77 / 284
第2章:俺の声はどう?
65:想定問答開始
しおりを挟む
----------
------
----
凄まじい泣き声が、とある寝所に響き渡る。
「あ゛ぁぁぁぁっ!ざどじぃ!ざどじぃっ!」
うえ。
その小さなえずきが、響き渡る泣き声の合間に小気味よく入り込む。そこには、ベッドの上で大泣きする金色の塊と、それを眺める呆れ顔の垂れ目の男が立って居た。
「うっうっうっうっ」
「いい加減にしてください。イーサ王子」
「うぇぇぇぇっ、えぇぇっ」
「うえっ、良い年した雄の大人がぬいぐるみに顔を押し付けて泣きわめく姿……気持ち悪い」
「う゛あぁぁんっ!ざどじぃっ!」
マティックの心無い言葉に、再び、イーサの子供のような泣き声が部屋中に反響する。抱きしめられているウサギのぬいぐるみは、今や力強く抱きしめられ過ぎて顔が大いに変形してしまっていた。
あんな扱い、虐待以外の何モノでもない。
「やかましいっ!いい加減にしなさい!」
「ざどじはぁっ、そんなふうに、おれぇを、おごらないぃぃっ」
「あぁぁっもう!今は、そんな事はどうでもよろしい!ともかく!時間が無いと言っているでしょう!?泣き止みなさい!みっともない!」
「あ゛あぁぁぁぁっ!いやだぁぁぁぁっ!」
こちらの言う事になど、一切聞く耳を持とうとしないイーサに、マティックは大いに頭を抱えた。
昨夜、名君ヴィタリックは、この世を去った。次の王が誰かという遺言を、辛うじて残っていたマナへと刻み。
『っはぁ。っマティ、っく。イーサを、たのむ』
そう、潰れてしまった声帯を必死に震わせ、次王の名を口にして逝った王の最期の姿。
それを聞いて、マティックも静かに頷いた。王からの遺言だ。頷くより他ない。
けれど確かに、この国難とも言える大局を乗り切れるような王家の人間は、今やイーサしか居ない。それは、この王子が生まれて間もない時から、マティックも理解していた。
だからこそ、迷う事なく頷く事が出来たのだ。
「……はぁ、まったく」
「っひぅ、っひぅ」
まぁ、もう一人、可能性のある者が居なくもないが、その道を選ぶにはまず前例がない。前例がない事を成そうとする場合、基本的には通常よりも大幅なる時間のロスが発生するため、マティックがそちらの選択肢に踏み切る事はない。
本人の意思がどうであれ、だ。
「イーサ王子。お願いですから、一旦泣き止んでください」
「ざどじ……ざどじは、もう、ごごへは、ぎで、ぐれだい。おはなじも、じで、ぐれない」
「……うえ。きっつ」
ただ、目の前の、まるで母親とはぐれて泣きわめく子供のような成人男性を相手にしていた方が、実は時間の大幅なロスなのでは?と、マティックは新たに湧き上がってきた可能性に頭を抱えた。しかし、何をどう頭を抱えた所で、王の遺言は絶対だ。
だとすれば、この目の前の癇癪虫を空位となった玉座に座らせるしかないのである。
「昨日の夜。私はサトシ・ナカモトと話しました」
「……なに?」
マティックがサトシの名前を口にした瞬間、それまで鼻水と涙を垂れ流し泣き喚いていたイーサが、ピタリとその泣き声を止めた。
その姿に、マティックは一気に頭の中で思考を回転させる。
ここから口にする言葉は、僅かなミスも許されない。この会話の在り様で、この目の前の男が、癇癪我儘王子のままなのか、イーサ王という新たな名君として君臨するに至るのかが、かかっているのだから。
「マティック。どうしてお前がサトシと話をする?」
真っ赤に充血してはいるものの、薄く細められた目がマティックを貫いた。そんなイーサの視線に、マティックは深く息を吸い込んだ。
あぁ、既に懐かしい。この目は、前王。今は亡きヴィタリックも同じような目で、家臣たちを見据えていた。
イーサは嫌がるだろうが、数多いる王子の中で、やはりイーサが最もヴィタリックの血を濃く受け継いでいる。
癇癪を起されてはたまらないので、決して口にしたりはしないが。
「彼が、貴方の与えたネックレスを首にしていたからです」
時間がない。時間がない。ともかくもって、時間が無い。事は、空位の玉座にイーサを据えるだけでは済まない。むしろ、そこからが全ての始まりなのだ。
「……お前にそれが関係あるのか?」
