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22.公爵家
しおりを挟む生誕祭が終わった後に俺は早々に公爵家の養子に迎えられた。
俺が王配として迎える為には準備があるので王宮でも大忙しで、その間は休む間もなく働きまわる人が多かった。
俺はというと、花婿修行でもあるのかと思えば。
「あの…公爵夫人」
「母に向かってそれはないであろう?」
「もっ…申し訳ありません!」
サジータ様に注意をされ俺は頭を下げるもその隣にいらっしゃるある方に肩を叩かれる。
「サジータ、そんな言い方をするものじゃない。申し訳ないねルイス殿。妻は少々物言いがキツくて」
「いいえ…そのような」
俺に優しく接してくださるのはモリアーヌ公爵様。
第一騎士団長を務められ、モリアーヌ公爵家当主でもあるお方だった。
「しかし私達には息子いなくてね…君が養子に入ってくれて助かった」
なんとも言えない気分だ。
モリアーヌ公爵と言えば、王族派の貴族の中でも名門中の名門だ。
我が家は伯爵家なので、恐れ多い。
「次期女王陛下の夫が侯爵以下の家に養子に入るなど論外。妥当と言えるでしょう」
「また、そんな言い方を」
「そなたを傷物という者はいなくなるでしょう。既に私が手を打ってあります…あの馬鹿女とは婚約解消という事にしていますので問題ありません…まぁ、王都で噂など流せばギロチンか火炙りは免れぬがな」
怖い!
ものすごく恐ろしい目で嘲笑う表情は女王陛下にそっくりだ。
基本、陛下お優しいが悪人や法を破った罪人に関しては虫けらを見る様な視線を送っていた。
「王家に泥を塗るなど論外…姉上は結婚当初、身分の低い義兄上を馬鹿にされ、どれだけ苦しんだ事か。今でも馬鹿共は言っておる…義兄は間違いだとな」
「愚かにも程がある。あの方がどれだけ国の為に尽くしたか」
未だにシュヴァン殿下の評価賛否両論だった。
評価する物は多いがそうでない者も確かにいるのだけど。
その大半が反外国派。
他国との同盟を反対する者達だった。
特に貴族派だ。
「神の代行人である王の伴侶を粗末に扱うなど許されぬ。未だに女が王となることを問題視する者が多いとは嘆かわしい事」
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女王陛下が就任さなった時も苦労が多く、クーデターも多かったと聞くから苦労は半端なかっただろうな。
「そなたの道も険しい物だと言うことを覚えて行くように…王宮は魔の巣窟だ」
「えっ…」
「そなたを利用しようとする者は多いだろう。特に、そなたをこれまで踏みつけにした貴族達は手のひらを返してくるであろう…十分にお気をつけなされ」
「はい…」
脅しではないだろう。
俺が王室に入る事を面白くないかもしれない。
きっと俺を認めない人間は少なくないのかもしれないと不安を抱く中、公爵様はただ俺を見て笑っているだけだった。
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