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第五章
第33話『これがリアルなダンジョンってか』
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ここがダンジョンか。
俺は興味本位ではあるが、一人でダンジョンに来ている。
入り口は、そうと呼べるものがあるわけではなく、正面階段からダンジョンへの道が直接続いている。
当然、門番のような人達はいたが、止められることはなく入場できた。
話をしたわけではないが、たぶん彼ら二人は冒険者なのか、ギルドに雇われている人間なのだろう。
さすがはギルドといったところか、情報伝達速度は迅速かつ正確だ。
さて、ここまできたらゲームの知識そのままで良いはず。
視界は晴れている。
天井に生えているヒカリゴケが明かりの役割を果たしているわけだが、ダンジョンというには相応しくないぐらいに明るい。
家の電球ぐらいではないか。
「すぅー」
空気は、若干湿っているがそれは外とあまり変わりがない。
「おっ」
地面は少し恋しかった土だ。
街の中に居るとそうそう見られない地面に、少しだけ安心する。
初めて踏み入れるダンジョンをもう少しだけ味わいたいところだが、俺は観光をしにダンジョンへ来たわけではない。
「進むか」
「来たか」
入り口付近から進んで1分ぐらいのところでモンスターと鉢合わせた。
左腰に携える剣を右手で抜刀し、左腕に装備する盾を前に構える。
初見の相手ならばもう少し慎重に距離を取った方がいいのだろう。
しかし俺はこいつを知っている。
というより、ゲームの中で初めの方に戦った。
――マウシー。
なんてことのない、俺の膝までしかない大きさの鼠頭に人間の四肢と同じ構造で二足歩行をし、全身を鼠と同じようなフサフサした毛に覆われるモンスター。
武器を持ってはいるが、軽い石で作られた斧を右手に握りしめている。
鋭利であったり大きければ警戒するのだが、しゃもじぐらいの石斧だから少し可愛さが付与されてしまう。
しかし、モンスターはモンスター。
警戒するに値しなくとも、油断だけ絶対にしてはいけない。
『シャッ』
短い鳴き声の後、マウシーは俺を標的と見なして駆けてきた。
四足歩行で走ればもっと早そうではあるが、二足歩行であるからその速度はもはや人間でいうジョギング程度。
そして、正面から以外の攻撃を行わないという単純さ。
「はっ!」
マウシーの動作なんて全てを無視し、俺は剣を脳天に突き刺した。
『――』
もはや声もなく、マウシーは灰となって消える。
「んー」
ドロップアイテムを確認すべく、インベントリの素材欄へ意識を向けるも空のままだった。
数日前の戦闘では、討伐数に対してのアイテムのドロップ率を気にしていられなかったが、今は試したい放題。
ちまちまやるわけではないが、確定ドロップではないことを確認できた。
ゲームだったら、ここで経験値の上昇値を確認できるんだが……なんでこういうのはできないんだか。
時間の確認もそうだが、ほぼ全部ゲームの世界なのに、変に制限をかけられている感じがしてもどかしい。
「いいね、そういうのを待ってた」
俺が意識を逸らしている間に、マウシーが3体姿を現していた。
『シャーァ!』
掛け声なのか雄叫びなのかを戦闘のマウシーが上げ、一列になって前進し始める。
あいつらはあれで全速力って思うと、少しだけ笑えてしまう。
「はっ! はぁっ」
向かって左側の1体が飛び掛かってきたのを、盾で殴り落とす。
間髪入れずに右側から責めようとしてきたのを剣で弾いた後、正面の1体に剣を突き刺す。
残り2体。
今起き上がろうとしている左の1体に剣を突き立て、あえて背中を晒す。
『シャ!』
最後の1体は、隙ありと言わんばかりにわかりやすい攻撃を仕掛けてくるわけだが――。
「【ブロック】」
『シャ!?』
ここにきて、取得していたスキル【ブロック】を使用。
急激な反転だったため、攻撃がすり抜けてダメージを受ける覚悟ではあったが、見事斧と盾が噛み合った。
そして視界に入る盾は赤く光るわけでも、何かエフェクトが発生するわけでもないらしい。
「ふんっ」
盾をそのままに、剣をマウシーの腹部へと突き刺した。
これで3体を討伐成功。
このまま休まず、先ほどいた安全地帯であろう入り口付近まで駆け出す。
なるほどな。
ゲームの時もそうだったが、この初期スキルはそういう仕様らしい。
エフェクトが発生しないというのもあるが、攻撃を受け止めるというより、攻撃を無効化している感じらしい。
最後のマウシーは、止めの一撃という覚悟で渾身の一撃を振り下ろしていたであろうから、隊格差があるにしても多少の重量は感じても良かったはずだ。
しかし、盾に掛かった圧は、小石がコツンッと当たった程度しか感じなかった。
ゲームの時の情報と合わせるならば、このままスキルを使用して攻撃を受け続ければ、スキルのゲージ――つまり、スキルの熟達値がほんの少しだけ上昇していく。
そうなれば、今さっき感じたあの感覚はなくなっていくのだろう。
「今日はみんなに自由日として過ごしてもらっているから、まだいけるか」
