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テンプル百合団
しおりを挟む13日の金曜日というのはテンプル騎士団が惨殺された日時が由来らしい。
金曜日の夜、着ぐるみパジャマという鎧を忍ばせて挑む私はさながらローマの騎士……なんて、いやですわ。そんなに身構えなくてもたかが高校生同士の親睦会ではないですか。愛さんだっていらっしゃるのだから、変な事なんてある訳がないですわよ。
一応下着は可愛くしてきたけれど……って私ってば何の妄想をっ。
「あらら、結局ムサシも来たんじゃん」
呼び鈴に対応をくれたみやび先輩のお母様に案内されて開けた部屋には既に全員がそろっていた。ひと足先でムサシさんが訪ねたようで、愛さんが『ツンデレですね』とからかっている。
結局は放課後と変わらない顔ぶれが、みやび先輩の部屋に集まっただけの状況に『まるでお部屋の見学会だね』と微笑んでいるトモ先輩はやっぱり女の子のままで、ミニスカートを床に折っている太ももがチラチラと艶かしい。
なんだろう……期待していたのかな、私。そりゃあ、一応思春期なんだし未知の世界は興味津々だけど。
「これは祭で出しているオ・ミ・キ、神様の酒に年齢は関係ない……ってウチのオヤジは言っている」
おぉっと、ムサシさん。高校生ですよぉ私達……って愛さんもうゴクリとイッちゃっているし。トモ先輩まで……いやいや、そんなジュースみたいな勢いで飲んでいいものなんですかぁコレっ。
「牧村ぁっ、洗礼式みたいなモンよっ。受け取りなさいっ!」
ううぅ、私が居れば安心でしょと言っていた愛さんが壊れているぅ。知りませんよ、もうどーなってもぉ。
ーーでも神様の力っていうのはやっぱりすごいようで、絶え間なく溢れるみんなの笑顔は子供みたいに睦まじくて、自分だけが年下だなんて疎外感はすっかり吹き飛んでいた。
「みんなのレベルに僕のベースだけが追いつかない訳にはいかないもの」
遊び半分と言っていたトモ先輩がツテを頼って毎日プロレッスンを受けていたとか、愛さんに至っては20曲ものアレンジを終わらせていて『週明けにはみんなで練習できるからね』って、お昼休みにデザートを奪い合っている姿からは想像できないよぉ。なんかみんなスゴイっ!
「さすがトモちゃんっ、もぉー、そーゆー所が可愛いいのだよぉ」
ーー「っ?! み、みやび先輩っ! ちょ、ちょとぉ、いいんですか、ムサシさんっ」
突然の光景に隣で座っているムサシさんの肩を揺さぶった。だって、だってみやび先輩、トモ先輩に覆いかぶさってキ、キスしているんだものっ! しかもなんかすごく濃厚な感じでぇ。
「んぁあ? 朝倉のアレはアレだ……顔を舐めて来る犬と一緒だ。恋愛とかじゃなくて、ただの愛情表現ってヤツだ。気にすんな」
そ、そんな事言われてもぉ。でも確かに愛さんも全く気にしていない感じだし、そ、そーゆーものなの? あ……押し倒されているトモ先輩のパンツが……ちゃんと女性物履いているんだ。って何で見ちゃうんだろ私っ。
「もぉお、長いぃ、長いよみやびさんっ。沙也加さんがびっくりしているじゃない」
ーー『えっ? ……ウソウソっ、 キャーッ!!』
新しい遊び相手を見つけた子供みたいな目をしたみやび先輩は、トモ先輩から離れると今度は有無を言わさず私を押し倒した。
頬を抑えられ、重なった唇をこじ開けた先輩の舌は、クチュクチュと唾液を反響させて私の恥じらいを奪っていく。
拍子に崩れた2人を覆う大量の雑誌がみんなの視界をさえぎったようで、鎧を忘れたシャツ1枚の胸はあえなく先輩に直肌を許していた。
『ちょっと、待って先輩っ。私ファーストキ……って胸そこ、いや、ダ……んんっ』
「クス、ここ反応してる……もぉ、ダメっ。可愛いすぎだよぉ沙也加ちゃん」
『えっ……待って待って、下はホントにダ……イヤ、パンツの中って……んんっ、せ、んぱっゆ、指ぃ』
ーー「ちょっと何ぃ? 今の地震みたいな音はぁ? 明日も仕事なんだから静かにしてよっ、ブタコっ!」
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