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冒険者のおじさんたちに色んな意味で助けられました 2

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「おいっ」



返事をしないおれにしびれを切らしたのか、おじさんにぐいっと肩を引かれた。

その刺激だけでまた肌がびりびり泡立つ。



「ひッ」



そのまま顔を無理やり上向かされ、目を覗き込まれる。

不安や居たたまれなさに涙があふれそうになってる俺は、たぶんひどい顔をしているんだろう。



「…こんなに早く…?まずいな。おーい!レイシス、こっちに来てくれッ」

「?」



俺の様子は明らかに怪しいはずなのに、意外にもひげおじさんは顔を顰めはしなかった。

不思議に思っていると、呼びかけられ戻ってきたメガネ男が近づいてくる。



「どうした?」



「まずい、もう発情がはじまったらしい」



「! まさか。まだ救出してから1時間も経っていないぞ。

取り込まれてからすでに半日経過でもしていたら話は別だが、花が寸前まで鳴いていたことを思えば、少なくともあと6~7時間は余裕で時間があるはずだ」



「そりゃ俺も知ってるさ!でも現に始まっちまってるんだ、今ここで御託並べたって仕方ねえだろ。

どうすりゃいいか…。

こうなったら野外ってのは趣味じゃないが、…ここで処理しちまうか?」



「…!! 

そ、それはあまりに酷だろう。年若い女性が、はっ、初めての経験をこんなところで迎えるなど…ぐほっ!」



「そこで鼻血吹くなっての。

こじらせ中年はこれだから使えねえんだよな。まあ、確かに落ち着かねえ環境じゃ処理しきれねえかもしれねーしな。

嬢ちゃん、ちょっと辛いかもしれねえけど、街まではあと20分もすりゃつく。それまで頑張れるか?」



「は…、え…??」



さっきから熱に浮かされている上、二人が何を話している内容の意味が分からず、曖昧な相槌しか打てない。

その様子を見て、メガネさんが咳ばらいをした後、真剣な面持ちでこちらへ語り掛けた。



「時間がないから簡潔に説明する。

君が先ほど取り込まれたモンスターは『フラワーモンスター』と呼ばれるこの地域に生息するE級魔物だ。

ランクが低いだけあって攻撃力はほぼない。」



「おい、レイシス。今更そんな当たり前のことなんで…」



「少し黙っててくれ。

奴らは動物を口のような部位から飲み込むが、することは獲物の体液を摂取するだけだ。そうして腹を満たせば獲物はそのまま解放する。

ただE級にしては厄介な魔物と言われているのは、奴らが欲する体液は獲物の愛液だということだ。どの動物でもそこには魔力が多く含まれているからな。

だからその餌を得るために、奴らは獲物を強制的に発情させる。

奴らの口内には獲物を含んだ瞬間から、媚薬作用のある粘液が分泌されるのだ。

その媚薬に需要があってな。厄介なシロモノだが、好き者には案外需要が高い。

私たちの今回の任務もその媚薬の採取だ。

ちなみに解毒薬はない。解薬する方法は3回気をやること。そうして熱を発散するしか方法はない」



媚薬!?

ファンタジー世界とはいえ、そんなものが自然に存在するの?



でもこれでやっと納得した。

俺が急に変態になったわけじゃなかったんだ…よかった…。



「ガロス、彼女はどうもあのモンスターについて知らないようなんだ」



「ええ?んな事あり得るのか?

よっぽどの箱入りか、辺境の町から攫われてきたのか…って今は詳しく詮索している余裕はないな。

揺れるけどしばらくの辛抱だ!カリー、全速力で頼むぜ!」



「クエエッ」



◆◆◆



それからのことは壮絶すぎて話したくない…。



後半は声を殺す余裕なんて皆無になり、時々ひげおじさんががん見してきたとか。

街に入るときの門番のおじさんたちが、カリーから降ろそうと体を触るたびに悲鳴を上げる俺のことをめちゃくちゃ見てたとか。

マントの中がもういろんなものでぐちゃぐちゃになってるとか。



うぅ、唯一の救いが熱に浮かされて意識が朦朧としていることか…。



とにかく俺たちは無事に街に降り立った。



カリーたちは街の中までは入れないらしく、門に入ってすぐの騎獣小屋に預ける。

そのため門からはひげ男に抱っこをされていたが、もう恥ずかしがる余裕さえなくなっていた。



そうして駆け込んだのは石造りの大きな建物だ。



薄暗い室内にはガロスさんたちのように剣を下げた強そうなおじさんたちがわんさかいる。奥にはカウンターのようなものが見えるけど…、何かのお店?

