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第24話 甘くてふわふわ

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 パスタ(絶品)を食べ終わった後は、定員さんが空いたお皿を片付けてくれた。
 そして、代わりに大きなパンケーキをテーブルに置いていく。
 おぉ、これがスペシャルパンケーキ…!

「え、やば!」

「凄いわね…」

 めちゃくちゃボリューミーだった。私の顔より大きなパンケーキが二つ重なっている感じだ。
 これは確かにスペシャルだわ…。
 しかも凄くふわふわな見た目で、ひとつ当たり五センチくらいの厚さがある。
 たっぷりの生クリームの上から、いちごソースがかかっており、さらにその上にはミックスベリーが山ほどトッピングされている。とっても華やかだ。

「じゃあ、食べようか…!」

 パンケーキと一緒に運ばれてきた取り皿に半分を盛り分けてから、いよいよ実食のお時間だ。
 大きく一口ひとくち分を切り取って、ぱくりと頬張った。

「…ん!」

 食べた瞬間、口の中が旨味で満たされた。
 生地から濃厚なバターの風味を感じる。
 それに、生クリームの甘さとベリーの酸味が綺麗にマッチしていて、ほっぺたが落ちてしまいそうなほどの美味しさだ。
 加えて、パンケーキの生地はふわっふわで、生クリームと併せて、とろけるような口当たりなのだ。
 いや、美味すぎだろこれ…!

「めっちゃ美味しい~!」

「えぇ、本当に美味しいわ…!」

 私たちは夢中になってパクパクと食べ続けた。
 パスタも食べたので、最初は『食べ切れるかな?』とも思ったが、予想に反して手は食べ終わるまで止まることは無かった。


 …ご馳走様でした。至福の時間をありがとう!


━━━━━━━━━━━━━━━


 食事が終わり、お会計をしてお店を後にした。
 現在、外はすっかり暗くなり涼しくなっている。
 そんな中、私たちは帰路を歩きながら会話に興じていた。

「パスタもパンケーキも美味しかったね~!」

「是非また来たいわね」

「うん!また来よ~!」

 とっても良い雰囲気が漂っている。

(これなら…いける!)

 竜胆さんの手をロックオンしながら覚悟を決めた。
 そう、私は竜胆さんと手を繋ぎたいのだ。切実に。
 だって女子界隈では、歩く時に手を繋ぐのが仲良しの指標として用いられているという噂だ。
 それにそもそも、私は人と手を繋ぐのが好きなのである。人の手の温もりって安心感があるんだよね。
 だから妹と出掛ける時は、割と手を繋いで歩いていることが多い。

 そうやって理由を脳内でたくさん並べて、完璧な理論武装を確認する。

(うん、ここは手を繋いでもいい場面だね!)

 ゴーサインを認証して、私はゆっくりと手を竜胆さんの手へと近づける。
 そして、互いの手の距離が残り僅かとなった所で、腹を括って最後の距離を一気に埋めた。

 手と手が重なる。

突然の出来事に驚いたのか、竜胆さんは足を止めた。

 こちらを振り向く。

竜胆さんは、じっと私を見つめている。

 沈黙が訪れる。

私は竜胆さんの手を軽く引っ張りながら、言った。

 「行こ?」

竜胆さんは重なった手をちらっと見た後に、こくり、と頷いて同意を示し、私の隣へと移動してきた。
…その頷く仕草、可愛過ぎるから私以外には禁止ね。


 私たちは並んで、家路を進む。
時に繋いだ手をにぎにぎとさせながら…。


 私は竜胆さんの手の温もりを感じて、さっき食べたパンケーキみたいに、甘くてふわふわの、幸せな気持ちで満たされていた。
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