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耳を塞ぎたくなるような愚行。
どうしてロンドはここまでおかしくなってしまったのか。


同居する前は少しの頼りなさはあれど、あんな酷い人じゃなかった。


思い出すのも嫌だった。


「同居して夫が傲慢になるパターンはあるわ」

「お母さん」

「逆のパターンもあるけど」

「同居している義父母が亡くなったら夫を悪しざまに扱う事例もある」


聞けば聞くほど頭が痛くなる内容だわ。


「結婚生活で夫が妻を守っていなかった原因だ。身から出た錆だ」

「お父さん…」


結婚生活はお互いの歩み寄りだと聞かされていた。
だから同居でも努力をしたけど、その努力の仕方を間違えたのかもしれない。


「親にとっては子供は何よりも大切な宝なの。あちらのお母さんは娘を思うあまり暴走したのでしょうね」

「奥様、あんな連中に優しさは不要です。そもそも人としておかしいのです」


「今回ばかりは同情の余地はない」


お母さんの言葉をばあやもお父さんもズバッと切った。


「まぁ、行き過ぎたとは思うわ。でも、もう切れた関係でしょう」


「そうですが、離縁と慰謝料請求だけでは甘すぎますわ」


「私もばあやに同意だが、言い出せばきりがない。何より私はリサにこれ以上あの一家に関わって欲しくない」



お父様は情の深い方だ。
同業者には商人としてはあまりにも欲がなさすぎると言われて来た。


そのお父様がここまで厳しい言葉を放つなんてまずないことだ。


「リサ、もう自分の幸せを考えてくれ。私達の事は心配しなくていい」

「そうよ。まずは貴女の気持ちよ」


背中をさすりながらまるで幼い子供を慰めるようだった。

だけど今はその優しさに甘えることにした。



安心したのかその後私はゆっくりと休み、数時間後に旦那様とお嬢様お見舞いに来てくださった。


何故か帝国内でも一番のパティスリー店のお菓子を差し入れに持ってきて。



「本当に良かった」

「心配しましたのよ先生」

「はい…」


私はこの状況に胃が痛い。
一体いくら使ったの?


現在テーブルに並ぶ美しく輝く宝石のようなスイーツ達。


このお菓子だけで一週間は余裕で食べていける。


「どうしましたの?」

「甘いものは好きだっただろう?宮廷パティシェに作りに来るように命じたんだが」


しかも買いに行ったのではなく作りに越させたと。
流石恐ろしい程の財力を持つティンファニー伯爵家だわ。


「いただきなさいリサ」

「そうだ。滅多に食べられないだろう…私達もだが」


笑顔を浮べながら目が死んでいる二人。
そうよね?

これが普通の反応よね!

生活水準の差なのだけど仕方ない。


けれど、折角の好意なのでお菓子は美味しくいただくことにした。




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