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しおりを挟む同居する前は見なくていいものが見なくて済んだけど。
一つ屋根の下で生活するとなる違ってくる。
「リサさん、お茶を淹れてくれ」
「リサさん、雨が降りそうなのだけど。早く洗濯物を取り囲んでくれる?」
家事のほとんどは私がすることになっていた。
足腰の弱い義母の事を前に出されたら断れないけど、二人の食事が増えるぐらいは大したことではないと思っていた。
だけど――。
「リサさん、食事は出来立てがいいのだが」
「夫の持病があるからもう少し栄養管理を気をつけてくれないかしら」
持病を抱えている義父は塩分を控えないといけないとお医者様に言われている。
けれど私は専門家ではないので、栄養管理には限度がある。
「ではしばらくお酒を控えて糖分を控えめに…」
「待って、お酒はあの人の楽しみよ」
「ですが、お酒を控えていただく方が」
「そこは君の腕の見せ所だろう?」
無茶な言い分だ。
とは言え、食事制限は精神的なストレスになるのを理解しているので食事の形態を変えようと思った。
「そうだわ。今日の夕飯は娘も一緒だからワインを買ってきてくれないかしら」
「お義母さん、今月は入用で…」
赤字状態で、高級なワインを買うのは後々響くのだ。
「折角サンディが帰ってくるのよ」
「そうだ、折角なんだから」
同居をしてから生活費が赤字だ。
当初は生活費が安くなるからと言われていたけど、邸の改築費も負担している私達だ。
とは言っても二世帯にする時に資金の援助は両親がしてくれたし、内装の職人は子爵家からの紹介だったので格安に済んだのだけど。
子爵家と伯爵家はお金のことは気にしなくていいと言われたけれど、申し訳ないので分割で支払っている。
「ですが…そのワインは予約しなくてなりません」
「伯爵家に努めているんだから融通できるだろ?折角姉さんが買ってくるんだから…そうだ。折角だから料理も豪華にステーキにしよう」
「ではレストランに…」
「レストランだと気を遣うからリサさんお願いね」
「え?」
お願いということは。
「ではケータリングを」
「そんなのリサが作ればいいだろ?女性一人と赤ん坊一人ぐらい大したことがないだろ」
「そうだわ。赤ちゃん用の離乳食は別でお願いね…それから食後のデザートも」
溺愛する娘が久しく帰ってくるということで盛大に歓迎したいと言われるも。
「私も手伝うから」
義母が手伝うということは了承はしたけど、恐らく私一人に丸投げになるのではないかと思ったが、案の定私の予想通りになった。
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