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土砂降りの午後
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昼から雨だった。
午前中に用事を終わらせたかった白鷺 知(しらさぎ とも)は買い物と
掃除をお終わらせ昼からウトウトしていた。
すると、携帯電話が鳴った。
「知?午後から少し話したいことがあるんだけど…」
電話をかけてきたのは2年ほど付き合っている恋人の谷川 樹(たにかわ いつき)。
長く付き合っているし、今年29歳になる知としてはこの誘いは期待した。
「わかった。」
場所と時間を指定されたあと身支度を整え12時頃最寄りの駅へと向かった。
駅につくと樹はスーツ姿で立っておりますますプロポーズを期待してしまう。
レストランで話をたわいもない話をしながら待っているとそれまでの空気が変わり
真剣なまなざしを樹が向けてきた。
(ついに…)
知は息をのみ静かに話を聞こうと樹の目を見つめた。
しかし、樹が話し始めたことは知が思っていることとは反対の言葉だった。
「別れよう…」
知は驚きのあまり言葉が出なかった。
樹は歯を食いしばりながら下を向いていた。
知は頭が真っ白になってしまい
一言も言えなくなってしまった。
その様子をみた樹は知に続けて話をつづけた。
「決して君が悪いわけではない。嫌いになったわけでもない…
ただ、ただ…」
そこから知は何を聞いたかよく覚えていない。
樹は知に「さよなら。」と
一言だけ告げてその場から立ち去った。
そこからの帰り道知はどうやって帰ったか覚えていない…
知はそこから会社でも仕事が手につかなくなった。
営業成績が常にトップだった知の変わりようは会社で話題となった。
「ねえ、白鷺さん最近元気なくない?」
「何か、結婚を考えていた彼氏にふられたらしいわよ。」
知にとってはそのうわさ話さえも苦痛だった。
その日の昼休みに知の直属の上司である近藤部長が知に話しかけてきた。
「お疲れさん、白鷺君。たまには昼飯でもどうかね?
こっちの心配はいらないから。」
部長は手をお金の形にして話していた。
しかし、今の知にとって奢りか割り勘かなどどうでも良かった。
この数日食事もろくにしていない。
そんなこの状況で上司と食事など行けるはずもない…
「部長、せっかくお誘い頂いたのですが、、、」
「そうか、まあまた誘うよ。」
「申し訳ありません。」
樹にふられてから知は仕事以外で外出しなくなった。
毎日職場と自宅を往復するだけ。
そんな状況が余計にむなしく思えてくる。
週末の日曜日知はそんな思いから数年ぶりに高校時代の親友であった牧下 翠(まきもと すい)に
連絡をとりあうことにした。
12時に地元の喫茶店で待ち合わせることにした知は9時頃自宅をでた。
都心で働いていた知だが高校までは茨城寄りの千葉で育った。
数年ぶりの里帰り。 それも大げさかもしれない…
3時間も前に家を出る必要は正直なかった。
「早すぎる。」そう言われるほど早くついてしまうだろう。
しかし知は一人で気持ちの整理をする時間が必要だ。
そう思ったから早くつくように家を出た。
実際、学生時代の友人には1人も恋愛話をしたことがない知は友人にどう話していいかわからずにいた。
3時間程経ちようやく知の心の整理が
ついた頃翠が待ち合わせの喫茶店にやってきた。
「みどり~!!」
大きく手を振りながらこちらへと走ってきた。
灰色の雲模様が目に入らなくなるぐらい
翠の顔はニコニコしていた。
その様子をみた知は少し気が紛れた気がした。
2人は喫茶店の入口から一番遠い窓から外の景色が
見渡せるいい席に座りコーヒーと紅茶をそれぞれ
注文した。
「ねえねえ!この間さ~‥」
翠は他愛もない話を始め数10分話していた。
話をしながら知が愛想笑いから
心底笑い始めるような感じを受けた翠は
急に真顔になり知に聞き始めた。
「それで?
なにかあった?」
知は失恋した話をゼロから話し始めた。
「そっか…
いつまでも引きづるのはよくないといいたいところだけど、今の状況じゃ難しいよね…」
翠が言葉を選びながら話をしてくれているのを感じて知は少しだが胸が軽くなった気がした。
その日から3日後、再び同じ喫茶店に入ろうとした。
その時、翠が店に入っていくのを見かけた。
知は、(1時間半程度の距離があるのにこんなところに?)と不思議に感じたが
すぐに翠に声をかけようとした。
その直後、知は信じられない光景を目の当たりにした。
翠が話しかけたのは数日前に知がふられた樹だった。
知は頭が真っ白になった。
知はそのまま居ても立っても居られなくなり、樹と翠に殴りかかろうとした。
「知!?」
知は涙ぐみながら殴りかかろうとしたが樹は翠をかばおうとした。
2人のその様子をみて知はどうでもよくなってしまった。
喫茶店に行くつもりだった知はそのまま走り出し泣きながら走り続けた。
(ひどい… ひどいよ…)
知は走り続けて気が付くと河川敷まで来てしまっていた。
知は下を見て立ち止まった。
「ザー…」
雨が強くなり始めた。
知は家に帰る途中、傘もささなかった。
そのまま、家に帰り風呂にに入った。
その後、寝ようとしたがおなかがすいていて眠れなかった。
知の気は沈んでいたが家に何もなかったため近くのコンビニに買い物にでた。
気が付けばさっきまでの土砂降りはやみ曇り空になっていた。
むかつきが抑えきれない知は途中の道にあった水たまりをみつけ
その水たまりを蹴ろうとしたその時、
信じられないことに知はそのまま別の世界へと入っていった。