こんなことを一人でやっていると知られたら、間違いなく怒られるだろうが、まあバレないだろう。
試したいことはまだまだある。
ゲームにあったこと、なかったこと。
スキルのディレイタイム、ジャストガード、タイミングをずらしたスキル仕様。
それに、外のモンスターと比べてダンジョンに生息するモンスターは、その強さと同等の経験値を獲得できる。
ウルフを討伐し続けるより、ダンジョンの入り口付近の初期モンスターを討伐し続けた方が効率が良いはずだ。
幸いにもゲームと違ってレベルがパーティメンバーに知られることもないため、やりたい放題やっても、最悪バレない。
なら、レベリングをやるっきゃないだろ。
「時間がわからないのが不便だな」
まあ、まだまだ陽が高そうだし、余裕だろ。
よし、行くか。
「うわやっべ」
満足した俺はダンジョンの外に向かう階段まで来たんだが……すっかりと夕暮れになっていた。
しかし、収獲はあった。
――――――――――
カナト
レベル:8
耐力:8
攻力:8
防力:8
減力:8
敏力:8
速力:8
魔力:8
理力:8
アクディブスキル:【】
パッシブスキル:【】
ユニークスキル:【】
――――――――――
――――――――――
近接+
技能+
心頭+
魔理+
特異+
ポイント3
――――――――――
近接+―斬撃0
―接撃0
―突撃0
―打撃0
―払撃0
―防御5
――――――――――
我ながら、ヤバいぐらい狩った。
マウシーからドロップする素材は、マウシーの小爪・小牙・細毛・薄皮の四種。
流石にこんな小物にレアドロップはないようだ。
経験値は……レベルの上がり具合から、やはりウルフよりは多いのは確定なのだが……何体狩ったか憶えていない。
20……25……35……? くっ、夢中だったせいで途中から数えるのを忘れてしまっていた。
スキルに関しては、スキル一つにしてもいろいろ試せたのはデカい。
唯一のスキル【ブロック】のスキルディレイタイムは0.5秒程度。
ほぼ連続しようできるわけだが、その中でも駆け引きは必要だ。
それに、スキルが発動している時間は約3秒。
ほぼ永久機関のように思えるのだが、やはりゲームの時同様に、MPを消費する。
だから、考えなしにスキルを連打していると、大事な時に使えなくなるといういことだ。
「やべ、早く帰らないと」
考察や振り返りなんてベッドの中でもできる。
あまり遅くなると怪しまれてしまう。
急げ急げ。
俺は興味本位ではあるが、一人でダンジョンに来ている。
入り口は、そうと呼べるものがあるわけではなく、正面階段からダンジョンへの道が直接続いている。
当然、門番のような人達はいたが、止められることはなく入場できた。
話をしたわけではないが、たぶん彼ら二人は冒険者なのか、ギルドに雇われている人間なのだろう。
さすがはギルドといったところか、情報伝達速度は迅速かつ正確だ。
さて、ここまできたらゲームの知識そのままで良いはず。
視界は晴れている。
天井に生えているヒカリゴケが明かりの役割を果たしているわけだが、ダンジョンというには相応しくないぐらいに明るい。
家の電球ぐらいではないか。
「すぅー」
空気は、若干湿っているがそれは外とあまり変わりがない。
「おっ」
地面は少し恋しかった土だ。
街の中に居るとそうそう見られない地面に、少しだけ安心する。
初めて踏み入れるダンジョンをもう少しだけ味わいたいところだが、俺は観光をしにダンジョンへ来たわけではない。
「進むか」
「来たか」
入り口付近から進んで1分ぐらいのところでモンスターと鉢合わせた。
左腰に携える剣を右手で抜刀し、左腕に装備する盾を前に構える。
初見の相手ならばもう少し慎重に距離を取った方がいいのだろう。
しかし俺はこいつを知っている。
というより、ゲームの中で初めの方に戦った。
――マウシー。
なんてことのない、俺の膝までしかない大きさの鼠頭に人間の四肢と同じ構造で二足歩行をし、全身を鼠と同じようなフサフサした毛に覆われるモンスター。
武器を持ってはいるが、軽い石で作られた斧を右手に握りしめている。
鋭利であったり大きければ警戒するのだが、しゃもじぐらいの石斧だから少し可愛さが付与されてしまう。
しかし、モンスターはモンスター。
警戒するに値しなくとも、油断だけ絶対にしてはいけない。
『シャッ』
短い鳴き声の後、マウシーは俺を標的と見なして駆けてきた。
四足歩行で走ればもっと早そうではあるが、二足歩行であるからその速度はもはや人間でいうジョギング程度。
そして、正面から以外の攻撃を行わないという単純さ。
「はっ!」
マウシーの動作なんて全てを無視し、俺は剣を脳天に突き刺した。
『――』
もはや声もなく、マウシーは灰となって消える。
「んー」
ドロップアイテムを確認すべく、インベントリの素材欄へ意識を向けるも空のままだった。
数日前の戦闘では、討伐数に対してのアイテムのドロップ率を気にしていられなかったが、今は試したい放題。
ちまちまやるわけではないが、確定ドロップではないことを確認できた。
ゲームだったら、ここで経験値の上昇値を確認できるんだが……なんでこういうのはできないんだか。
