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それから一週間後。
風の噂で、ロンドは仕事を解雇になったと聞かされた。


「当然ですわね」

「ああ…」


商人とは信用が第一だわ。
なのに騒ぎを起こしてしまった事で解雇になったのだから。


「問題の彼女はどうなるのかしらね?」

「仕事ができようとも人間性を疑われるだろう」


そうなると彼女も仕事を失いどうなるのかしら。
不在の旦那様はどう思うのか。


離縁になれば出戻りになるのだけど、彼女の良い噂は聞かない。
今まで実家に戻れば楽ができたのは経済的にも余裕があったからでしょう。


でも、お世話をしてくれる人はいない。
金銭的にも厳しいでしょうし、二人は商会を営んでいたけど、経営は上手くいっていないと聞く。


だから経済的に助けて欲しかったのでしょうけど、彼らに味方はいない。
周りの手助けも、お金を貸してくれる商会もない。



「これから待っているのは地獄ですね」

「自業自得だ」


仕事もない、お金もない。
妻も失ったロンドの末路は地獄しかないでしょうが、自分で蒔いた種だわ。


「三度目はないだろうが…」

「見当違いな事をしそうですわ」


商会に出入り禁止を命じられたのなら、外出先を待ち伏せるなんてことが考えられるわ。


ないことを祈るけど。


「とにかくリサにはしばらく会わない方がいいな」


「ええ、万一の事もありますから。念の為に保険をかけておくべきです」


早く二人が再婚してくれれば安全だわ。
いかに非常識でも、伯爵夫人に手を出せばどうなるか解らないのだから。


「お嬢様の手紙によれば近いうちに、再婚の許しを得る為に首都に行くと…」

「再婚は問題ないでしょう。舅となる方が先帝陛下ですもの」

「ああ…」


心配はないわ。
あの方は他の皇族とは異なり特殊な立場にある。

だからこそ身分差別をすることはない。


「今度こそ幸せになって欲しいですわ」

「ああ、信じよう」



伯爵様の人柄は申し分ない。

けれど、彼らがまた何か仕組んでこないか心配だから私達も用心しなくては。


「とりあえず、要注意はしよう」

「はい」


ばあやにも連絡して少し探らせておいた方がいいわ。



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