……なんと俺の番は強く……そしてかわいい。

 コンコンとドアがノックされてヴァレールが入って来た。

「皆様、最後の公爵家の方まであと少しです。ご準備をお願い致します」
「ああ。行くぞルチアーノ」
「はい」

 全ての者の顔から笑顔が消え、引き締まった顔になった。いつでも出られる姿勢でドアの前で待つ。俺たち双子とアンセルム、そしてルチアーノ。ルチアーノは……緊張はしているが真っ直ぐ前を向いている。きっと大丈夫。

 会場の衛兵が宣言を高らかに叫んでいる。それに呼応するようにアンセルムが開いたドアから出て、玉座の向かい左側に立った。俺たちもルチアーノを先頭に玉座に向い、俺たちが着席したのをアンセルムは確認すると祝賀会は始まった。

「前王ジュスラン様よりお言葉を賜ります」

 俺はこの退位とルチアーノの即位の経緯をオーブを絡めず話した。我らがノルンの子ではない事で、この先のこの国の繁栄に問題が生じる恐れがある事、ルチアーノの魔力量が我らの倍以上ある事、既に近衛騎士たちの間では聖人のようだと言われるほどの治癒魔法が使えるなどを話した。

「現在唯一の始祖の弟アデラールの正当な末裔であるのだ!我らは何年も探したが見つからず、お告げにてやっとここに迎える事が出来たのだ!魔力の証拠はそこにいる近衛騎士の切断された足を治癒した。これは魔力量だけの問題ではないのはここにいる皆も理解しているはずだ!」

 俺が指を指した近衛騎士が歩いて見せた。おお……と声が上がった。

「疑う者もいるやも知れぬ。しかしこの騎士はここにいる辺境伯アルフォンスの子だろう?」

 俺が声を掛けた初老の貴族が一歩前に出て会釈した。

「はい、我が末の息子でございます。ルチアーノ様には感謝しきれません。ありがとう存じます……」

 アルフォンスは会釈して微笑んだ。その様子にザワザワとした喧騒は消え、疑う者は会場にはいなくなったように見えた。

「これだけの力がある者が王になるのは必然だ。俺が退位し王を献上するのがいいと考えたのだ。そして王家の繁栄のため我らはルチアーノを宰相として補佐し、彼の流れの王家を築いて行く」

 この言葉にザワザワとしだした。イアサントの流れがここで無くなる不安があるのだろう。彼は変体からの人族だからな。

「イアサントの血は無くなりはしない。我らがイアサントの末裔である事には変わりなく、我らの血も続く。創世記の書物にはイアサント兄弟はとても仲がよく、アデラールは兄の為に自らリンゲルに赴いたのだ。今のイアサント王国に、兄の血脈が途絶えるのを哀しく思ったアデラールが帰還しのだと私は解釈している!」

 ザワザワがおお!!と歓喜に変わった。アデラールの帰還か!五百年ぶりだ!なんとめでたい事かと。歓声の中、横目でチラッとアンセルムを見ると嘘臭ぇ話を堂々とこいつは……と目が言っていたが、貴族が納得出来る話は大切よ。この後が遣り易いからな。

 ルチアーノははあ?と言う顔で俺を見ていた。ごめん、さっき思ったのを大げさな話にしてみた。いいかなぁ?って思ったんだよ。まあ、この不審な目を取り去るには後でゆっくり説明すれば良いだろう。

 俺の話が終わり、ルチアーノがこれから頼むと宣言すると、楽団が音楽を奏で始めた。俺たちは階段を降りて謁見用に用意した応接間に入り各々椅子に腰を降ろした。アンセルムは王の後ろに立つ。……これからが拷問タイムだ。入場の順番に貴族が挨拶に来るんだよな。あ~辛え。

「ジュスラン!顔なんとかしろ!」
「ふあ~っ……俺の仕事は挨拶で終わりなんだよ。後はルチアーノのフォローを横でするだけ」

 どこでもジュスランだと、苦笑いで俺を見るルチアーノ。

「ジュスラン、ステファヌ。頑張って覚えたけど、怪しい時はフォローお願いね」
「任せておけ!」

 アンセルムが入れてもいいかと、確認して来るから、ああと応えた。すると入口にリンゲル付近の領地のアントナン男爵夫婦。あはは……相変わらず人族と言うより熊族の夫婦のようなだな。身体のでかい筋肉隆々の夫婦だ。ルチアーノの前に片膝を付き、手を取り手の甲にキス。

「お初にお目にかかります、ルチアーノ陛下。アントナンと申します。これは妻のオーブリーでございます」

 貴族の挨拶が始まった。音楽が背景音楽からダンス曲に変わり、ドアの奥ではダンスを踊っているのが見えた。あ~俺もここにいるより踊ってた方が楽しいんだがなぁ。

 ルチアーノの様子を眺めていると、本当に頑張ったんだと分かる。そつがなく俺いなくていいんじゃねぇ?って思えるくらいだ。お前は元からの王族か?ってくらい品もある言動でさ。俺は半年でここまで覚えられる自信はないね。

「リンゲルは私が育った国で、やはり生まれ故郷は大切に思うんてす。ですので其方たちの活躍に期待してます」

 その言葉にアントナンは嬉しそうに、

「私どもはきっとあなた様のお力になれるはずでございます。その時は何なりとお申し付け下さいませ」
「ああ、その時は頼むね」

 カッコいいルチアーノ。惚れ惚れする……俺はニヤニヤしてたようで、ステファヌが冷たい目で睨んでるけどな。一礼するとアントナンたちは下がった。

「ジュスラン……お前はもう少しさあ」
「分かってるよ。スゲェルチアーノがかっこよくて何にも問題ないからさ、気が緩んだ」
「それでも気を張ってろ!」

 アンセルムも微笑んで、

「素晴らしいですね。この調子で頑張って下さいませ」

 ルチアーノは困り顔でアンセルムに無理してるんだと言う。

「あはは……背中びっしょりなんだよ。頭フル回転だし緊張も凄いんだ。それとジュスラン!ちゃんと見ててよ?僕がおかしな事言わないようにさ」
「は~い!」

 ギッと睨まれた。嫌だなあ、皆で疑いの目で見るなよ。やるよ、やりますぅ。ルチアーノのためだしな。それから二時間近くあいさつが続いた。癖のある貴族は前もってルチアーノに説明して手助けはした。そして何事もなく最後の……ゔ~叔父上は苦手だ。はあ……

「お初に……」

 定型文でルチアーノに挨拶すると俺に目を合わせて、

「お久しぶりですね。ジュスラン様ステファヌ様」
「はい、叔父上もお元気でしたか?」
「ええ、歳も取りましたからそこそこですがね。あなたは相変わらず城の者を食ってるとバスティアンから聞いておりますよ。ふふっ」

 なに報告してるんだよ全く!バスティアンは叔父上の番の実家の子で騎士団の文官だ。子のいない叔父がかわいがっている甥。

「もうしてませんよ。ルチアーノさえいればもういいので」

 イヤ~なニヤニヤで叔父上は、

「そうして下さいませ。次はお会いする時はお子を抱かせて下さいませ」
「あはは……出来る限り頑張りたいと思っています。なあ、ステファヌ?」

 横を向いてステファヌにぶん投げ。

「ええ叔父上。ご期待に添えるように精進いたしますのでご期待下さいませ」
「ふふっ次に城に来るのが楽しみになりましたな。あはは!」
「ええ!」
 
 セレスタン公爵……父上の末の弟。王族だったくせに父上が身罷った時、俺は王はやらぬと拒否したんだよ!このおっさん!私は上級貴族に下がって臣下になったのだ、王などやらぬと。クソッ!俺たちの苦労を横でニヤニヤ眺めてて、そのくせ口は死ぬほど出して来てさ。間違ったことを言わなかったけどさあ。ああ~!思い出すとムカつくわ!

