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47⑥
しおりを挟む逃げるように市場を出るも、すれ違う人たちがヒソヒソ話していた。
「見て。あの人よ」
「ああ、妻を虐待したらしいぞ」
「最低ね」
勝手な噂話をする連中にいら立つも、相手をするだめ無駄だと言い聞かせコートを深く被ったのだが。
「ママ、あの人変だよ。顔隠している」
「しっ!見ちゃいけません!」
「はーい」
あんな貧民街の子供にまで馬鹿にされていることが不快だった僕は睨んだ。
「やだ、怖いわ」
「近づいちゃダメ!」
「何されるか解らないわよ」
少し睨んだだけなのに泣いたのは子供だろ?
手を出したわけじゃないのに!
この後散々誤解を受けながら酒場に入ろうとしたが。
「入店を断らせてもらうよ」
「何だと!」
これまで常連だった僕を女主人は断った。
「うちは、女に手をあげるような男はお断りだ。今すぐ出て行ってくれ」
「客を拒むのか!君は僕達と長年の友人だろう?」
「正確にはリサちゃんだけどね?あんたはリサちゃんのついでだよ」
「何だって!」
リサがついでじゃないのか!
結婚式でも酒の手配をしてくれた彼女は僕を祝う為に大盤振る舞いをしてくれたんじゃないのか。
「リサちゃんの夫だからサービスしたさ。でもリサちゃんと別れたんだろ?関係は切らせてもらうよ」
「そんな馬鹿な話…」
「馬鹿はアンタだよ!アンタみたいな出来の悪い男を懇意にしてやったギルド達はリサちゃんがいたから大目にみたんだよ。仕事だってリサちゃんがフォローしていたのに」
「何を…」
教師として半人前以下のリサが何時僕をフォローしてくれたと言うんだ。
むしろリサを食べさせてやったのは僕だろ!
「仕事も満足にできない癖に。いっちょ前の顔をして」
「言わせておけば!」
「何だい、その拳は。やだね?殴る気かい?」
「は?」
僕が拳に力を込めているのを見て軽蔑のまなざしを送る。
「おい、酒をくれ」
「ああ、待っててくれ。今用意するよ」
僕を無視しながら他の客の元に向かおうとするも手を掴み止めようとするも。
「触るんじゃないよ!汚らわしい!」
「うわぁ!」
コップに入っている水をかけられる。
「アンタに飲ませる酒はないよ。アンタは泥水でも飲んでな!」
「こんな店二度と来るか!」
更に不愉快な気持ちになりながら酒場を出てとりあえず総菜を買いに行くことにした。
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