「関係あります」
「どう、関係ある?」
静かな問答の中、既にマティックの脳内では、イーサとの会話を終了していた。
さぁ、シミュレーションは終わった。ここから行うのは、マティックが脳内のイーサと行った会話をなぞるだけの想定問答だ。
アドリブ感を演出し、質問や回答を誘導させる。
終わった頃には、イーサは既に王となる決意を固めている筈だ。
「昨夜、ヴィタリック様がお亡くなりになられました」
「ほう。そうか。やっと死んだか」
ヴィタリックの死に、イーサは驚かない。
それも想定済だ。
むしろ、マティックが此処に来た時点で、イーサはその辺りの全てを悟っていたに違いない。今のところ癇癪玉を腹に抱えた我儘王子にしか見えない彼だが、他者の機微を読み取る力には、昔から群を抜いて長けていた。
「それが?サトシとお前が話す事に何か関係しているのか?」
「ええ。彼にはこれから、私と共に王となる貴方様を守る双璧となって貰わなければなりません。その事について、彼と話しました」
「……サトシを俺の盾にするつもりはない。アレは俺の寝所に置く。あもと一緒に」
「それはいけません」
「俺の意向をお前が決めるな。思い上がるのも大概にしろ」
ここも想定通り。
イーサの充血した目が、鋭くマティックを睨みつける。それと同時に、周囲のマナが一気に濃くなった。さすがは、王家の血を引く者だ。機嫌一つで、簡単にマティックに腹の底から吐き気を催させてくる。
せりあがってくるような脂汗に、それでもマティックは表情一つ変える事はない。
なにせ、想定通りだからだ。
「では、言い方を変えましょう。それは、お勧めしません」
王家の血を引く、その金糸の髪の毛はマナを溜めておく為の貯蔵庫だ。輝けば輝く程、その身に保有するマナの量は多くなる。ヴィタリックの死した今、イーサはこの世で最もマナをその身に有する者となった。
「寝所に隠しても、アレは人間です。いつ、どこで、どう狙われるか分からない。見つかれば、殺されるか、それよりも酷い使われ方をするでしょうね。貴方もそれは分かっておいででしょう」
「……隠せばいい」
「意思ある者の隠匿は、必ず意思ある者から暴かれる」
「……父の言葉を使うな。忌々しい」
「これは失礼。しかし、これほどまでにピッタリな言葉も無いと思いましてね。政の鉄則です。覚えておいてください」
「黙れ」
「……それに、貴方は一つ、彼、サトシに関して大きく見誤っている事がある」
「なんだと?」
想定通り。
ここでイーサは先程までの鋭い視線に戸惑いを宿した。その瞳にマティックは畳みかけるように口を開いた。
------
----
凄まじい泣き声が、とある寝所に響き渡る。
「あ゛ぁぁぁぁっ!ざどじぃ!ざどじぃっ!」
うえ。
その小さなえずきが、響き渡る泣き声の合間に小気味よく入り込む。そこには、ベッドの上で大泣きする金色の塊と、それを眺める呆れ顔の垂れ目の男が立って居た。
「うっうっうっうっ」
「いい加減にしてください。イーサ王子」
「うぇぇぇぇっ、えぇぇっ」
「うえっ、良い年した雄の大人がぬいぐるみに顔を押し付けて泣きわめく姿……気持ち悪い」
「う゛あぁぁんっ!ざどじぃっ!」
マティックの心無い言葉に、再び、イーサの子供のような泣き声が部屋中に反響する。抱きしめられているウサギのぬいぐるみは、今や力強く抱きしめられ過ぎて顔が大いに変形してしまっていた。
あんな扱い、虐待以外の何モノでもない。
「やかましいっ!いい加減にしなさい!」
「ざどじはぁっ、そんなふうに、おれぇを、おごらないぃぃっ」
「あぁぁっもう!今は、そんな事はどうでもよろしい!ともかく!時間が無いと言っているでしょう!?泣き止みなさい!みっともない!」
「あ゛あぁぁぁぁっ!いやだぁぁぁぁっ!」
こちらの言う事になど、一切聞く耳を持とうとしないイーサに、マティックは大いに頭を抱えた。
昨夜、名君ヴィタリックは、この世を去った。次の王が誰かという遺言を、辛うじて残っていたマナへと刻み。
『っはぁ。っマティ、っく。イーサを、たのむ』
そう、潰れてしまった声帯を必死に震わせ、次王の名を口にして逝った王の最期の姿。
それを聞いて、マティックも静かに頷いた。王からの遺言だ。頷くより他ない。
けれど確かに、この国難とも言える大局を乗り切れるような王家の人間は、今やイーサしか居ない。それは、この王子が生まれて間もない時から、マティックも理解していた。
だからこそ、迷う事なく頷く事が出来たのだ。
「……はぁ、まったく」
「っひぅ、っひぅ」
まぁ、もう一人、可能性のある者が居なくもないが、その道を選ぶにはまず前例がない。前例がない事を成そうとする場合、基本的には通常よりも大幅なる時間のロスが発生するため、マティックがそちらの選択肢に踏み切る事はない。
本人の意思がどうであれ、だ。
「イーサ王子。お願いですから、一旦泣き止んでください」
「ざどじ……ざどじは、もう、ごごへは、ぎで、ぐれだい。おはなじも、じで、ぐれない」
「……うえ。きっつ」
ただ、目の前の、まるで母親とはぐれて泣きわめく子供のような成人男性を相手にしていた方が、実は時間の大幅なロスなのでは?と、マティックは新たに湧き上がってきた可能性に頭を抱えた。しかし、何をどう頭を抱えた所で、王の遺言は絶対だ。
だとすれば、この目の前の癇癪虫を空位となった玉座に座らせるしかないのである。
「昨日の夜。私はサトシ・ナカモトと話しました」
「……なに?」
マティックがサトシの名前を口にした瞬間、それまで鼻水と涙を垂れ流し泣き喚いていたイーサが、ピタリとその泣き声を止めた。
その姿に、マティックは一気に頭の中で思考を回転させる。
ここから口にする言葉は、僅かなミスも許されない。この会話の在り様で、この目の前の男が、癇癪我儘王子のままなのか、イーサ王という新たな名君として君臨するに至るのかが、かかっているのだから。
「マティック。どうしてお前がサトシと話をする?」
真っ赤に充血してはいるものの、薄く細められた目がマティックを貫いた。そんなイーサの視線に、マティックは深く息を吸い込んだ。
あぁ、既に懐かしい。この目は、前王。今は亡きヴィタリックも同じような目で、家臣たちを見据えていた。
イーサは嫌がるだろうが、数多いる王子の中で、やはりイーサが最もヴィタリックの血を濃く受け継いでいる。
癇癪を起されてはたまらないので、決して口にしたりはしないが。
「彼が、貴方の与えたネックレスを首にしていたからです」
時間がない。時間がない。ともかくもって、時間が無い。事は、空位の玉座にイーサを据えるだけでは済まない。むしろ、そこからが全ての始まりなのだ。
「……お前にそれが関係あるのか?」
「関係あります」
「どう、関係ある?」
静かな問答の中、既にマティックの脳内では、イーサとの会話を終了していた。
さぁ、シミュレーションは終わった。ここから行うのは、マティックが脳内のイーサと行った会話をなぞるだけの想定問答だ。
アドリブ感を演出し、質問や回答を誘導させる。
終わった頃には、イーサは既に王となる決意を固めている筈だ。
「昨夜、ヴィタリック様がお亡くなりになられました」
「ほう。そうか。やっと死んだか」
ヴィタリックの死に、イーサは驚かない。
それも想定済だ。
むしろ、マティックが此処に来た時点で、イーサはその辺りの全てを悟っていたに違いない。今のところ癇癪玉を腹に抱えた我儘王子にしか見えない彼だが、他者の機微を読み取る力には、昔から群を抜いて長けていた。
「それが?サトシとお前が話す事に何か関係しているのか?」
「ええ。彼にはこれから、私と共に王となる貴方様を守る双璧となって貰わなければなりません。その事について、彼と話しました」
「……サトシを俺の盾にするつもりはない。アレは俺の寝所に置く。あもと一緒に」
「それはいけません」
「俺の意向をお前が決めるな。思い上がるのも大概にしろ」
ここも想定通り。
イーサの充血した目が、鋭くマティックを睨みつける。それと同時に、周囲のマナが一気に濃くなった。さすがは、王家の血を引く者だ。機嫌一つで、簡単にマティックに腹の底から吐き気を催させてくる。
せりあがってくるような脂汗に、それでもマティックは表情一つ変える事はない。
なにせ、想定通りだからだ。
「では、言い方を変えましょう。それは、お勧めしません」