時間の確認もそうだが、ほぼ全部ゲームの世界なのに、変に制限をかけられている感じがしてもどかしい。
「いいね、そういうのを待ってた」
俺が意識を逸らしている間に、マウシーが3体姿を現していた。
『シャーァ!』
掛け声なのか雄叫びなのかを戦闘のマウシーが上げ、一列になって前進し始める。
あいつらはあれで全速力って思うと、少しだけ笑えてしまう。
「はっ! はぁっ」
向かって左側の1体が飛び掛かってきたのを、盾で殴り落とす。
間髪入れずに右側から責めようとしてきたのを剣で弾いた後、正面の1体に剣を突き刺す。
残り2体。
今起き上がろうとしている左の1体に剣を突き立て、あえて背中を晒す。
『シャ!』
最後の1体は、隙ありと言わんばかりにわかりやすい攻撃を仕掛けてくるわけだが――。
「【ブロック】」
『シャ!?』
ここにきて、取得していたスキル【ブロック】を使用。
急激な反転だったため、攻撃がすり抜けてダメージを受ける覚悟ではあったが、見事斧と盾が噛み合った。
そして視界に入る盾は赤く光るわけでも、何かエフェクトが発生するわけでもないらしい。
「ふんっ」
盾をそのままに、剣をマウシーの腹部へと突き刺した。
これで3体を討伐成功。
このまま休まず、先ほどいた安全地帯であろう入り口付近まで駆け出す。
なるほどな。
ゲームの時もそうだったが、この初期スキルはそういう仕様らしい。
エフェクトが発生しないというのもあるが、攻撃を受け止めるというより、攻撃を無効化している感じらしい。
最後のマウシーは、止めの一撃という覚悟で渾身の一撃を振り下ろしていたであろうから、隊格差があるにしても多少の重量は感じても良かったはずだ。
しかし、盾に掛かった圧は、小石がコツンッと当たった程度しか感じなかった。
ゲームの時の情報と合わせるならば、このままスキルを使用して攻撃を受け続ければ、スキルのゲージ――つまり、スキルの熟達値がほんの少しだけ上昇していく。
そうなれば、今さっき感じたあの感覚はなくなっていくのだろう。
「今日はみんなに自由日として過ごしてもらっているから、まだいけるか」
こんなことを一人でやっていると知られたら、間違いなく怒られるだろうが、まあバレないだろう。
試したいことはまだまだある。
ゲームにあったこと、なかったこと。
スキルのディレイタイム、ジャストガード、タイミングをずらしたスキル仕様。
それに、外のモンスターと比べてダンジョンに生息するモンスターは、その強さと同等の経験値を獲得できる。
ウルフを討伐し続けるより、ダンジョンの入り口付近の初期モンスターを討伐し続けた方が効率が良いはずだ。
幸いにもゲームと違ってレベルがパーティメンバーに知られることもないため、やりたい放題やっても、最悪バレない。
なら、レベリングをやるっきゃないだろ。
「時間がわからないのが不便だな」
まあ、まだまだ陽が高そうだし、余裕だろ。
よし、行くか。
「うわやっべ」
満足した俺はダンジョンの外に向かう階段まで来たんだが……すっかりと夕暮れになっていた。
しかし、収獲はあった。
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カナト
レベル:8
耐力:8
攻力:8
防力:8
減力:8
敏力:8
速力:8
魔力:8
理力:8
アクディブスキル:【】
パッシブスキル:【】
ユニークスキル:【】
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近接+
技能+
心頭+
魔理+
特異+
ポイント3
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近接+―斬撃0
―接撃0
―突撃0
―打撃0
―払撃0
―防御5
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我ながら、ヤバいぐらい狩った。
マウシーからドロップする素材は、マウシーの小爪・小牙・細毛・薄皮の四種。
流石にこんな小物にレアドロップはないようだ。
経験値は……レベルの上がり具合から、やはりウルフよりは多いのは確定なのだが……何体狩ったか憶えていない。
20……25……35……? くっ、夢中だったせいで途中から数えるのを忘れてしまっていた。
スキルに関しては、スキル一つにしてもいろいろ試せたのはデカい。
唯一のスキル【ブロック】のスキルディレイタイムは0.5秒程度。
ほぼ連続しようできるわけだが、その中でも駆け引きは必要だ。
それに、スキルが発動している時間は約3秒。
ほぼ永久機関のように思えるのだが、やはりゲームの時同様に、MPを消費する。
だから、考えなしにスキルを連打していると、大事な時に使えなくなるといういことだ。
「やべ、早く帰らないと」
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*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
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