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同居することを最終的に決めた私だけど。
想像していた以上に色々と苦労が多かったが、なんとか慣れることができた。


夫婦ともに共働きであることもあり、家事に関しては効率を重視した。
当初は使用人を雇おうと考えたけのだけど。


「まだその必要ないだろ?それにこれからお金が必要になるだろう」


こう言われてしまったので私も使用人を雇うことはしなかった。
ただ問題なのは食事に関してだ。


仕事で遅い時もあるので食事は別にしていたのだけど。


「やっぱり食事は家族で取るべきだわ。一緒に住んでいるのだから」

「できる限りは合わせたいのですが、仕事で遅くなりますし」


「そこまで働く必要ないでしょう?なんだったら辞めたらどうかしら?」

「そうだな。外で働くよりも家の事をして欲しい」


最初こそは聞き流していたのだけど、頻繁にその話がでるようになったのだ。


「リサさん、明日の夕食なのだけど」

「帰りが夜中になりますので…」


「またなの?家族の団欒は大事にしないと」


義母は悪い人ではないのだけど。
時折家族の形を強要することがある。


「リサ、他の人に変わって貰えないのか」


「無理よ。最近産休に入った同僚がいるのよ」


家庭教師以外にも、街中の学校で教鞭をとっている。
最近は同僚が産休を取っており、人手が足りずにいるので残業が多いのだ。



「それが問題なのではないかしら?」

「はい?」

「他人はどんんどん子を作っているのに、貴女の母君も子供が出来にくいからだったのだから」


「そうだな。ならば余計にもう少し考えるべきだろ」



この時、私は耳を疑った。


「私は心配しているのよ。仕事ばかりして無理をしていないか」

「私達は君の為に…」



あくまで私の事を心配していると前置きして隣でうんうんと頷くロンドは私を庇うどころか同意している。



「仕事は無理をしておりません。それに家庭教師の仕事は子爵様よりお任せいただいた大事な仕事です」


「リサ、何もそんな言い方を…」

「ご無礼をお許しください」


この時は無理やり話を変えた。
母の事をそんな風に言って欲しくなかったし、仕事に関しては口出しして欲しくなかったのだから。


それに、今どき家庭に縛るなんて時代錯誤だわ。
義姉だってエリート秘書官と言われている程に仕事を生きがいにしていると聞くのだから。



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