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77明日への希望

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あの三人は牢屋に入れられたのちも、反省の色は見られずに裁判が行われたそうだ。
言うまでもなく裁判ではお互いに足を引っ張りあったのは言うまでもない。


グレイスさんがシンパシー家に向かいミレイを救出した時のことは間接的に聞いたけど、できる限り彼らを不利な状況に追い込むための策略をジャンが行ったそうだ。



本来ならば時間もお金もかかる裁判をする必要はなかったはず。
なのに裁判をしたのには理由があった。


「昨今、虐待の被害にあう女性は泣き寝入り状態です。法律を変えるにも認識の甘さを知らしめなくてはなりません」

「はい」

「ジャンさんは、そのことを誰よりも理解されていました。あの方も母君が虐待に合っていたそうです」


「まぁ…」


知らなかったわ。
でも、今回の依頼を率先して引き受けてくださったのはそういうことだったのかしら。


「ジャンさんの母君はその所為で早死にしたそうで」

「納得ができない世の中ですね」


「男尊女卑はまだまだ続きます。女性には厳しすぎる世ですわ」



法律も男性に有利にできている。
不義を働く場合も男性側は許され、女性側は許されない。


こんな無情な世の中を早く変えなくては。


「ですから私、今後は教会で虐待を受けた女性を保護しようと思っております」

「それでは…」

「はい、三年以内に教職は退職し、弁護士の資格を取るつもりです」


なんてアグレッシブな方。
まだまだ勉強して世の中を変えるために働くというのね。


「周りは私を罵倒するでしょう。この歳ですから」


「いいえ、尊敬したします」


相当な覚悟が必要になるのに、グレイスさんはすごいわ。


「本当は、まだ少し怖いのです…ですが止まっていられません」


「そうですわ。私も教育を変えたいと思っています」


まだまだ女性に学ぶ場が少ない。
だからこそ、私達は立ち上がらないといけないのかもしれない。


「グレイスさん、私はあの時貴女に会えたから踏み出せました」

「いいえ、それは貴女の持っている強さです。他人がなんて言おうとも最終決定を下すのは自分自身です」


確かにそうかもしれない。
でも踏み出すまでに誰かに背中を押してもらわないといけないときがある。


「もっと早くお会いしたかった」


「私もです。ですが、この縁に感謝します」



互いに握手をして私達は新たな未来を語り合った。



道は険しくてもきっと昨日よりも今日、今日よりも明日と道が繋がるはずだから。


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