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無表情の弁護士は僕にもう一通書類を見せた。


「何だこれは」

「先日酒場で暴れた時に壊した調度品です。マダムスコットから支払うようにと。後こっちらはリサさんのご実家の商会にて迷惑行為並びに脅迫まがいな真似をしただけでなく営業妨害をした損害賠償金です」


「そんな!」


リサへの慰謝料だけでは飽き足らず、これ以上僕から金を奪うのか!

なんて酷いんだ!


「その賠償金はロンドが一人で払うべきだわ」

「姉さん?」

「だってそうでしょ?アンタが単独で行ったのでしょう?」

「けど!」

「アンタ、さっき言ったわね?私達と縁を切るって…それなら私達は関係ないわね!」



自分の事は棚に上げて、今度は僕を糾弾し始めるなんて!


「私は仕事もあるもの…だからなんとかなるわ。ライアス、もし離縁するなら慰謝料を払うのは私じゃないはずでしょ?だって貴方にも非があるし…もっと腕の良い弁護士を上司に頼めば」


「残念だけど、貴女は今日から無職よ」

「は?」


姉さんが無職ってどういうことだ?


「貴女の出勤態度の悪さが問題になっているわ。貴女、子供ができずに苦しんでいる同僚に精神的に追い詰めようかことを言ってお邸を辞めさせたんですってね?」

「何を…」

「独身の殿方にセクハラまがいな事をしたり、仕事に一生捧げた女性にも侮辱したそうで、お邸の旦那様は相当お怒りで解雇する予定だったそうよ」

「嘘よ!」

「そうそう、同僚の方から貴女を訴える手紙を預かってきましたの。一応まだ籍が入っているから代わりに謝罪しておいたけど。今後は貴女が対応してくださる?」

「私が解雇ですって…この私が」


姉さんはそのまま膝をつきながら現実逃避をした。


「じゃあこれからどうなるの!」

「お前…」


「だって!ロンドは無職なのに!ダンディまで無職なんて‥‥ただの金食い虫じゃない!これからどうするのよ!」


「金食い虫ですって…」


姉さんが顔を上げ母さんを睨みつけたヒステリックに叫んだ。



「自分では何もしない出来損ないの癖に!金食い虫はアンタじゃない!」


「なんてことを言うの!うわぁぁん」

「うざいから泣かないでよ!泣いてなんでも上手くいくなら私も泣きたいわよ。でも意味ないのよ…泣く前になんなんとしなさいよ!」


「サンディ!お前も止めろ」


「一家の主ならなんとかしてよ父さん!」


そうしたらいいんだ。
何とか逃れる方法はないのかと考えるのに必死だったがそんな僕を義兄は冷めた目で見ていた。
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