 今叔父上は半隠居で自領のみの管理だ。そこで悠々自適に過ごしながら、近くの森で魔物狩りだそうだ。屋敷がリンゲルに隣接してて、イアサントとリンゲルの間に森があるんだよ。さっきの辺境伯の隣の領地でな。おっさんのくせにすげぇ筋肉と、見た目ゴツくて前騎士団長。父と兄弟とは思えない筋肉が脳まで達してる系なんだが賢くもある。

 それに引き換え父上は、優美な色男で美しかった。長い金髪にオレンジの瞳。スラッとしてて程よい筋肉があって……子供から見てもカッコよかった。そして賢く皆に慕われてはいた。ただ、病的に母を愛していたのが問題。俺たちよりも誰よりも母を、母しか見てなかったんだ。

 母上が身罷った時、父上の嘆きは忘れられない。大人があれほどまで哀しんで、人目も気にせず泣き叫んでいたのを見たことがなかったからな。俺たちも哀しかったけど、哀しさが違うのは幼いながら分かった。父上の哀しみに暮れる姿に余計哀しかった覚えがある。今は母上の所で幸せにしてるはずだ。なのに!このおっさんは父上と違って優しくないんだよ。

「ルチアーノ様。この二人はあなたを大切にしてくれますかな?特にジュスランは粗忽者ですからね」

 ルチアーノは幸せそうに叔父上に答える。

「はい、大切にして貰っております。ご心配ありがとう存じます」

 叔父上はルチアーノをジッと眺めて、

「それにしても……記録のアデラールによく似ておいでだ……その髪色、瞳の色も。彼の魔力量の多さは貴族なら割りと知っている者が多いが、外見は知らぬ者が多い。信心深い者が少なく教会行きませんからな。彼は優しく思いやりが強く、イアサントと歳も離れていた為か、かなり懐いていたそうですよ」

 アンセルムがその話しに反応して、

「どこかに詳細な記録がありましたか?」
「ああ、禁書庫の中にな。かなり奥まった鎖が付いた、黒っぽい皮の表紙の物の中にありましたな、確か」

 その話しにアンセルムの目が光った気がした。

「ほほう……調べてみます。情報ありがとう存じます」
「なに……昔興味で調べた事があっただけですから」

 ええ?マジでアデラール帰って来たとかなの?すげぇな俺の野生のカン!ステファヌは楽しそうに叔父上と話している。弟は剣術繋がりで仲がいいんだ。ま当然か。

「ではルチアーノ様。色々落ち着いた頃にでも、我が領地にでも遊びにいらして下さい。自然が多く、リンゲルとはまた一味違うのんびりしたところですので宜しければね」

 ルチアーノは行きたいのか前のめりで、

「はい!ありがとう存じます!嬉しいです!」

 その様子にまんざらでもないと嬉しそうにした叔父上は立ち上がり、ルチアーノの手を取った。

「私は貴方の治世を楽しみにしておりますよ。良い王になられませ」

 ルチアーノも立ち上がり、

「はい。私の全力で頑張らせていただきます」

 その気持ちを持ち続けて下さいませと微笑み、叔父上は下がって行った。あそこの奥さん今回もか。微笑んでいるだけで本当に喋らないんだよな。夫があれだからか?はい、いいえしか聞いた事ないんだよ。

「はあ!終わったあ!」

 ドアが閉められるとステファヌが伸びをしながら叫んだ。あ~俺も気が抜けた。疲れたし腹減った!なんか飲みたい!

 こちらをどうぞとマケールがワインや軽食を差し入れてくれた。アンセルムや側近たちとつまみながらこの後の予定を聞いた。

「ルチアーノ様はこの後ホールに出て皆さんと踊ったり話したり社交を楽しんでくださいませ。これは仕事ですよ!!しっかりと縁を繋いで下さいませ」

 グッと上目遣いになり、

「はい……がんばります……」

 グリッと首だけこちらに向け睨むアンセルム。

「お二人方はルチアーノ様をフォローをしながら……分かりますね?」
「ああ……」

 ステファヌと見合って確認。いくら安定していると謂えど、何がどこに潜んでいるかは分からない。ルチアーノの治世のスタートに不穏分子はいらんからな。グラスの酒を一気飲みして、

「行くぞ!ルチアーノ、ステファヌ!」
「ああ、ジュスラン」
「うん」

 ソファから立ち上がり、出口に近づくと衛兵が観音開きのドアを開けた。俺たちはムワッとした熱気を帯びたホールに歩き出した。
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