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29.親を求め
しおりを挟む聞きなれた雛の鳴き声はフレスベルグこと、モモちゃんだった。
名前はお尻が桃のように可愛いからモモちゃんと命名することになったが.のだが。
「ちょっとモモちゃん?なんでいるの」
「ピー!ピピー!!」
「ん?」
いきなり影ができたと思い上を見上げると。
「ギャウ…」
「あ、どうも」
巨大な鳥さんが現れる。
首に袋を巻き付けており、モモちゃんを運んでくれていたのだろう。
「あの、モモちゃんを連れて来てくれたんでしょうか?」
「ギャウ!」
「ありがとうございます。お礼をしたいのですが…手持ちがあまりなく」
というか魔鳥ですよね?
何を食べるのかさっぱりわからない。
「ん?」
「ギャウ…ギャッ!」
テーブルに置かれているお菓子をジーッと見つめる。
「これが欲しいですか?」
「ギャウー…」
見た目は恐ろしい顔つきなのに、テーブルのお菓子。
俺が作ったパイを見つめて訴える。
これは飼い犬が餌を強請る時に頭を地面につける仕草!
「どっ…どうぞ」
「ギャウ!」
パイを差し出すと勢いよく食べる。
喉も乾くだろうから傍に牛乳を用意しておくとそれもぐびぐび飲んでいる。
喉が渇いていたんだろうな。
「ギャウ!」
「もういいんですか?」
「ギャウ!」
返事をした大きな鳥さんはそのまま大空に飛び立ってしまった。
「見た目はいかつい顔をしているけど親切だな」
「ピー!」
「でも、一人で外に出ちゃダメだぞ?外は危険が沢山なんだから」
モモちゃんを抱き上げ、急いで籠を用意した。
下に氷を強いて休ませる。
「寒い国の鳥だから、暑いのは苦手だよね」
「ピ?」
「日射病になったらダメだから、ここで大人しくしていてね」
俺の言葉が通じたのかどうかは解らないけど、通じていたらいいなぁと思う。
「この世界には知らない生き物が多いな…もしかしたら可愛い鳥さんもいたりして」
領地にも沢山の生き物がいて、中には魔獣に作物を育てる手伝いをして貰っていた。
もしかして作物が荒れた原因は人の手だけで育てるのがダメだってことかな?
「ピー?」
「んー…調べた方がいいかもしれない」
折角領地に連れて来てもらっているんだし、散策させてもらえないか聞いてみよう。
俺にも何かできることがあるかもしれないと思い早速準備をすることにした。
不謹慎だけど少しワクワクした。
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