千放シリーズについて語る

深海のトキソプラズマ…歴史と権力に沈められた者たちの話

一文路一族と理研特区

　深トキで重要な人物がもう1人。一文路直也は大財閥の御曹司ゆえにその権力に取り入ろうとする人間に囲まれ疲弊していました。瑞希のように冷徹ではなかったので人間不信にはなりつつも他人を完全に嫌うことはできなかったお人好しです。まあ似たような悩みを抱えた同士瑞希とは仲良くなれたわけですが、本編を読めばわかるように2人の関係は後に悲劇を引き起こすわけですな。
　さて彼は自分の一族が昔何かをやらかしたらしい、ということは薄々感じてはいましたがまさか本部を永代出禁にされているほどだとは思っていませんでした。海の聲を読んでいればわかりますがかつての一文路家は結構やらかしちゃってますね…。あの戦争を引き起こしたのも岩村海翔のような人工人類の実験を行ったのも先代の一文路総長ですから。須藤と松岡のヲタクはキレていいぞ、ただし直也じゃなくて先代にな。
　ところで直也は家柄以外平々凡々な学生に見えて結構プログラミングが得意だったので自力で自白剤…というかウソ発見器というか、一族の秘密を関係者に暴露させるような装置を作ろうとしたわけですね(さすが理研特区スケールが違う)。でも失敗してあの寄生虫がばらまかれたわけです。何故寄生虫(と言ってもハエみたいなデザイン)にしたのだろう…。ちなみに蝶、燃ゆで青条が使う光る蝶についてはあの寄生虫を蜂だと思った瑞希が「コマユバチに対するチョウチョの報復だー！」みたいな気分で作ったからあのデザインになったそうな。アオスジにしたのは…たぶん見栄えの良さ。
　「そんなつもりはなかった」で悲劇を起こす点は中峰祐典と似ているところがありますね。こっちは救いがないけど。