24 / 35
第24話 甘くてふわふわ
しおりを挟むパスタ(絶品)を食べ終わった後は、定員さんが空いたお皿を片付けてくれた。
そして、代わりに大きなパンケーキをテーブルに置いていく。
おぉ、これがスペシャルパンケーキ…!
「え、やば!」
「凄いわね…」
めちゃくちゃボリューミーだった。私の顔より大きなパンケーキが二つ重なっている感じだ。
これは確かにスペシャルだわ…。
しかも凄くふわふわな見た目で、ひとつ当たり五センチくらいの厚さがある。
たっぷりの生クリームの上から、いちごソースがかかっており、さらにその上にはミックスベリーが山ほどトッピングされている。とっても華やかだ。
「じゃあ、食べようか…!」
パンケーキと一緒に運ばれてきた取り皿に半分を盛り分けてから、いよいよ実食のお時間だ。
大きく一口分を切り取って、ぱくりと頬張った。
「…ん!」
食べた瞬間、口の中が旨味で満たされた。
生地から濃厚なバターの風味を感じる。
それに、生クリームの甘さとベリーの酸味が綺麗にマッチしていて、ほっぺたが落ちてしまいそうなほどの美味しさだ。
加えて、パンケーキの生地はふわっふわで、生クリームと併せて、蕩けるような口当たりなのだ。
いや、美味すぎだろこれ…!
「めっちゃ美味しい~!」
「えぇ、本当に美味しいわ…!」
私たちは夢中になってパクパクと食べ続けた。
パスタも食べたので、最初は『食べ切れるかな?』とも思ったが、予想に反して手は食べ終わるまで止まることは無かった。
…ご馳走様でした。至福の時間をありがとう!
━━━━━━━━━━━━━━━
食事が終わり、お会計をしてお店を後にした。
現在、外はすっかり暗くなり涼しくなっている。
そんな中、私たちは帰路を歩きながら会話に興じていた。
「パスタもパンケーキも美味しかったね~!」
「是非また来たいわね」
「うん!また来よ~!」
とっても良い雰囲気が漂っている。
(これなら…いける!)
竜胆さんの手をロックオンしながら覚悟を決めた。
そう、私は竜胆さんと手を繋ぎたいのだ。切実に。
だって女子界隈では、歩く時に手を繋ぐのが仲良しの指標として用いられているという噂だ。
それにそもそも、私は人と手を繋ぐのが好きなのである。人の手の温もりって安心感があるんだよね。
だから妹と出掛ける時は、割と手を繋いで歩いていることが多い。
そうやって理由を脳内でたくさん並べて、完璧な理論武装を確認する。
(うん、ここは手を繋いでもいい場面だね!)
ゴーサインを認証して、私はゆっくりと手を竜胆さんの手へと近づける。
そして、互いの手の距離が残り僅かとなった所で、腹を括って最後の距離を一気に埋めた。
手と手が重なる。
突然の出来事に驚いたのか、竜胆さんは足を止めた。
こちらを振り向く。
竜胆さんは、じっと私を見つめている。
沈黙が訪れる。
私は竜胆さんの手を軽く引っ張りながら、言った。
「行こ?」
竜胆さんは重なった手をちらっと見た後に、こくり、と頷いて同意を示し、私の隣へと移動してきた。
…その頷く仕草、可愛過ぎるから私以外には禁止ね。
私たちは並んで、家路を進む。
時に繋いだ手をにぎにぎとさせながら…。
私は竜胆さんの手の温もりを感じて、さっき食べたパンケーキみたいに、甘くてふわふわの、幸せな気持ちで満たされていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※完結済み、手直ししながら随時upしていきます
※サムネにAI生成画像を使用しています
【R18】女の子にさせないで。
秋葉 幾三
恋愛
初投稿です長文は初めてなので読みにくいです。
体だけが女の子になってしまった、主人公:牧野 郁(まきの かおる)が、憧れのヒロインの:鈴木 怜香(すずき れいか)と恋人同士になれるかの物語、時代背景は遺伝子とか最適化された、チョット未来です、男心だけでHな恋人関係になれるのか?というドタバタ劇です。
12月からプロローグ章を追加中、女の子になってから女子校に通い始めるまでのお話です、
二章か三章程になる予定です、宜しくお願いします
小説家になろう(18歳以上向け)サイトでも挿絵付きで掲載中、
(https://novel18.syosetu.com/n3110gq/ 18禁サイトへ飛びます、注意)
「カクヨミ」サイトでも掲載中です、宜しくお願いします。
(https://kakuyomu.jp/works/1177354055272742317)
女の子がひたすら気持ちよくさせられる短編集
春
恋愛
様々な設定で女の子がえっちな目に遭うお話。詳しくはタグご覧下さい。モロ語あり一話完結型。注意書きがない限り各話につながりはありませんのでどこからでも読めます。pixivにも同じものを掲載しております。
教師真由美の密かな「副業」 〜教師と生徒、2人だけの交換条件〜
maity
恋愛
東京で一人暮らしをする高校2年の真壁優也は、担任教師の森沢真由美の美しさに心を奪われていました。
人妻でもある彼女への満たされぬ想いに苛まれる彼にとって、放課後帰りの真由美を尾行し、彼女のプライベートを盗み見することだけが密かな慰めだったのです。
ある日、優也は夕方の繁華街を尾行中に、いつもと違う真由美の行動を目撃しました。それは彼女にとって誰にも知られたく無い秘密…… 「副業」のため、男性相手の性感エステサロンに入る姿だったのです。
憧れの美しい教師の「副業」を知ってしまった優也の決意…… 彼は真由美が働く店で客として彼女を指名し、今まで触れることすら出来なかった彼女の体で、想い描いた性の願いを叶えようとします。
彼は教壇に立つ真由美の美しい後ろ姿を見つめながら、彼女を90分間だけ自分だけのものに出来る「予約」の日を待ち続けるのですが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる