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「「……」」
沈黙が痛い。
わかってたよ?ちゃんと見せるつもりだったし。
でもいざやるとなると、抵抗どころの話じゃない。
……けど見せなきゃ、ずっとこのままだ。それになんでこの世界に来たか分かんない以上、いつ帰れるかも分からないのだ。生活の保障は喉から手が出る程欲しい。
覚悟を決める。
ベッドの横にあったベンチのような簡素な形の椅子。青年に背を向けて屈むようにそこに手をついた。相手に向けたケツに視線が突き刺さっているのを感じて、椅子の座面から視線を外せない。突き出しているこの恰好だけでも相当恥ずかしい。
でも、これじゃきっとわからないよな…。くそう、俺も男だ!
勇気を出して足幅を広げた。
「ッ」
ゴクリとつばを飲み込む音が聞こえる。俺もたぶん首まで真っ赤になってると思う。
「ど、どう?」
「…本当だ…」
小さな呟きは心底驚いたような響きだった。本当にこの世界には肛門がないのかも。青年の反応にそんなことを考えていたら、次の瞬間、尻たぶに感じた冷たい感触に飛び上がった。
「な、なに?」
あっ、これ、青年の手か? 尻肉がグイっと左右に開かれ悲鳴を上げる。ひやりとした外気を感じて穴がヒクリ動いたのが自分でもわかった。
「何すんのさッ!?もう穴があるのは分かっただろ?」
「信じられない……こんなところに穴が口みたいにあるなんて…。いや、へそのように凹んでいるだけの可能性も…」
俺の悲鳴まじりの反論なんて耳に届いていないようで、青年はブツブツ呟くと、なんと指を穴に突っ込んで来た。これには本気の悲鳴を上げた。
「ひっ!や、止めろっ」
バッと立ち上がり振りむくとそこには呆然とした青年がいた。
「本当に穴があった……」
新種の生き物に遭遇したような青年の態度に怒りがしぼんでいく。
「ちょっと?」
「あ、ああ。すまない。君のいう事は本当だったんだな」
「そうだよ。でも手を入れるのは止めろよな。ばっちいだろ」
昨夜風呂に入った後から今までまだ出していないけど、不衛生なことに代わりはない。
青年は突っ込んだ指をジーっと見た後、再び口を開いた。
「この目で見て触って、確かに確認した。君が異世界から来たことを信じます。それに先ほども言いましたが、君のことは責任をもって世話をさせてもらうので安心してください」
「あ、ありがとう。でも、自立するまでいさせてもらえれば十分だから。……それより俺も確認したいんだけど。いい?」
「あっ、はい」
尻を突き出すようなさっきのポーズはすごく抵抗があるっぽかったから、止めてやる。確かにこの恰好は嫌だよな。
足を開いて立ってもらった。
俺はしゃがみ込んで彼の下半身近くに顔を寄せる。
うー、これだけ近づいてもプリけつしか見えない。
「ごめんっ」
「!」
思いきって尻の狭間に手を突っ込む。するとそこはつるんとして何もなかった。
玉の裏から尾てい骨まで、つるりとした感触が続くばかり。
「……ふッ……」
信じられなくて何度も往復していたが、青年の息を殺した声に気付いて慌てて止めた。
何もないとはいえ敏感な場所だ。撫でまわすなんて痴漢行為に近い。
「ご、ごめん!」
「い、いや……」
気まずげに目を反らしているが怒ってはいないようだ。よかった。
そして俺は自分の現状を突き付けられ呆然としていた。
本当だったんだ。いや、魔法も見たし分かってたけど今改めて実感した。ここって本当に異世界なんだ……。
沈黙が痛い。
わかってたよ?ちゃんと見せるつもりだったし。
でもいざやるとなると、抵抗どころの話じゃない。
……けど見せなきゃ、ずっとこのままだ。それになんでこの世界に来たか分かんない以上、いつ帰れるかも分からないのだ。生活の保障は喉から手が出る程欲しい。
覚悟を決める。
ベッドの横にあったベンチのような簡素な形の椅子。青年に背を向けて屈むようにそこに手をついた。相手に向けたケツに視線が突き刺さっているのを感じて、椅子の座面から視線を外せない。突き出しているこの恰好だけでも相当恥ずかしい。
でも、これじゃきっとわからないよな…。くそう、俺も男だ!
勇気を出して足幅を広げた。
「ッ」
ゴクリとつばを飲み込む音が聞こえる。俺もたぶん首まで真っ赤になってると思う。
「ど、どう?」
「…本当だ…」
小さな呟きは心底驚いたような響きだった。本当にこの世界には肛門がないのかも。青年の反応にそんなことを考えていたら、次の瞬間、尻たぶに感じた冷たい感触に飛び上がった。
「な、なに?」
あっ、これ、青年の手か? 尻肉がグイっと左右に開かれ悲鳴を上げる。ひやりとした外気を感じて穴がヒクリ動いたのが自分でもわかった。
「何すんのさッ!?もう穴があるのは分かっただろ?」
「信じられない……こんなところに穴が口みたいにあるなんて…。いや、へそのように凹んでいるだけの可能性も…」
俺の悲鳴まじりの反論なんて耳に届いていないようで、青年はブツブツ呟くと、なんと指を穴に突っ込んで来た。これには本気の悲鳴を上げた。
「ひっ!や、止めろっ」
バッと立ち上がり振りむくとそこには呆然とした青年がいた。
「本当に穴があった……」
新種の生き物に遭遇したような青年の態度に怒りがしぼんでいく。
「ちょっと?」
「あ、ああ。すまない。君のいう事は本当だったんだな」
「そうだよ。でも手を入れるのは止めろよな。ばっちいだろ」
昨夜風呂に入った後から今までまだ出していないけど、不衛生なことに代わりはない。
青年は突っ込んだ指をジーっと見た後、再び口を開いた。
「この目で見て触って、確かに確認した。君が異世界から来たことを信じます。それに先ほども言いましたが、君のことは責任をもって世話をさせてもらうので安心してください」
「あ、ありがとう。でも、自立するまでいさせてもらえれば十分だから。……それより俺も確認したいんだけど。いい?」
「あっ、はい」
尻を突き出すようなさっきのポーズはすごく抵抗があるっぽかったから、止めてやる。確かにこの恰好は嫌だよな。
足を開いて立ってもらった。
俺はしゃがみ込んで彼の下半身近くに顔を寄せる。
うー、これだけ近づいてもプリけつしか見えない。
「ごめんっ」
「!」
思いきって尻の狭間に手を突っ込む。するとそこはつるんとして何もなかった。
玉の裏から尾てい骨まで、つるりとした感触が続くばかり。
「……ふッ……」
信じられなくて何度も往復していたが、青年の息を殺した声に気付いて慌てて止めた。
何もないとはいえ敏感な場所だ。撫でまわすなんて痴漢行為に近い。
「ご、ごめん!」
「い、いや……」
気まずげに目を反らしているが怒ってはいないようだ。よかった。
そして俺は自分の現状を突き付けられ呆然としていた。
本当だったんだ。いや、魔法も見たし分かってたけど今改めて実感した。ここって本当に異世界なんだ……。
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