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34.畑づくり
しおりを挟むモリアーヌ公爵家にてトマトブームが起きてしまい。
その所為でモリアーヌ領地南部で領地開拓ならぬ畑開拓が行われた。
元より南部の領地は使われていない畑が多かったし、土の状態も悪くないの畑を耕すには十分だったとか。
公爵家専属の庭師であるコザァート爺ちゃんと料理長のトッポの協力で、農家の皆さんに協力を得ることになった。
彼等は元は百姓貴族だったことから、畑に関しては右に出る者はおらず。
その代表となるのがメイシス伯爵家の皆さんだった。
百姓貴族の皆さんはとにかく気さくで温和で心優しく、俺にも親切だった。
「ルイス様、トマトの畑の広さはこちらでよろしゅうございますか?」
「ビニールはこちらで大丈夫でしょうか?」
メイシス伯爵は高齢でありながらも未だに現役ばりばりで領地の畑を耕し、腕は文句のつけようもない。
十年以上薬草農園で働いていた俺なんかとは比べ物にならない程の手際の良さだ。
「しかしビニールの家に野菜を作るとは…なんと斬新な」
「温室で育てるんですよ」
俺にあるのは前世の知識が少しある程度だ。
彼は俺の突拍子もない言葉にも耳を傾け、当初ジャガイモを育てる事にも文句を言わなかった。
まぁ、その理由はママ上が既に手を打っていたのだ。
俺が作ったフライドポテトにポテトチップスをこっそりつまみ食いした事で気に入り、お茶の時間にはポテチがテーブルに並んだ。
領地内の特産物エールにも合うのでママ上は領地内の貴族に自慢したらしい。
それでジャガイモの研究が行われたとか。
確かにじゃがいもは毒があるけど、毒のある部分を取り除けば問題ない。
何より公爵夫人が食べて見せているのに疑いを持つ者はいなかった。
なんて恐ろしい方だ。
「それにしても、三日前に種を蒔いたのに育つのが早すぎな気が…」
「流石緑の手の持ち主といえど…流石豊穣の女神のお使いじゃ」
「これ!皆の者!頭が高いぞ!頭を下げぬか!」
ママ上の行動も恐ろしいのだけどね。
最近思うことがある。
何で俺はこうも持ち上げられてんの?
「「「ハハァー!!」」」
俺は農民に年貢を収めさせる領主か!
皆様揃って頭を下げられ土下座されるって何?
「我が領地は食べるのも精一杯の貧乏領地。ルイス様の口添えで領地拡大をしていただけました」
「我が領地は不作が続き、このままでは領民が飢え死にする所をお救い下さり誠に感謝しております」
「ああ、我らの救世主様!」
いや、領地拡大が叶ったのはママ上のおかげだし。
野菜の不作は天災が続き、あげくの果てに野菜の葉を食い荒らす害虫が原因だったからだし。
俺はたいしたことはしていない。
薬草を育てていいた頃も害虫に悩まされたので、害虫除けの薬草を作って害虫を駆除していた。
薬草を霧にして一日に二回撒けば害虫の被害は格段に減ったが、評価されるような事はしていないのだが、王都ではとんでもない噂が流れているとは知る由もない。
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