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⑥
しおりを挟む今すぐ時間を巻き戻してほしい。
無理だと解っているけど、そう思うのは悪いことでしょうか。
「大伯父様、相変わらずですわね。私はサーモンよりもアワビがいいですわ」
「相変わらず辛口じゃな。サーモンは美味いのに」
そういいながらお皿に乗せられた魚をはふはふしながら食べるお嬢様。
これが常だと知らされる。
「お嬢さん、もうよいのか?」
「伯父上の所為で放心しているんです」
「正確には叔父様の所為ですわよ。まぁ普通は先帝陛下がこんなことをしていたらショックを受けますわね」
解ってて教えてくださらなかったんですかお嬢様。
それはそれで意地悪です。
「ご無礼をお許しください!」
「何か無礼を働かれたか?それよりも次はサーモンにするか。そろそろ米が焚けるからの」
「えっ?」
湯気が立ち上り、東洋の鍋だろうか。
蓋をあけると御飯がおいしそうに焚けている。
「ほーっほっほっ!固くなるでない。まぁまずはこのサーモンの皮を食すが良い」
そういいながら器用にもサーモンの皮を身からきれいに外し、ご飯の上に乗せる。
黒い液体をかけたのちに差し出される。
これは食べろということよね。
「伯父上!」
「お前も食べたいのか」
「そうではなくて」
ああ、この血筋はお嬢様と同じ。
というか、先帝陛下とお嬢様が祖父と孫と言われた方が納得してしまう。
「さぁ」
「いっただきます」
でもその前に、差し出されたそれを食さねばならない。
黒い液体に関しては少し不安だけど毒はないはず。
だって私を殺してもメリットがないし。
何より毒を入れるには適していない。
不安を抱きながら差し出されたそれを食べると。
「まぁ、しょっぱいのに後味が甘く。皮はぱりぱりですわ。癖になりそう」
「いける口じゃな。ヨハネスは早々に咽ておたからな」
私はこう見えて好き嫌いのない悪食だ。
好みはあるけど。
好みはいたってシンプルなものが好きだわ。
そういうなれば今目の前に出された食事が私の好みだわ。
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「ほぉ?なかなかの食通だな。ヨハネス、良い妻を娶ったな」
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「グリフォン…」
今聞き間違いかしら?
グリフォンって言ったかしら?
嘘よね?
だって伝説の魔物で極めて凶暴なのよ?
それを仕留めた?
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