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閑話5.崩壊の危機

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それはいきなり訪れた。
十年前にも雨が続かない季節に不作が続き、奪い殺すの繰り返しがされた事があった。


原因は大飢饉と流行り病によるものだった。
今から五十年前に起きた大飢饉の影響で多くの領地が荒れてしまった。

最悪な事に、原因不明の病に多くの人が苦しんだ。
宮廷医師や宮廷魔導士がどれだけ力を尽くしても病名が解ることはなかった。

不治の病で原因が解らないので対策のしようがなく、長年苦しめられ。
この病気はなぜ起こるか解らずじまいだったが、その病が再び現れ多くの人を苦しめる事となった。


その発症場所は海岸沿いの領地、東北地方の領地に集中していた。



一番被害が酷かったのは海が一番近いストラス領地だった。
謎の病は人から人に伝染する病であるが、その病は人だけでなく動物や虫などにも伝染する。

最近は害虫から伝染する事も多く。
以前は害虫を駆除していた薬草園は、見る影もなく害虫に薬草農園を荒らされ放題だった。

薬草を食い荒らした害虫は数を増やし、果物園までも食い荒らして数を増やすだけでなく巨大化してしまっており手が出せない状態だった。



害虫の影響は領民の暮らしを脅かしているものの、マリエルやキャルドンは何の対策も取ることもなく、放置している状態だった。


「このままでは領地は害虫の餌食になってしまいます」

「どうかお助けを!」

領民の代表達はマリエル達に救いを求めて来たが、邸の門は固く閉じられていた。

「どうか…我らをお助けください」

「クソっ、門を閉じたまま出てこようとしないぞ」

「俺達はこのまま見殺しにされるのか?日に日に重税は酷くなる一方で、納税ができなければ畑を燃やされ、暴力を振るわれる始末だ…自分達は未だに贅沢な暮らしをして!」


現在ストラス領地は二つに割れてしまっていた。
先代でもあるマリエルの祖父が治める領地とマリエルが治める領地は別となっていた。

婚約騒動でマリエルと縁を切った事で、ほぞ追放に近い状態に追いやったのだが。


その数か月後に、マリエルが無理矢理奪った領地に震災が起きたり、害虫が増え作物が荒らされたり魔物が暴走したりと立て続けに問題が起きていた。

他にも、マリエルの道楽で立てた別邸の所為で、土砂崩れ対策の壁を壊してしまった事で大雨と洪水で村が水になされる事件が続き、ストラス領地の数少ない稼ぎ頭だった村も無くなってしまったのだ。

いよいよストラス領地はお金も食料も底をつきはじめていたのだった。



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