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しおりを挟むエステで出会った女性に誘われ私達は、お茶をすることになった。
「突然ごめんなさいね」
「いいえ」
「それは良かった」
とても綺麗なレストランで、調度品も素敵だった。
「お嬢様、ケーキはどういたしますか。お茶は三種ございますよ。特にハイビスカスを使ったお茶が人気だそうですね」
メニューを開くと南国のお茶を取り入れているようだ。
「まぁ、お読みになれるのですか」
「え?」
「ここの店の茶葉は清の国の言葉で書かれていますのに。店員が説明してくれますが…初めての方は皆戸惑うのに」
「当然ですわ。先生は語学が堪能で、他国の文化もしっかり学ばれていますのよ」
「お嬢様…」
見ず知らずの方にそのような事を!
「まぁ、お若いのに博学なのですね。それに所作がとても美しいわ…」
「いえ、そんなことは」
ここまで褒めちぎられると恥ずかしい。
最近は褒められることは少なかったので戸惑う。
「失礼ながらどこの貴族のご令嬢かしら?」
「いえ、私は平民です」
「えっ?」
「実家は商家で…」
私はそんなに貴族のお嬢様に見えるのかしら?
それとも世間知らずに見えるのか。
「まぁ、そうだったの…商家のお嬢さんだったのね」
「やはり私は既婚者にも見えないのでしょうか」
まだまだ幼く見えるのかしら。
お嬢様は同年代の令嬢よりも達観しているのに対して私って。
「気を悪くなされないでくださいね。悪い意味ではないのよ」
「え?」
「貴族のご令嬢のように所作が美しかったので」
ご夫人の言葉に驚く。
サロンでも似たような事を言われたけど、そんなに違うのかしら?
「今の上流階級はマナーがなってない令嬢が多くて…裕福な平民も同様です」
「同感ですわ。私もお茶会で教養の欠けらもない高位貴族を目にしますわ」
「お嬢様…」
滅多ことを口にするのではないわ。
とは言えここで強く言うのは良くないわ。
「商家と言えば私の嫁も元は商家の娘だったようなのですが…教養が欠けているのです。母親になっても自覚がなくて」
「お孫さんがいらっしゃるのですか」
「ええ、六か月なのですが…体が弱くて」
そういえばミレイと同い年だった気がする。
「育児の考えが私とは異なるのですけど、最近は実家に入り浸ってばかりで良くない噂が流れるから自重するように伝えたのです」
「それは最悪ですわね。実家に戻って子供に戻ったのでしょう」
「お嬢様、おいくつですか」
言う言葉が子供とは思えない。
既に甘いも失敗も経験した女性のような言葉だわ。
「最近新しいジャンルの本に手を出しましたの」
「またそんなものを…」
最近はディープな内容。
特にシビアな内容ばかり読んでいる気がするのだけど。
一部では批判的な目で見る大人はいる。
大丈夫かと心配になるもご夫人は笑顔を浮かべていたことに困惑した。
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