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62④
しおりを挟む「大切な家族と頑張ってください」
自分でも驚くほど冷たい声だったと思う。
けれど、彼らは自分の娘可愛さに、私達の宝物をズタボロにし過ぎた。
「私の娘は他人になりました。母性がなく子ができない出来損ないは不要でしょう?」
唖然とする二人に私は更に告げる。
「私達の娘は人様に責められるような人間ではありません。ですが安堵しました」
「安堵?」
「ええ、貴方の息子さんと私達の娘の間に子がいなくて」
もし子が出来たらどうなっていたか。
「まさに蟻地獄かしら?」
「なんですって!」
「あの子は死ぬまでこき使われ殺されたでしょう」
責任感が強いあの子は我が子の為にどんな理不尽も受け入れる。
私達に気を使い、心配かけまいと耐えていた。
子供がいたら最悪な結末になるわ。
「今回はいい薬になったでしょう。もしあの子が泣きついて来たのなら裁判をしてそれ相応の罰を受けていただ王都も思ってましたの」
「何…」
「あんまり調子に乗らないでくださる?」
「貴様ぁ!」
私の言葉に耐え切れなくなったのか掴みかかろうとするお。
「ぐああ!」
「手を出すなら主人から容赦するなと命じられています」
ここで私達を脅そうとしたのでしょうけど、護衛騎士を派遣してもらっていたおかげで助かったわ。
「そうそう、我が商会で粗相をして割ったティーカップは弁償していただきますので」
「離婚後に約束も無しに訪問することは禁じられている」
「それから先ほどまでの会話、映像はすべて録音しておりますので」
絶句する二人だけど、こんなのは生ぬるいわ。
私はずっと静観していた。
夫婦間の事を私達が出しゃばれば悪化する。
だから当初は何も言わなかった。
でも、万一の時の為に保険をかけていたのだから。
そして離縁後も、非常識な真似をするはず。
最悪の場合、私達の悪い噂を流し、リサと復縁する為に手段を選ばない。
そんなことになって欲しくない。
けれど甘かった。
一番許せないのはリサの噂をあることないこと言いふらしている事が許せない。
「そんな…ミレイは」
「貴方達の孫でしょう?可愛い孫なのでしょう?」
この期に及んでまだそんなことを言うのか。
「お帰りください」
私は護衛騎士にお願いして二人をつまみ出してもらった。
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