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⑩
しおりを挟むなんとも不思議なご縁だわ。
グレース様と私が繋がりがあったなんて。
「調べさせたが、結婚して早い段階でグレース様は距離を置いていた…だが、当初は別居はしてなかった」
「では別居されたのは…」
「旦那が長期任務によりやりたい放題をしたせいだろう。まぁ、片方が悪いとは言わないが」
二人はまるで正反対の考えを持つ方だ。
でも同じく外で働く女性として共通する部分があると思うのだけど。
「ある程度の学校を出てある程度の教養を持っているだろうが、彼女は優秀とは言い難い。仕事先もコネだ」
「はい?」
サンディ様は優秀だと耳がタコになるほど聞かされていた。
でも実際は違うというの?
「まぁ、私から言わせればある程度の学校を出ていてあの程度は普通だ。それにここ数年、職場ではよい噂を聞いていない。子を産んだから偉いと思っている」
「はぁー…」
実力で就職したと思っていた。
なのにコネを使ったという新事実に、就業態度はかなり悪く同僚からも嫌われていたそうだ。
ミレイを産んでからの就業態度はさらに悪く、一時は同じように子供を出産し同僚の非難をしていたとか。
「子供の体調とは解らないものだ…自分はリサに娘を丸投げしていた癖にどの口が言うのか」
私も気分のいいものではない。
育児を手助けしてくれる人はいいけどそいではない人はどんな思いだったか。
「その所為で同僚の数名は退職願を出したとか…まぁ出させたと言った方がいい」
「酷い…」
「調書を見ると、止めさせた同僚は大変優秀だったそうだ。もっともな理由をつけてライバルを蹴落としたかったんだろう」
「はぁー…」
同情の余地がない。
サンディ様も苦労をされていたはず。
手が足りなくてあの方はやむを得なかったと思ったけど怒りを感じる。
「いいんだよ。君は怒って当然だ。だがその怒りを向ける前にミレイを先に救出しなくては」
「はい・・」
一番の被害者であるミレイを一日でも早く保護しなくては。
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