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容赦のなく行動に僕たちは立ち尽くすだけだった。
止めようにも令状を見せつけられなにもできなかったからだ。


例え抵抗しても、力で勝てるはずがない。

「ロンド!なんとかして頂戴!」

「そうだ!なんとか…」


「できるわけないだろ!」


二人は僕がどうなってもいいとおもっているのか。
力で叶うはずもない。


されるがまま。
何もできず見ているしかないと思った。


これは間違いなのに。
あの嫌味な女が権力を使ってこんな真似をするなんて!


「後は馬車の鑑定だな。馬はリサ嬢の私物だから、馬車の装飾品を調べろ」

「馬車まで取り上げるのか!」

「酷い…あんまりじゃない!」


邸内の私物だけでは飽き足らず、根こそぎ奪う気か!


「離縁した時にスムーズに事を済ませる為です」

「子爵夫人の配慮です。後から財産分与の時に大変でしょう」


「離縁はしない!」

だから何で離縁することがもう決まっているんだ!


「離縁届け出は既に済まされております。教会はお二人の離縁を承認なさいました。貴族ではないので離縁は簡単にできますから」

「はぁ?僕は許可した…」

「夫側の虐待が発覚した場合、可能です。その為の保護法案です」


「だから間違いだと!」


僕がリサを虐待したことを前提に話が進むなんておかしいだろ。


「証言、物証、他にも証拠となるものは出てきています。おや…これは帳簿のようですね」

「待って…それは」


「こちらはお預かりします。大事な証拠品として」



帳簿まで奪われ、抗議しても意味がなく。
邸の中はガランとして、引っ越す前の状態になり、残った調度品はほとんどなかった。



馬車に関しては馬だけを奪われた状態で、リサの部屋にある私物は根こそぎ持っていかれた。


「こんな…何で、こんなことに」

「どうしてだ!私達が何をしたというんだ」


何もかも持っていかれたことで両親は絶望した。


しかし、これだけで済むはずがなかった。


広いようで狭い街。
噂が広まるのは早く、ご近所からも白い眼で見られることとなった。


しかも僕は暴力夫として見られ、これまで良くしてくれた町長や、夫人会の会長からもゴミを見るような目を見られてしまったのだった。



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