王家の血を引く、その金糸の髪の毛はマナを溜めておく為の貯蔵庫だ。輝けば輝く程、その身に保有するマナの量は多くなる。ヴィタリックの死した今、イーサはこの世で最もマナをその身に有する者となった。
「寝所に隠しても、アレは人間です。いつ、どこで、どう狙われるか分からない。見つかれば、殺されるか、それよりも酷い使われ方をするでしょうね。貴方もそれは分かっておいででしょう」
「……隠せばいい」
「意思ある者の隠匿は、必ず意思ある者から暴かれる」
「……父の言葉を使うな。忌々しい」
「これは失礼。しかし、これほどまでにピッタリな言葉も無いと思いましてね。政の鉄則です。覚えておいてください」
「黙れ」
「……それに、貴方は一つ、彼、サトシに関して大きく見誤っている事がある」
「なんだと?」
想定通り。
ここでイーサは先程までの鋭い視線に戸惑いを宿した。その瞳にマティックは畳みかけるように口を開いた。
31
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
神は眷属からの溺愛に気付かない
グランラババー
BL
【ラントの眷属たち×神となる主人公ラント】
「聖女様が降臨されたぞ!!」
から始まる異世界生活。
夢にまでみたファンタジー生活を送れると思いきや、一緒に召喚された母であり聖女である母から不要な存在として捨てられる。
ラントは、せめて聖女の思い通りになることを妨ぐため、必死に生きることに。
彼はもう人と交流するのはこりごりだと思い、聖女に捨てられた山の中で生き残ることにする。
そして、必死に生き残って3年。
人に合わないと生活を送れているものの、流石に度が過ぎる生活は寂しい。
今更ながら、人肌が恋しくなってきた。
よし!眷属を作ろう!!
この物語は、のちに神になるラントが偶然森で出会った青年やラントが助けた子たちも共に世界を巻き込んで、なんやかんやあってラントが愛される物語である。
神になったラントがラントの仲間たちに愛され生活を送ります。ラントの立ち位置は、作者がこの小説を書いている時にハマっている漫画や小説に左右されます。
ファンタジー要素にBLを織り込んでいきます。
のんびりとした物語です。
現在二章更新中。
現在三章作成中。(登場人物も増えて、やっとファンタジー小説感がでてきます。)
ツンデレ貴族さま、俺はただの平民です。
夜のトラフグ
BL
シエル・クラウザーはとある事情から、大貴族の主催するパーティーに出席していた。とはいえ歴史ある貴族や有名な豪商ばかりのパーティーは、ただの平民にすぎないシエルにとって居心地が悪い。
しかしそんなとき、ふいに視界に見覚えのある顔が見えた。
(……あれは……アステオ公子?)
シエルが通う学園の、鼻持ちならないクラスメイト。普段はシエルが学園で数少ない平民であることを馬鹿にしてくるやつだが、何だか今日は様子がおかしい。
(………具合が、悪いのか?)
見かねて手を貸したシエル。すると翌日から、その大貴族がなにかと付きまとってくるようになってーー。
魔法の得意な平民×ツンデレ貴族
※同名義でムーンライトノベルズ様でも後追い更新をしています。
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている
青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子
ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ
そんな主人公が、BLゲームの世界で
モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを
楽しみにしていた。
だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない……
そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし
BL要素は、軽めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる