Prisoners(千年放浪記-本編4)

しらき

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Epilogue

Prisoners‐2

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 烏丸が逮捕されPiece Noireは実質解体、ホルニッセ王子もあのシスターととある少年の情報提供により発見された。これで俺たちが抱えた問題も解決したかに思えたが…
「はぁ…結局おれはただ街中をうろうろしていただけかー…。こっちに来たばかりの時だっていつもいつも姉さんにやってもらってばかりで、今回もさー、おれが何か月もかけて探していたのに見つからなかったホルニがさー、あんなあっさりと見つかるなんてー…」
「でもマルコは烏丸逮捕の功労者だよ!まあ最初その話を聞いた時はどう反応して良いかわからなかったけど…俺も大迷惑を被ったし。でもあれは烏丸を陥れる作戦だって知って納得できたよ。」
「おれは千の指示通りやっただけだもん!功労者はおれじゃなくて千だもん!」
「いや俺だけじゃあれは出来なかったが…」
「でも9割千の手柄じゃないか~!!」
むしろ1割くらいが俺の手柄だと思うがな…。経営が再開した喫茶レーヴェは以前の盛り上がりを取り戻し多少店の中で騒いでいても問題はないだろうが、話を聞くこちらとしてはとてつもなく面倒である。
「どっちも抱え込むからだよ…。俺のことなんてほっといてホルニッセ王子の方に集中すれば良かったのに…」
「それか王子の方を見捨てるか、な。」
「やだやだ、どっちもおれの親友だもん!どっちも助けるって決めたんだもん!」
「その結果がこれだよ。そういうことわざもあるだろ。」
「そんなの一般論だよ~!やってみないとわからないじゃん!」
「そう言って馬鹿を見るやつがいるから教訓としてことわざがあるんだろ。」
「ロン~!千がいじめる!!」
「白城さんが言うことが正しいと思うけどなぁ…。まあどっちも助けたいっていうマルコのやさしさは良いものだと思うよ。」
「そういえばホルニが千に会いたいって言ってたよ。」
「俺に?王族直々にご挨拶か?こんな観光地旅人一人ひとり迎えてたらキリがないだろ。」
「いやなんか話したいことがあるんだってー。」
話したいこと?全く心当たりがない。仮に事件解決の礼やマルコが世話になった、程度だったら無視したいところだが…。いや、俺もあのお騒がせ王子には1度会ってみたいと思っていたのだった。
「わかった。まあ帰るまでに会えればな。」
「え、もう帰っちゃうの?全然ヴァッフェルを堪能してないじゃん。」
「いや、もう十分堪能したわ。」
「違うって~!本当のヴァッフェルはもっとすごいんだぞ!」
「はあ、そうかい。じゃあまた知り合いでも連れて今度は観光しに来るぜ。」
「やったー!10人でも100人でも連れてきてね!喫茶レーヴェでおもてなしするよ!」
「え、うちそんなにお客さん入れないよ…」
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