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⑪
しおりを挟む探偵を使ってサンディさんの周りを調べさせれば出てくること。
悪い噂が沢山だった。
けれど所詮は噂。
私は真実以外はどうでもよかったけど、噂は真実だった。
シンパシー家は歪んでいた。
おとなしい嫁を召使以下の扱いをさせて少し気に入らなければ大勢で攻撃。
同居の場合、姑や舅に嫁が口答えができるはずもない。
その時に一番の理解者であるのが夫なのに、夫が一緒になって妻を虐待するなんて!
「ありえない…ありえないわ」
私の時は夫が最後まで味方になってくれた。
でもリサさんは?
同居の中で無縁孤立の状態で耐えるだけの日々。
洗脳に近い状態で耐えるなんてあまりにもひどすぎるわ。
「早急にサンディーさんの勤め先に連絡してもらいましょう」
勤め先には育児休暇を使っているでしょうし。
上司に上手いことをいって楽な仕事しかしていないはずだわ。
私が見る限り出勤態度が悪いのは明白だわ。
サンディさんが休んでいる穴を埋めている同僚の方にも申し訳ない。
というかなぜ彼女は採用されたのか不思議ではない。
やることは山のようにあるけど、まず一番最初に行うのは。
「グレイス、最優先は」
「ええ、今すぐ息子の勤め先に殴り込みに行くわ」
こうなった原因なのは息子の奉公先の旦那様の所為だわ。
自分の身内の不始末を息子に押し付け、領地に長期間拘束させた。
「弁護士の話によれば既に労働基準法違反をしているわね?」
「ええ、今すぐに息子が戻れるように手配していただかなくては」
もちろん最速で帰れるように手配し、交通費は全額支給の後に長期休暇を取れるように訴えなくては。
世間体を気にされる方のようだし、仕事のせいで離縁になったと言えば文句は言えないわ。
だけどこれだけじゃ不十分だわ。
「大丈夫よ?私の友人に花街で店を営んでいるのだけど‥‥殿方の弱みをつかむなんて簡単よ?」
「脅迫してやればいいのよ…貴族の旦那様の弱みなんて大体どこでも同じだものね?」
こういう時に友人とは本当に心強いものだわ。
こうして私達は息子に勤め先に脅迫して無理やりにでもすぐに戻れるように手配し尚且つこの度の無理な労働に対して訴えると脅した。
「待ってくれ…そんな真似を」
世間体を気にする旦那様。
通常貴族様にこのような真似をしたら首を切られるけど、脅しにできるネタをよういすれば問題ないわ。
わりと小心者だから。
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