するとカウンターにいた、いかつい姿の『おねえさん』がこちらに声を掛けてきた。



「あらガロスにレイシスさん!確か今回は薬物採取の依頼だったわよね。じゃあ、その子はまさか…」



「ああ、そのまさかだ。悪いけど上の部屋開いてねえか」



「ちょうど一番奥に空き部屋があるわ。

その様子なら聞く必要ないとは思うけど、後処理はどうするつもり?ギルドでも可能よ」



「まっさか!ちゃーんと俺が面倒みるさ。えっへっへ」



「まあ、そうよね。…いーい?分かってると思うけど、規約はきっちり守ってもらうわよ!

お嬢ちゃん、あとで聞き取りもするけどもし酷いことされたら絶対に私に伝えるのよ?」



「は、…はい…」



目の周りに縁どられた黒いライナーがド迫力な『おねえさん』の圧力に、つい釣られて返事をする。

規約…って??



「安心しな、あとでちゃんと説明してやるから。じゃあ、さっそく部屋借りるぞ。レイシスも来い。

おら、おめえら散れッ!見せもんじゃねえぞ」

「ッ!ああん!」



ひげ男がどかどか階段を上るものだからそれが刺激になって体が震える。うぅ、穴が合ったら入りたい…。



◆◆◆



ギィ。



連れてこられた部屋はセミダブルのベッドに、テーブルと椅子があるだけの質素な作りだった。

そのベッドに横たえられ、ようやく少しだけ一息つく。



「よく頑張ったな~!偉いぞ!」



そう言ってほっぺを撫ぜてくる。この人ボディタッチ多すぎない?

普段なら別にいいんだけど今は勘弁してほしい。



「…それでは後は任せた。私は依頼成功の報告と換金を済ませたら、先に宿に戻る」



「レイシスだって『保護者』の1人だろ?混ざってもいいんだぜ~?」



「!!」



? なぜか、メガネさんにめちゃくちゃ真顔で睨まれてるんだけど…。



「い、い、いらん!そういう事はお前に任せる!

ただし!規約の説明、順守は絶対に破るなよ!…もし破ったらその時は…」



「仲間相手に本気で殺意向けるの止めろっつーの!受付の姉ちゃんといい、くどいんだよ!

俺が約束を破るような男に見えるっていうのか?」



「日頃の行いの結果だ。では、もう行く」



メガネさんが部屋を出ていくのを気付いた俺は意を決してそのズボンの裾を掴んだ。

言え、言うんだ。

昔の人も言ったろう。一時の恥なんかよりもっと大事にしなきゃいけないものがあるって。



「…あ、あの…」



「!」



「俺…謝らないと、いけないことが…」



「ゴクリ…な、なんだ…?」



「せ、せっかく親切で貸してくれたのにッ、あなたのコート…汚してしまいましたッ。

か、必ず弁償しますッ…すみません…」



「!!!!」



俺が一息に言うと、それを聞いたメガネさんは白い顔を一気に真っ赤にさせた。

え、やっぱり、ものすごく怒らせちゃった…?



でも真相は横から抱き着いてきたガロスさんにより、うやむやになってしまった。



「かっわいい~~~~!!!弁償なんてそんなの気にする必要全然ねえって!むしろ、あのむっつり男は喜んでるから!」



「うるさい!…ゴホン、君が気にする必要は何もない。

魔物に襲われた一般人を保護・ケアするのは冒険者の義務でもある。

今は自分の体のことだけ考えるんだ」



それだけ言うと、驚きの素早さでドアから消えていった。



そうして、ひげ男ことガロスさんと部屋に二人きりになる。



「ゴクリ…」



「はあはあ…えっ…?」



「いや、ほんとはすぐにでもおっぱじめたいところだが、嬢ちゃんは『モンスターフラワー』について詳しくないんだよな。

面倒だけど、改めて説明するな。

奴に食われたら、みんな発情状態になるんだ。

その状態から脱するには3回いって発散すればいいだけだ。後遺症もない。

ただしここから重要なんだが、自分でしてもノーカウントで、人の手によっていった場合に限るんだ」



なんですと?

人の手で?それってつまり…



「そ、俺とえっちしよ♪」

「えええええ!!!」

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