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床に散らばる書類。
もう文字が見えなかった。


「貴方が待っているのはこれから償いの日々と、家無し、仕事なし収入無しの中、世間の冷たい風にさらされる日々です」


もう声も出せなかった。
僕がどんなに声を上げても縋ろうとしても極悪非道な弁護士は嘲笑い僕を助けてくれない。

弁護士どころか死刑執行人のようだ。


「待って、ミレイは…」

そんな僕に気にも留めずに姉さんは義兄に縋った。

「ミレイは僕が引き取るよ」

「そんな!母親を奪うの!」

「母親として何もしていないだろ?」

「ミレイは私の子よ!ミレイが哀れだと思わないの」

この期に及んでまだいうのか。
ミレイの為と言いながらも、自分の為であるのがまるわかりだ。


「だったらミレイに決めてもらえばいいのでは?」

「母さん!」

「ミレイが貴女を望んでいるなら離縁も考えるべきでしょ?」

正気か!
さっきまで離縁だと騒いでいた癖に!


背後で笑っている父さんと母さんだったが…

「当然だわ。さぁミレイ…」

「やぁ!」

「ミレイ?どうして…」

「やぁぁぁぁ!」


そう簡単に上手く行くはずもなく、ミレイは姉さんを拒絶し小さな手で拒絶した。
それでも無理やり抱こうとする。


「乱暴な真似は!」

「ミレイ!ママよ!」

「やぁぁぁ!」

じたばた暴れて足で姉さんを蹴り飛ばした。
力は大したことはないが精いっぱいの抵抗で悲鳴のような泣き声だ。


明らかな拒絶だ。

「ちょっと!いい加減にしなさい!」


姉さんが癇癪を起しミレイに手を上げようとするも。


「いい加減にするのは貴方よ!」


「きゃああ!」


あの女がミレイを奪いあろうことか姉さんの頭を掴み地面にたたきつける。


「あがっ…がが」

「私は教育者。子供に手を上げるなど論外。今すぐ殺してやりたいけど…罪を償ってもらわないと」


「サンディ・シンパシー。貴方の罪は軽くありません。再び実の娘を殺そうとしたのですから。平手ではなく拳で殴ろうとしたでしょう?」

「これは…」


「腐った女が!貴様のような屑には臭い飯がお似合いだ!裁判ではもっとも重い罪になるようにしてくれる!この黒い弁護士ジャンは甘くない!」


「ライアス!助けてよ…夫でしょ!」

「君と僕はもう無関係だ。ミレイは僕の手で大事に育てるよ…君の大嫌いな貧乏だけどね」


「いやぁぁぁ!」


姉さんの悲鳴が木霊する中、準備していたかのように三台のみすぼらしい馬車が到着した。






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