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とても刺激的な一日だったが、滞りなく終わって安堵した。


「疲れたな」

「はい、少し」


首都にいる間は別邸の部屋を好きに使っていいと言われたが、広すぎて困ってしまう。
質素なつくりであるが美術館に来たような気分になるほど、素晴らしい宮殿だった。


「この別邸は過去に敵を監視するために作られたんだ」

「それは…」

「だから床が抜けたり、地下には大砲、戦車、数多の武器もある。船も出せるぞ」


なんて物騒な別邸なの。
普通王族や皇族の別邸と言ったら…いや、でも先帝陛下ですものね。



「顔合わせも落ち着いた所でミレイの事だが」

「はい…」

あの状況下で調べてくださったのかしら?


「少々厄介なことになっている」

「え?」

「シンパシー家でミレイは虐待されている情報が入った」

「そんな!」

「暴力というわけではないが…ギリギリの範囲だ」



ギリギリという言葉に冷や汗が流れる。
それはあと一歩で虐待に入るラインだということだわ。


「君の母君が頻繁に役人に見に行くように依頼しているそうだ…役人も育児が大変ならベビーシッターをすすめたりしたそうだが」

「お金を出し渋っているんですね」

「ああ、短期のベビーシッターを雇っているが、賃金が安すぎるからな」


まともな仕事をしてくれないと言われてぞっとする。
けれど、役人も強くは出れない。


「法律上、その一線を越えて行くのは困難だ。君の言う通り夫を出す方が確実だ」


「はい…」


「彼には私からも手紙を出した。聞けば国の未来を左右する大事な仕事を任され、しばらく家を空けていたそうだからな…私も責任を感じている」


「旦那様、今は…」


最優先するのはミレイの事だわ。


「私の部下に船と馬車を手配させ、すぐに戻るように手紙を出した」

「では…」

「できるだけ早く戻れるはずだ。それからサンディ夫人の義母にも連絡をしている」

「え?」


同居していたという義母の方?


「ただ、彼女は一年も前に絶縁状態だそうだ。同居などしてない」

「同居していない?」


そんなはずはないわ。
里帰りをするたびに義母の悪口を言っていたのに、早い段階で同居を解除していたなんて。


「義母の方は自立心が強く教職をされている方だそうだ。名をグレイスと」


「えっ?」

「サロンで会った素敵なご夫人ですわ!」



まさかそんなつながりがあるなんて思いもしなかった。


じゃあ、あの時悩んでいらしたお嫁さんは…


「なんてことなの」


「通常義姉のお姑さんと顔合わせはしませんものね」

「ええ…」


もっと早く気付くべきだったのに私はなんて馬鹿なの!


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