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番外編マリエルの末路⑦

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あの後すぐに馬鹿なメイドを閉じ込め、私は支度をした。

あの女は下級メイドの癖に、化粧道具は悪くなかった。
煌びやかとは言えないが上等な装飾品に、イヤリングなども持っていたのでドレスアップに使うことにした。


白粉がなかったので上級メイドの部屋に忍び込んで懐に忍ばせた。
これぐらい当然だわ。

私は散々な苛めを受けたのだから。

これであいつ等も終わりよ。


「悪くないわね…」

化粧を終えた後、髪型が少し寂しく感じたが、仕方ない。

「やっぱり私にメイドは似合わないわ。貴族こそ私の姿よ」

鏡に向かって微笑みながら私はその場を後にした。

これで私は元の生活に戻れる。
今夜は良い日になるだろうと思って疑わなかった。


パーティー会場に何食わぬ顔で参加しながら、私は目当ての男を探す。


すると女を侍らせた男を見つける。



他の招待客も商人か下級貴族の癖に随分と身なりが良いわね。

やっぱりこのパーティーに参加する貴族は家格こそ高位貴族に劣るけど、財はかなり持っているようにも見えた。


どうせなら財産を持っている男をキープして置いて、後から厳選するのも良いわよね?

だって、侯爵以下は私の相手に相応しくないし。

後に私は女王として君臨するのだから。


「お嬢さん、どうかされましたか?」

「えっ…」


柱の陰でコソコソしていると、背後から声をかけられる。


「おや、あまり見ないお顔ですね」

「はい、父の代理で参りましたの」


焦りながらもその場限りの嘘をつけば目の前の男は疑うことはなかったが、かなりのイケメンだわ。

背がすらりとしていて、とっても綺麗な顔立ち。


「私も本日の参加は初めてなんですが…貴方のような美しい姫君に出会えるとは光栄です」

「お上手ですこと」

解っているじゃない。
この男は、他の招待客の中でも別格だった。


外見、振る舞いも申分ない。


標的とは別に少し遊ぶのもちょうどいい。


「先ほどからラッド子爵を見ていたようですが…」

「ええ、紳士様はご存じですの?」

「彼…というか、ラッドい子爵家は有名ですよ。資産家としても…まだ爵位は子爵ですが、その内伯爵位を賜るのも時間の問題でしょう」


子爵が伯爵位を賜る?
余程優秀でなければ難しいはずなのに、やっぱりやり手なのね。

「ただ、気の毒なのはお世継ぎがいない事でしょうね?故に、多くの愛人をお持ちです。ですが、奥方様が少し気の毒に見えますが」

「ですが、お世継ぎの事を考えれば致し方ないと存じますわ」

「お嬢さんはお若いのにしっかりされていますね。普通ならば愛人を差別すると言うのに」

「貴族ならば当然ですわ」

そう、子供産めなく、夫の心を繋ぎ留められないならば意味がない。


私ならそんなヘマはしないわ。

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