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44.静かにひっそり活躍

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俺が孤児院の院長になる件は一部の者に難色を示すことになったのだが、そこはパパ上の手腕で丸く収まった。


そして一言。


「存分にやりなさい!」

「公爵!」

勿論他の官僚が頭を抱え止めに入ろうとするも既に手続きは終わらせていたので今更却下できないでいた。


「良いではないか、女王は国母で王配は国父なのだからな!子を守って何が悪いのじゃ」

「しかしですね…貴族派が何を言うか」

「どうせ子供の浅知恵とでも言って反対せんわ。むしろ失敗に終われば失脚させられるとでも言うだろうのぉ?」

「もう少しオブラートに包んでください」


官僚達は冷や汗を流しながら俺に申し訳なさそうに見た。

別に気にしてないけどね。

「ルイスよ、途中で投げ出す出ないぞ?馬鹿共に一泡吹かせてやるのじゃ!」

「はい、義母上」

「うむ、それでこそ私の息子よ」

公の場ではママ上ではなく義母上と呼ぶことにしている。
使い分けは必要だし、敵に隙を作らない為だったけど。


あまり意味ない気がした。


「もう一つの案件は良いのか?」

「はい、要となる教会に小さな教会の庇護を頼みます」



国からの援助が多すぎる教会の件に関しては俺が先に策を講じた。


まず、甘い汁を吸っている司祭達には教会の運営を褒めちぎり尚且つ指導者としても素晴らしいと褒めた後に、潰れかけの教会を救済してもらえるように頼み込む。

聖職者たる者より厳しい場所にて修行する方が良いだろうと告げる。
勿論渋るだろうが、それを見越して話を進める。

高齢である自分には無理だと言えば、年齢を理由にするならば引退をほのめかす様に宰相閣下に頼んだ。

他にも補佐をつける事を言えば当然焦るだろう。
補佐をつけて色々探られたら困るだろうと踏んだんだが、既に調べはついている。

司祭は教会に女性を連れ込んでいるらしい。
しかも複数にも及ぶ数だったようで、すべてを知った前女王陛下は大激怒して司祭を追放した。

後ろ盾の貴族は素知らぬ振りを決め込んだが、疑いは持たれている。

俺も女性を連れ込んでいるとは思わなかったから驚いたけど。


「ルイス、そなたは宰相の資質があるのではないか?姉上が嘆いていたぞ」

「え?」

「今までこれ程の才を持つ者を無駄にしていたとな」


ほめ過ぎだと思うんだけどな。
宰相閣下が協力してくれたから上手く行っただけだし。


「それにしても良いのか?そなたの功績でもあるのに宰相の手柄にして」

「あまり目立つのはよろしくありません。目をつけられます」

俺はあくまで目立たず、オマケのような扱いの方が良いかもしれない。
万一の時の為にも、警戒されないように振舞った方が余計な火種にならない気がする。


だからこれでいいんだ。


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