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しおりを挟む上流階級では未だに女性が学問に興味を持つこと。
男性と同じように勉強して、自立心を持つことに反感がある。
私も当初はそういった偏見の目を向けられたのだけど。
「お嬢様はまだお若いのに本当に勉強家です事。他の貴族のご令嬢も少しは見習ってくださるといいのだけど」
「奥様は、先進的なお考えなのですね」
「今どき女性は学びに精を出す必要があります。私も若かりし頃はバリバリ働いていたんですよ」
「そうなのですか…」
「これでもその昔は教職でしたのよ…まぁ結婚後は子供を授かって難しくなりましたが」
重くのしかかる言葉だった。
やはり結婚した後は仕事を続けるのは難しいのかしら?
「女が家庭に入り、家事育児をして夫に従順であれ…なんて偏り過ぎた考えのもとで天職を奪われてね」
「えっ…」
「何ですの?酷いですわ。虐待ではありませんか」
何時もならそんなことを言ってはいけないと注意する所だけど。
他人事ではないので耳を傾けた。
「同居するとおうのは、本当に大変なのだけど。問題は夫が味方になってくれないこと」
「旦那様は味方になってくださらなかったの?」
「ええ、義母の方を持って私に我慢を強いられたわ。私も義母と険悪な関係になりたくないから我慢したのだけど。同居してから夫の態度が凶変したのです」
同居してから性格が凶変する?
「偏見的な言い方をするけど、男は実家では自分は甲斐性のある夫だ。妻をちゃんと従えているんだとアピールしたかったのでしょう…一昔なら猶の事」
「つまり、威張りたかったと?」
「そう、しかも同居している以上は妻の立場は悪い。夫は両親を味方につけ、妻は孤立しているから何が正しいかなんて解らなくなる…洗脳に近いわね」
「洗脳…」
「言い方を変えればサーカスの動物かしら?予め鎖をつけられた像は決められたこと以外身動きができない。本当は自由に動けるのに長年調教されてしまってできないようにされているのよ」
ぞっとする。
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「私の若かりし頃は実家に逆らうなんて許されないわ。嫁は奴隷同然、出戻りをすれば両親が後ろ指刺され、こちら側がすべて悪い。今でも社交界でも離縁は妻が悪い、子供が出来ないのは妻の所為、女には生きにくいのは変わらないわ」
「そんなの…酷すぎるわ。女性は道具じゃありません。結婚して子供を産んで奴隷のようにだなんて」
私はお嬢様にかける言葉が見つからない。
手を握って差し上げるしかできないことが情けなかった。
「だけど、問題は虐げている側に自覚がない事なのです」
「え?」
ご夫人の言葉に私はドキンと胸が跳ね上がった。
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