そして、気が付くと雲の上に立っていた知は驚いた。
午前中に用事を終わらせたかった白鷺 知(しらさぎ とも)は買い物と
掃除をお終わらせ昼からウトウトしていた。
すると、携帯電話が鳴った。
「知?午後から少し話したいことがあるんだけど…」
電話をかけてきたのは2年ほど付き合っている恋人の谷川 樹(たにかわ いつき)。
長く付き合っているし、今年29歳になる知としてはこの誘いは期待した。
「わかった。」
場所と時間を指定されたあと身支度を整え12時頃最寄りの駅へと向かった。
駅につくと樹はスーツ姿で立っておりますますプロポーズを期待してしまう。
レストランで話をたわいもない話をしながら待っているとそれまでの空気が変わり
真剣なまなざしを樹が向けてきた。
(ついに…)
知は息をのみ静かに話を聞こうと樹の目を見つめた。
しかし、樹が話し始めたことは知が思っていることとは反対の言葉だった。
「別れよう…」
知は驚きのあまり言葉が出なかった。
樹は歯を食いしばりながら下を向いていた。
知は頭が真っ白になってしまい
一言も言えなくなってしまった。
その様子をみた樹は知に続けて話をつづけた。
「決して君が悪いわけではない。嫌いになったわけでもない…
ただ、ただ…」
そこから知は何を聞いたかよく覚えていない。
樹は知に「さよなら。」と
一言だけ告げてその場から立ち去った。
そこからの帰り道知はどうやって帰ったか覚えていない…
知はそこから会社でも仕事が手につかなくなった。
営業成績が常にトップだった知の変わりようは会社で話題となった。
「ねえ、白鷺さん最近元気なくない?」
「何か、結婚を考えていた彼氏にふられたらしいわよ。」
知にとってはそのうわさ話さえも苦痛だった。
その日の昼休みに知の直属の上司である近藤部長が知に話しかけてきた。
「お疲れさん、白鷺君。たまには昼飯でもどうかね?
こっちの心配はいらないから。」
部長は手をお金の形にして話していた。
しかし、今の知にとって奢りか割り勘かなどどうでも良かった。
この数日食事もろくにしていない。
そんなこの状況で上司と食事など行けるはずもない…
「部長、せっかくお誘い頂いたのですが、、、」
「そうか、まあまた誘うよ。」
「申し訳ありません。」
樹にふられてから知は仕事以外で外出しなくなった。
毎日職場と自宅を往復するだけ。
そんな状況が余計にむなしく思えてくる。
週末の日曜日知はそんな思いから数年ぶりに高校時代の親友であった牧下 翠(まきもと すい)に
連絡をとりあうことにした。
12時に地元の喫茶店で待ち合わせることにした知は9時頃自宅をでた。
都心で働いていた知だが高校までは茨城寄りの千葉で育った。
数年ぶりの里帰り。 それも大げさかもしれない…
3時間も前に家を出る必要は正直なかった。
「早すぎる。」そう言われるほど早くついてしまうだろう。
しかし知は一人で気持ちの整理をする時間が必要だ。
そう思ったから早くつくように家を出た。
実際、学生時代の友人には1人も恋愛話をしたことがない知は友人にどう話していいかわからずにいた。
3時間程経ちようやく知の心の整理が
ついた頃翠が待ち合わせの喫茶店にやってきた。
「みどり~!!」
大きく手を振りながらこちらへと走ってきた。
灰色の雲模様が目に入らなくなるぐらい
翠の顔はニコニコしていた。
その様子をみた知は少し気が紛れた気がした。
2人は喫茶店の入口から一番遠い窓から外の景色が
見渡せるいい席に座りコーヒーと紅茶をそれぞれ
注文した。
「ねえねえ!この間さ~‥」
翠は他愛もない話を始め数10分話していた。
話をしながら知が愛想笑いから
心底笑い始めるような感じを受けた翠は
急に真顔になり知に聞き始めた。
「それで?
なにかあった?」
知は失恋した話をゼロから話し始めた。
「そっか…
いつまでも引きづるのはよくないといいたいところだけど、今の状況じゃ難しいよね…」
翠が言葉を選びながら話をしてくれているのを感じて知は少しだが胸が軽くなった気がした。
その日から3日後、再び同じ喫茶店に入ろうとした。
その時、翠が店に入っていくのを見かけた。
知は、(1時間半程度の距離があるのにこんなところに?)と不思議に感じたが
すぐに翠に声をかけようとした。
その直後、知は信じられない光景を目の当たりにした。
翠が話しかけたのは数日前に知がふられた樹だった。
知は頭が真っ白になった。
知はそのまま居ても立っても居られなくなり、樹と翠に殴りかかろうとした。
「知!?」
知は涙ぐみながら殴りかかろうとしたが樹は翠をかばおうとした。
2人のその様子をみて知はどうでもよくなってしまった。
喫茶店に行くつもりだった知はそのまま走り出し泣きながら走り続けた。
(ひどい… ひどいよ…)
知は走り続けて気が付くと河川敷まで来てしまっていた。
知は下を見て立ち止まった。
「ザー…」
雨が強くなり始めた。
知は家に帰る途中、傘もささなかった。
そのまま、家に帰り風呂にに入った。
その後、寝ようとしたがおなかがすいていて眠れなかった。
知の気は沈んでいたが家に何もなかったため近くのコンビニに買い物にでた。
気が付けばさっきまでの土砂降りはやみ曇り空になっていた。
むかつきが抑えきれない知は途中の道にあった水たまりをみつけ
その水たまりを蹴ろうとしたその時、
信じられないことに知はそのまま別の世界へと入っていった。
そして、気が付くと雲の上に立っていた知は驚いた。
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